今回のブログ記事は野村不動産マスターファンド投資法人を紹介していきます。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年3月7日時点でのデータとなります。
概要
野村不動産をスポンサーとする総合型リートであり、2015年に以下のJ-REITが合併して出来た投資法人となります。
- 野村不動産レジデンシャル投資法人
- 野村不動産マスターファンド投資法人
そして2016年には、スポンサーが離脱して外部成長(物件の取得等)に大きな問題点を抱えていたトップリート投資法人を吸収しています。
これらの合併吸収によって総合型で大規模なリートとなっただけでなく、全リート中でも上位に食い込むこととなりました。
またポートフォリオの構成としてはリスクの高いオフィス系を約半分としており、安定性と成長性の両立を図る総合型らしい構成を取っています。
各データから見る野村不動産マスターファンド投資法人の状態
少しだけ各情報の補足すると、NOIに関しては賃料収入であり、これは収入から実際に発生した管理費や固定資産税などの経費のみを控除したものです。つまり、純利益率のようなものと考えて下さい。
NAV倍率は純資産価値に対する投資口価格(株価)の割安度であり、 株式のPBRに近いものです。
それでは基本的な情報を見て行きましょう。
項目 | 情報 |
投資口価格 | 152300円 |
決算月 | 2月 / 8月 |
分配金利回り | 4.20% |
物件取得額合計 | 9651億円 |
物件数 | 283棟 |
NAV倍率 | 0.99 |
NOI利回り | 5.09% |
有利子負債比率(LTV) | 44.44% |
含み損益率 | 8.9% |
構成 | 総合型 |
格付 | S&P:A JCR:AA R&I:A+ |
築年数 | 18.85年 |
前期平均稼働率 | 99.3% |
このリートはS&P・JCR・R&Iの3社から格付を取得しており、どれも高い評価を取得しています。安定性も高いと評価され、流石と言える規模感が伺えます。また高い格付けということもあり、日銀が購入している銘柄です。
物件取得額は9651億円という超大型リートです。また物件数も283棟とかなり数多く保有しており、その内訳については多くが住居となっており、その数は151件ほどです。また含み損益率も8.9%と悪くはなく、NOI利回りも5.09%と大型リートでは十分な値です。
またNAV倍率は0.99となっており、投資口価格としては可もなく不可もなくといった所です。
そして有利子負債比率については44.44%となっていますが、さほど大きな動きは無くコントロールされている印象です。
築年数については18.85年と少しばかり高いですが、ヨコヨコに近い推移をしていることから、物件の取得によって緩和させている印象です。なお稼働率は99.3%と、非常に良好です。
各決算データと地域別の分散状態
第5期 (2018年2月) |
第6期 (2018年8月) |
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営業収益(百万円) | 34218 | 34731 |
営業利益(百万円) | 13212 | 13285 |
経常利益(百万円) | 10715 | 10755 |
当期純利益(百万円) | 10714 | 10709 |
1口当たり当期純利益(円/口) | 2561 | 2478 |
1口当たり利益超過分配金(円/口) | 423 | 606 |
1口当たり分配金(円/口) | 3047 | 3084 |
データ上の都合から2期分しか表示させていませんが、全体的には安定した利益を出しており、順調な推移となっています。
また合併によるのれん発生により、利益超過分配金が長期に渡って出る銘柄となっています。合併から20年間に渡って定額法でのれんを償却する方法としているため、数年の誤差はあるかもしれませんが2015年~2035年あたりまで、利益超過分配金が出る予定です。
この利益超過分配金についての課税に関する詳細な説明は避けますが、要は通常であれば特定口座においては気にする必要は無いというものですが、一般口座などで確定申告にてひと手間を加える必要があります。
取得額比率
事務所 | 45.0% |
住居 | 20.5% |
物流施設 | 16.7% |
商業施設 | 15.6% |
その他施設 | 1.8% |
ホテル | 0.4% |
成長性の高い事務所を主体として比率を高め、その他で分散していく構成です。リスクはある程度取り、分散すべきところはする総合型となっています。
上位物件
順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 |
1位 | 日本電気本社ビル | 441億円 | 4.57% | 事務所 |
2位 | 新宿野村ビル | 439億円 | 4.55% | 事務所 |
3位 | 麹町ミレニアムガーデン | 267億円 | 2.77% | 事務所 |
4位 | 野村不動産天王洲ビル | 205億円 | 2.12% | 事務所 |
5位 | オムロン京都センタービル | 183億円 | 1.90% | 事務所 |
NEC本社ビルを旗艦物件としておりますが、上位5物件は全てオフィスであり、全て駅近くの物件です。
ただオフィスの成長性の恩恵を高く受けているかというと一概にはそう言えず、ポートフォリオ上は物流施設や商業施設の評価額も負けていない状態です。
地域別
東京 | 60.2% |
関東地区 | 21.4% |
中部・近畿地区 | 12.5% |
その他 | 5.9% |
東京と関東の比率が高く、人口の集まる首都圏を主体に物件を保有するイメージとなっています。ある程度の地域集中がされている印象があります。
総括
総合型のリートでオススメをするとなると、成長性と分散性のリスクバランスも取っており上位に挙げられる程のリートではあります。分配金利回りは超大型らしい値でもあります。
ただ規模に対して少々人気が無いことから、そこが不気味な点として挙げられます。高格付けでありながらNAV倍率が1.00近くというのは、資金の流入が少ない印象である、という事です。
今後は上昇する築年数との整合性を取ることと、住居系の物件数の多さを含めて管理が行き届くかどうか、その点も注目すべきところだと見ています。
ただ規模は巨大であり、安定性は小型の新興リートより高いとは考えており、今後の推移によっては妙味が出てくる可能性もあります。
終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。