今回のブログ記事はアドバンス・レジデンス投資法人を紹介していきます。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年2月9日時点でのデータとなります。
概要
伊藤忠をスポンサーとした住居特化型であり、過去に2つの投資法人が合併して出来たリートです。
また住居特化型の中では最大規模であり、取得価格は住居特化型の中で最大で、物件数に数については全リート最大という特徴を持ちます。
このリートの強みの一つとしては、駅前の物件を大量に保有しているということです。保有する物件のうち徒歩10分以内を92%と高比率で保有しており、つまり価値の下がりづらい、そして価値の上がりやすいものを主体として保有しているアドバンテージを持ちます。
各データから見るアドバンス・レジデンス投資法人の状態
少しだけ各情報の補足すると、NOIに関しては賃料収入であり、これは収入から実際に発生した管理費や固定資産税などの経費のみを控除したものです。つまり、純利益率のようなものと考えて下さい。
NAV倍率は純資産価値に対する投資口価格(株価)の割安度であり、 株式のPBRに近いものです。
それでは基本的な情報を見て行きましょう。
| 項目 | 情報 | 
| 投資口価格 | 312,500円 | 
| 決算月 | 1月/7月 | 
| 分配金利回り | 3.42% | 
| 物件取得額合計 | 4481億円 | 
| 物件数 | 264棟 | 
| NAV倍率 | 1.39 | 
| NOI利回り | 5.65% | 
| 有利子負債比率(LTV) | 49.89% | 
| 含み損益率 | 22.60% | 
| 構成 | 住居主体型 | 
| 格付 | JCR : AA R&I:AA- | 
| 築年数 | 12.13年 | 
| 前期平均稼働率 | 97.0% | 
分配金は3.42%と低めですが、これはNAV倍率が1.39と異常に高くなっていることが原因です。これは含み損益率が22.60%と異常に高い値を示していることから、それに応じて投資口価格の値段も高くなっているという事です。
またJCRとR&Iから格付を取得しており、特にJCRからAAという高い格付けを取得している点は強みです。これは日銀のリート買い入れ基準に適合します。
そして物件取得額は4481億円、物件数は264棟とかなりの大型リートに属します。両数値共に住居主体型リートでは最大です。
そしてNOI利回りは5.65%と住居主体型の中では通常値です。ですが住居型リート自体が全体的にそこまで差異があるわけではありません。
有利子負債比率については49.89%と高めに推移してはいますが、その値は徐々に減少傾向へとコントロールされていることと、借りている債務借金の返済期限がうまく平坦化されていることから、財務自体がしっかりしている印象です。
築年数については12.13と高くはありません。また稼働率も良好です。
各決算データと地域別の分散状態
| 第14期 (2017年7月) | 第15期 (2018年1月) | 第16期 (2018年7月) | |
| 営業収益(百万円) | 15918 | 15903 | 16302 | 
| 当期純利益(百万円) | 6642 | 6798 | 7087 | 
| 純資産(百万円) | 220754 | 220574 | 220524 | 
| 1口当たり純資産(円) | 158352 | 158103 | 157852 | 
| 1口当たり分配金(円) | 5169 | 5285 | 5499 | 
この3期分を見るだけでは純利益・分配金はうまく上昇しています。
このリートは物件の取得・売却を適宜おこなってはおりますが、純資産に大きな影響を及ぼすことなくコントロールされており、各数値に関しても徐々に推移する状態です。これは全体的な取得価格等の大きさもあって成せる業です。
上位物件
| 順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 | 
| 1位 | レジディアタワー目黒不動前 | 165億円 | 3.68% | 住居 | 
| 2位 | パシフィックロイヤルコート みなとみらい オーシャンタワー | 140億円 | 3.12% | 住居 | 
| 3位 | パークタワー芝浦ベイワード アーバンウイング | 96億円 | 2.14% | 住居 | 
| 4位 | レジディアタワー上池袋 | 83億円 | 1.84% | 住居 | 
| 5位 | レジディア西麻布 | 68億円 | 1.51% | 住居 | 
地域別
| 東京 | 72.1% | 
| 関東地区 | 8.4% | 
| 中部・近畿地区 | 12.3% | 
| その他 | 7.2% | 
東京が72.1%と非常に高く、首都圏集中型のポートフォリオとなっています。東京を主体として利益を稼ぎつつ、物件の価格上昇を狙うタイプですが、地域的には分散性が低めと言えるかもしれません。
なお上位5物件については、レジディア西麻布を除き駅から5~10分圏内の物件となっています。
総括
分配金利回りはあまり高くはありませんが、その規模の大きさを考慮すると住居型で安定したインカムを狙うタイプではあります。
またNAV倍率が高くなっている状態の銘柄です。ただ含み益は異常に高いことから良い物件を大量に保有しているという印象を持ちます。そして格付けが高いこともあって日銀の買い入れが行われた銘柄であり、日銀が売却しない限り底は固いと見ている部分はあります。
住居特化型で安定性を目指すならコレ、と言いたい銘柄ではありますが、東京特化型ということもあり、東京オリンピック前後の推移を見つつ、買い場が来れば資金の投入も面白そうだと考えています。
終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。
 
  
  
  
  
