iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETFは、米国株への知見があり、高配当が好きな多くの方々はご存知のETFでしょう。高配当が好きな私はこのETFをNISA口座で保有しており、分配金(配当金)を受けつつ原油の値動きにハラハラさせられる楽しいETFとなっています。
今回のブログ記事はそのETFを紹介していきますが、本記事の情報は2018年11月26日時点での情報となります。
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETFの商品概要
対象インデックス | モーニングスター配当フォーカス指数 |
構成銘柄数 | 75 |
分配金利回り | 約3.57% |
経費率(信託報酬) | 0.08% |
分配頻度(権利月) | 3月、6月、9月、12月 |
投資対象 | 米国 |
信託報酬は0.08%と非常に低く設定されています。これはVanguard社のVYMと同一の信託報酬であることから、BlackRock社がVYMとの価格競争を意識してこの信託報酬を設定していることと考えます。
構成銘柄は75となっており、そこそこの数の高配当銘柄で構成されており分散性の観点からは問題はありません。
そして分配金は約3.47%となっており、ETFの中ではかなり高い部類となっています。これは構成銘柄のうち、株価が上がり過ぎて配当金利回りが低くなった銘柄を除外するという方法が取られているため、大体3%付近で推移するように調整されています。
構成銘柄とその他
上位10銘柄
順位 | 保有銘柄 | 構成比 |
1 | エクソンモービル | 9.41% |
2 | ベライゾン・コミュニケーション | 7.95% |
3 | ジョンソン&ジョンソン | 7.45% |
4 | シェブロン | 6.60% |
5 | ファイザー | 6.13% |
6 | プロクター&ギャンブル | 5.95% |
7 | コカ・コーラ | 4.76% |
8 | シスコ・システムズ | 4.37% |
9 | メルク | 4.14% |
10 | ペプシコ | 4.02% |
1位が石油メジャー最大手のエクソンモービル、2位が米国通信サービス大手のベライゾン、3位は日用品のジョンソン&ジョンソンとなっています。
なお銘柄は定期的に見直されるため、有名な銘柄などが除外されることが多いETFです。2018年で言えば、5~6%の高配当ではあったが経営の先行きが見通せず株価の下落がりが激しくなった、フィリップモリスやAT&Tなどが除外されています。
セクター比率
セクター | 比率 |
エネルギー | 21.28% |
ヘルスケア | 21.19% |
生活必需品 | 20.87% |
公益事業 | 8.27% |
通信 | 7.95% |
資本財・サービス | 6.75% |
情報技術 | 5.22% |
一般消費財・サービス | 4.77% |
金融 | 2.31% |
素材 | 0.87% |
生活必需品というディフェンシブ系寄りのセクターと、値上がりの好調であったヘルスケア、そして原油の動向によって値動きが激しくなるエネルギーセクターなど、異色のコンビで織り交ぜた形で構成されています。
この構成から特筆することとしては、エネルギーの比率が20%と高いことから原油の価格動向によってETFの価格が動きやすいということです。
他のETFとの比較
米国の高配当ETFと言えばHDV、VYMが挙げられますので、その2つとS&P500に投資可能なVOOの3銘柄をピックアップして、配当込みのリターンで比較していきましょう。(全てドルベースでの換算です)
なおデータについてはmyINDEXより取得しており、2018年10月末時点でのデータになります。
ETF | 分配金 利回り |
年率平均 | ||
1年 | 3年 | 5年 | ||
HDV | 3.57% | 6.3% | 8.7% | 8.2% |
VYM | 3.07% | 2.4% | 9.4% | 9.1% |
VOO | 1.86% | 5.4% | 10.8% | 10.8% |
上記のデータは年率平均であり、当然ながらその期間にマイナスやプラスになる年もある、つまりうねりを平均化したリターンとなります。もちろん今後はこのように推移するかは不明です。
そしてHDVは3~5年の期間ではリターンが低くなっていることから、高配当特有の株価自体の値上がりが乏しくなりリターンが抑制されやすい特徴が出ています。難しいことに分配金利回りが低いS&P500の方がリターンは高いです。
VYMについては分配金が少しだけ抑制されていますが、VYM自体が分配金利回りと成長性のバランスが取れているETFであるため、値上がり分がリターンに反映されていることとなります。
ですがこのHDVとVYMについては銘柄構成とセクター構成が異なる関係から先が読みづらいのが難点です。特にHDVは原油価格に依存するエネルギーセクターが多く含まれており、これは原油価格が長期間低迷していた関係からエクソンモービルなどの値上がりが乏しくなっている銘柄があり、今後を推測することは困難を極めます。
総括
高配当でそこそこのリターンがある良いETFではありますが、上位10銘柄などの銘柄の比率がそこそこ高いため、その銘柄の価格変動によってHDV自体の値動きが反映されやすいという印象があります。
特に2018年においては原油価格の波が激しく、エネルギーセクターの比率が多いことから原油価格の動きによってHDVの値動きが激しく変化する特徴があります。そのため原油の動向には注意が必要です。
また同じく2018年の保有銘柄のうち、フィリップモリスが日本市場でのIQOSの売上げ見通しが悪くなった関連でHDV自体が急激に下がったこともあり、高分配金だがそれなりのリスクを抱えていることも実感しています。
ただHDVが保有する銘柄において、値下がりが激しくなったり、業績が悪化したりなどの兆候を察知し、そこから減配の危険性を伴う銘柄などを除外するリバランスが定期的に行われています。
そのため銘柄の入れ替えが激しいと感じる所もあり、それは良い事でも悪い事でもありますが、今後も念頭に置いておく必要があるでしょう。
それなりの高配当銘柄が持つリスクを見せつけてくるHDVですが、高配当好きな私はこのHDVをNISA口座でいくつか保有しており、今後もBLACKLOCKの手腕と指数を信じつつ、高い分配金を受け取って行きたいと考えています。
なお、もし私がHDVを保有したいとの相談を受けた場合は、高くてもポートフォリオの10~20%位で留めておくほうが良いと、助言するでしょう。
■終わりに
投稿した全ての米国株・ETFの評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。