【REIT・3459】サムティ・レジデンシャル投資法人の評価-分配金利回りが高いリート

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今回のブログ記事は、配当(分配金)利回りが5%台で推移する、サムティ・レジデンシャル投資法人を記載していきます。

では早速内容を記載していきますが、情報については2019年1月20日時点でのデータとなります。

■概要

メインスポンサーに関西のサムティグループを持つ、住居主体型のリートです。

そのため保有する物件についてもメインスポンサーであるサムティグループより取得したものが半数を占めており、サムティグループとの連携が垣間見える構成となっています。

なおポートフォリオの7割近くは地方のレジデンス(住居)で構成されており、首都圏に偏ることなく物件を保有しています。そのため首都圏を主体とした他の住居主体型リートとは方向性が異なリ、サムティ・レジデンシャルの価格は横ばいになりがちです。

これにより、現状としては高い利回りの分配金を貰いつつ、利を狙うというスタンスとなりやすい傾向にあります。

■サムティ・レジデンシャル投資法人の状態

項目 情報
投資口価格 91,100円
決算月 1月 / 7月
分配金利回り 5.91%
物件取得額合計 896億円
物件数 93棟
NAV倍率 0.95
NOI利回り 5.76%
有利子負債比率(LTV) 51.19%
含み損益率 7.92%
構成 住居主体型
格付 JCR:A-
築年数 9.0
前期平均稼働率 94.7%

分配金は5.91%と高めになっており、このリートはおよそ5%台で推移します。

そして物件取得額は896億円と小型リートに分類されます。また住居主体型の分類の中でも小型に属します。しかし物件が地域分散されているため、価格が抑えられている側面があります。

物件数は93件となっていますが、住居型では一番と言っても良いほど少ない方です。オフィス系は単体の価格が高いため物件保有数が少なくなりがちですが、住居系のリートは賃貸という特性もあり、価値がさほど高くなりづらい、また多くないことから、件数を稼いで規模を大きくしていくということになります。ちなみに他の大きい住居主体型リートは200~300件という件数を保有しています。

そしてNAV倍率は0.95であり、投資口価格としては少しだけ低い値で推移していることが分かります。人気は少しだけ低いという事です。

またNOI利回りは5.76%と住居系リートでは高い状態であり、これは地方の利回りが高い物件を保有しているためと推察します。

含み損益率は7.92%とそこそこですが、物件が地域分散されていることもありますので、この値となるのも個人的には納得しています。

有利子負債比率については51.19%とリートと言う分類では高い状態ですが、他の住居主体型もこれ位の値です。そもそも住居主体型は全体的にこの有利子負債比率が高く推移します。

ちなみに築年数は9年と非常に新しい物件を多く保有している事が分かります。ほとんどが2000年台の物件を保有しており、古くても1999年の物件が一件だけということから、全体的に新しい物件に絞って取得している事になります。

なお稼働率は94.7%であり少し低い印象があります。この理由は決算説明書から説明があり、これは住居の管理がしきれず顧客が離れたことが要因との事です。

■各決算データと地域別の分散状態

  第3期
(2017年1月)
第4期
(2017年7月)
第5期
(2018年1月)
第6期
(2018年7月)
営業収益(百万円) 1806 1840 1834 2888
営業利益(百万円) 849 759 789 1404
経常利益(百万円) 606 614 620 1011
当期純利益(百万円) 605 613 619 1010
1口当たり分配金(円) 2645 2670 2675 2681
総資産額(百万円) 55828 55525 55202 87122
純資産額(百万円) 26397 26262 26126 41483
自己資本比率(%) 47.3 47.3 47.3 47.6
1口当たり純資産額(円) 93276 92800 92321 90853

2018年7月の決算では様々な値が増加していますが、これは2018年2月・3月で33件の物件取得を行ったためです。

また2018年8月に公募増資を行い、11件の物件を取得する予定ですので資産は増加する見込みです。しかし分配金に関しては増加の見通しは発表されていないため、増加しない可能性が高いでしょう。

上位物件

順位 物件名称 取得価格 比率 用途
1位 S-FORT山王 29億円 3.22% 住居
2位 S-RESIDENCE新大阪駅前 25億円 2.78% 住居
3位 S-RESIDENCE神戸磯上通 25億円 2.76% 住居
4位 S-FORT片平 23億円 2.60% 住居
5位 S-RESIDENCE江坂 23億円 2.59% 住居

地域別

東京 6%
関東地区 17.9%
中部・近畿地区 47.2%
その他 28.9%

東京・神奈川などを含めた関東地区の比率は23%付近であり、低い値となっています。そのため地域分散して保有されているということになります。

これは上位5物件を見ても分かりますが、東京の物件が一つもありません。多くはメインスポンサーとされるサムティの影響もあってか、大阪が多めです。

ちなみに「S-RESIDENCE」の頭文字が付く物件は、サムティグループが自社開発している高級規格の賃貸マンションブランドを示します。

さらに「S-FORT」については、外部から取得した物件に対し、投資基準を満たし、専門家の検証によって基準をクリアしたものに付けられる名称です。

■分配金利回りは高いが、高いが故のリスクもあり

分配金利回りは高いですが、純資産が低いことから体力が低いという欠点もあります。

ただ築年数はかなり低く全体的に新しい物件を保有していることが分かるため、物件自体は少し長めに戦える可能性はあります。

しかし一部の物件では間取りや設備に難を抱えているものもあり、一部の物件については難のある部分はリノベーションをした、又はこれからするという事が公表されています。

私はそこが少々心配している所であり、その理由についてはこの投資法人がサムティから取得した物件ばかりであるため、つまり他のサムティ関連の物件でも考慮が少し必要だったものがあるのではないかと考えています。そのためこの点は不安ですが、今後は動向を注意したいと思っています。

そして全体的なポートフォリオについては地方分散となっているため、物件を随時取得していくのであれば、純資産については緩やかに増加する推移となるでしょう。

ちなみに東京へと積極的に投資しているリートについては価格が右肩上がりの傾向が強いですが、サムティ・レジデンシャル投資法人については前述の通り地方分散であるため、それに該当する動きとはなりにくい傾向であるとの認識です。

悪く言えば東京オリンピックなどの恩恵を受けることが出来なかったと言えますが、今後はこの分散効果がどの様に効いてくるかが注目すべきところでしょう。

そして最後に、サムティ・レジデンシャル投資法人の現状としては高い分配金利回りだが、純資産が低い等のリスクが存在する銘柄と言えますので、投資は慎重にと私は言います。ですが今ではない、とある先の不動産投資の時代においては、妙味となる可能性もあるでしょう。

■終わりに

投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。

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