今回のブログ記事は大和ハウスリート投資法人を紹介していきます。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年2月1日時点でのデータとなります。
■概要
スポンサーを大和ハウス工業としていることから、様々な物件に精通しているバックを持つ総合型リートと言えます。
このリートの一番の強みは、大和ハウスグループから優先的売買交渉権の付与等のサポートが期待できるという事です。手広く、手堅い経営を行っているグループ内からパイプラインを持つというのは強みです。
またポートフォリオの構成方針として、物流施設、居住施設、商業施設及びホテルとしていることから、グロース気質を持つオフィス特化型リートと比較すると景気に大きく左右されにくい構成をとっています。
またこのリートは株主優待が存在します。
■各データから見る大和ハウスリート投資法人の状態
少しだけ各情報の補足すると、NOIに関しては賃料収入であり、これは収入から実際に発生した管理費や固定資産税などの経費のみを控除したものです。つまり、純利益率のようなものと考えて下さい。
NAV倍率は純資産価値に対する投資口価格(株価)の割安度であり、 株式のPBRに近いものです。
それでは基本的な情報を見て行きましょう。
項目 | 情報 |
投資口価格 | 257400円 |
決算月 | 2月/8月 |
分配金利回り | 4.04% |
物件取得額合計 | 6834億円 |
物件数 | 216棟 |
NAV倍率 | 1.01 |
NOI利回り | 5.33% |
有利子負債比率(LTV) | 40.74% |
含み損益率 | 8.82% |
構成 | 総合型 |
格付 | JCR : AA R&I:A+ |
築年数 | 9.56年 |
前期平均稼働率 | 99.5% |
分配金は4.04%と低めですが、このリートの規模等を考えると適性値です。
またJCRとR&Iから格付を取得しており、特にJCRからAAという高い格付けを取得している点は強みです。
そして物件取得額は6834億円ということから、かなりの大型リートに属します。物件数は216棟ではありますが、その物件数の多くは居住が含まれます。
含み損益率は8.82%とそこそこといった値です。様々な種類の施設に分散している事もあるため、高くもなく、低くもなく、といった状態です。
またNAV倍率は1.01であり、投資口価格としては通常の値です。
そしてNOI利回りは5.33%とそこそこではありますが、個人的には施設分散の観点からこの値は納得です。
有利子負債比率については40.74%と上手くコントロールされています。ちなみに数年前までは約55%を推移するという非常に高い状態でしたが、その比率が調整されました。
築年数については非常に低いです。ここ数年で全体的に新しい物件を多く取得しているため低く抑えられています。また稼働率も良好です。
■各決算データと地域別の分散状態
第23期 (2017年8月) |
第24期 (2018年2月) |
第25期 (2018年8月) |
|
営業収益(百万円) | 21015 | 19700 | 22211 |
営業利益(百万円) | 9392 | 8012 | 9269 |
経常利益(百万円) | 7974 | 7146 | 7770 |
当期純利益(百万円) | 7968 | 7142 | 7765 |
純資産(百万円) | 377321 | 376300 | 430596 |
1口当たり純資産(円) | 223267 | 222663 | 223454 |
1口当たり分配金(円) | 4964 | 5194 | 5046 |
物件の取得をハイペースで行っているため、純資産については増加傾向ではありますが、全体的に公募増資や物件取得による費用の増加によって、一時的に分配金が減少しています。
分配金が減少したり、波があることにはリートによって理由は様々ですが、積極的な物件取得による費用の増加であれば、将来への投資という観点で歓迎される部分があります。
取得額比率
物流施設 | 49.7% |
住居 | 36.1% |
商業施設 | 8.5% |
その他 | 3.4% |
事務所 | 1.4% |
ホテル | 0.9% |
ほぼ半分が物流施設となっており、次に住居、商業施設と続きます。
前述に景気に左右されにくいと記述しましたが、これはポートフォリオ上にある物流施設・住居が主に対象となってきます。
物流施設は長期での契約がありますので、収益は安定しやすい側面を持ちます。また住居は空室リスクが高いですが、景気後退でも住まいという観点から、優良な物件であれば比較的に安定するためです。
上位物件
順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 |
1位 | Dプロジェクト浦安Ⅱ | 270億円 | 3.80% | 物流施設 |
2位 | DPL三郷 | 168億円 | 2.46% | 物流施設 |
3位 | Dプロジェクト八王子 | 154億円 | 2.25% | 物流施設 |
4位 | DPL福岡糟屋 | 133億円 | 1.95% | 物流施設 |
5位 | Dプロジェクト犬山 | 108億円 | 1.58% | 物流施設 |
地域別
東京 | 31.6% |
関東地区 | 37.8% |
中部・近畿地区 | 15.1% |
その他 | 15.5% |
上位5物件に関しては物流施設で占められています。これはポートフォリオ上の物流比率が高い構成と、物流施設は規模が大きい建築物であることが理由です。
また東京を含めた関東圏に多く物件を保有しています。しかし極端という訳ではなく、首都圏を主体として利益を稼ぎつつも、他地域に分散するという構成です。
■株主優待制度がある
このリートには株主優待があります。その条件は以下の通りです。
●条件:2月末日及び8月末日の各決算期に、1口以上を保有していること
- 有効期間内であれば回数制限無しの宿泊優待券1枚(1部屋2名様以上の利用)
使用出来るホテルはダイワロイヤルホテル系となりますが、およそ27ホテルがその対象となっています。またゴールデンウィークなどの繁忙期などには使用出来ないホテルもあるので注意です。
ちなみに優待券を利用した宿泊のお値段としては1名あたり一泊約8000円~14000円となりますが、時期や曜日によっては宿泊予約サイトを介した方が安い場合もあるので、この優待券は本当にオマケという観点が強いかもしれません。
■総括
分配金利回りは極端に高いという訳ではなく、またポートフォリオの構成も含めて、価格の上昇によって利益を狙う銘柄ではなく、どちらかと言うと手堅い運用によってそこそこの安定したインカムを受け取る銘柄でしょう。
また物件取得を積極的に行っているため、その費用によって分配金の伸びは緩やかな傾向がありますが、物件自体が新しいものを狙って取得している状態ではあるため、力を溜めつつあるという見方も出来ます。
投資口価格が高いため手を出すのは少しばかり勇気がいる銘柄ではありますが、稼働率が維持できている状態で分配金利回りが5%を超えた場合に、面白そうだと見ている銘柄です。
■終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。