今回のブログ記事は、配当(分配金)利回りは高くないが、負債コントロールが秀逸な三井不動産ロジスティクスパーク投資法人を記載していきます。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年1月20日時点でのデータとなります。
■概要
メインスポンサーに強力な三井不動産を持つ、物流施設主体型のリートです。
2012年4月に三井不動産にて物流施設事業部が発足しましたが、その3年後となる2015年5月のグループ中期経営計画にて物流関連事業の方針が明確化され、その結果としてこのリートが設立されました。
また取得する物流施設については方針が明確化されています。それは10000㎡以上、免震、耐震、非常用発電の対応がされており、かつ柱間隔が10m以上などの広い空間が確保されていることなどが挙げられます。
ちなみに有利子負債比率(LTV)が非常に低いリートですが、中長期的には40~50%程度を目標とすることが定められており、今後は適宜増加することが見込まれます。
また規約上は海外の不動産を保有することも可能としており、グローバルな対応の必要が出れば取得する可能性があります。
ちなみに本件とはあまり関連性が薄いですが、日本ロジスティクスファンド投資法人は三井物産がメインスポンサーで、このリートのメインスポンサーは三井不動産です。
■三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の状態
項目 | 情報 |
投資口価格 | 329,000円 |
決算月 | 1月 / 7月 |
分配金利回り | 3.75% |
物件取得額合計 | 1036億円 |
物件数 | 13棟 |
NAV倍率 | 1.08 |
NOI利回り | 5.40% |
有利子負債比率(LTV) | 23.94% |
含み損益率 | 6.98% |
構成 | 物流施設主体型 |
格付 | JCR : AA- |
築年数 | 4.0年 |
前期平均稼働率 | 100% |
分配金は3.75%と高くはありませんが、今後もさほど高くはならないものと見ています。
そして物件取得額は1036億円となっており、リートとしては大きい方ではありません。また物流型のリートの中でも小型に分類されます。
物件数は13件と少な目ですが、一軒ごとの取得価格が高い大型の施設で構成されており、少数精鋭の大型設備で構成されていると言えます。
NAV倍率は1.08であり、投資口価格としては少しだけ高い値で推移していることが分かります。それなりに支持は得られています。
またNOI利回りは5.40%と物流型の中では平均的です。
含み損益率は6.98%と物流型の中ではそこそこと言えますが、高くもなく、低くもなくといった所です。
有利子負債比率については23.94%と全リートの中では最小の値ですが、中長期に渡って増加していく見込みです。
ちなみに築年数は4年と異常に低く、非常に新しい物件を多く保有している事が分かります。
なお稼働率は100%と最大となっています。ここは設備の新しさや誘致の営業を含めて流石と言えますが、契約満了期間のテナントが毎年で数%存在しており、かつ22年には22.5%の満了が予定されているため、この100%を維持できるかどうかが注目するところでしょう。
■各決算データと地域別の分散状態
第1期 (2017年1月) |
第2期 (2017年7月) |
第3期 (2018年1月) |
第4期 (2018年7月) |
|
営業収益(百万円) | 2383 | 2548 | 2629 | 3148 |
営業利益(百万円) | 1307 | 1181 | 1239 | 1498 |
経常利益(百万円) | 1111 | 1152 | 1185 | 1445 |
当期純利益(百万円) | 1110 | 1151 | 1184 | 1444 |
純資産額(百万円) | 59460 | 59447 | 59434 | 73403 |
総資産額(百万円) | 81698 | 78811 | 79868 | 100250 |
自己資本比率(%) | 72.7 | 75.4 | 74.4 | 73.2 |
1口当たり分配金(円) | 5198 | 5346 | 5563 | 5832 |
有利子負債比率が低いだけあって、自己資本比率は非常に高く優秀です。しかし前述の通り、有利子負債比率はいづれ上昇が見込まれますので、自己資本比率も低下していくでしょう。
ちなみに2019年は三井不動産が売却する物流施設のうち、優先情報提供対象物件が5件予定されています。
これは三井不動産ロジスティクスパーク投資法人が取得の手を上げれば、原則として優先的に情報提供を受けることができ、その上で一定期間、三井不動産との取得交渉を優先的に行うことができる権利です。
そのため2019年はいくら物件を取得するのか、注目する年となります。
上位物件
順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 |
1位 | GLP・MFLP市川塩浜 | 155億円 | 14.96% | 物流施設 |
2位 | MFLP久喜 | 125億円 | 12.07% | 物流施設 |
3位 | MFLP横浜大黒 | 101億円 | 9.75% | 物流施設 |
4位 | MFLP八潮 | 97億円 | 9.32% | 物流施設 |
5位 | MFLP小牧 | 83億円 | 7.97% | 物流施設 |
地域別
東京 | 7.3% |
関東地区 | 80.4% |
中部・近畿地区 | 12.3% |
構成としては東京付近を主体としており、つまりほぼ都心部で構成されていることから、地域を集中したリートと言えます。
また保有する物件は最新の施設ばかりです。一件だけ2009年の施設がありますが、それ以外は2014年以降に建築されたもので構成されています。
■分配金利回りはそこそこで、安定を求めるリート
分配金利回りは低い方だと言えますが、安定性はかなり高い方だと言えます。
何故なら三井不動産という強力なスポンサーが付いており、その三井不動産が売却する物件の一部を優先的に取得交渉できるという点は、かなりの強みと言えるからです。
施設も新しいものばかりで長期的に経年劣化に耐える事が期待できますし、物件の設備的には暫く安定する可能性が高いでしょう。
この三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の分配金利回りが低い理由は、安定性と将来性から来るものという部分があります。そのため物流系REITへ手堅い投資を目論むのであれば、一考するREITであると個人的には考えています。
■終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。