昨日の夜に対ドルの為替は激しく円安に振れ、111.4円台に付ける動きの大きい状態となりました。
この為替の動きだけを見て思う所もあれば、ここ最近の動きもそうなのですが、昨今は円安・円高に動く傾向が明らかに変わって来ている様に感じます。
過去には有事の際にキツめの円高に振れる事がありましたが、昨今はそれが無いのですよね。例えば、国同士の小競り合いや、経済的なマイナス要因を孕んだ情報が出れば対ドルが1~2円以上と変化することはザラでした。
昨今もそれに近い動きは多少あったにせよ、その動きは限定されつつある印象も受けます。そこで私の所感としては、ここ2年前から円安・円高に振れる傾向が昔と明らかに変わってきているという印象があるのです。またその点は、為替を気にされている方々も体感していることではないかと思っています。
この様な状態となっていることはかなり複雑な要因が絡んでいるため、現時点では箇条書きで綺麗に纏めきれるようなものではなさそうです。しかし、これは日本の経済状況や市場の環境だけでなく、世界の経済状態も関わっている事だと言えます。
特に為替は、株価を読むより難易度が桁違いに高いと実感する所があります。これは変動の要因があまりにも見えない部分が多く、また価格決定の要因が複雑に絡み過ぎているからです。
そして昨日の対ドル円安はその影響の度合いはあるにせよ、背景として少なからずコロナウィルス関連も関わってくることも予想され、それが事実として含まれるのだとすれば厄介なことこの上ない。
また現時点で「増税の影響によりGDPが減少」と言ってよいほどの致命的な環境があり、GDPの動きも怪しくなっています。今までは僅かに上昇はしていたのですが、消費税増税後の10~12月のGDPは年率換算で6.3%のマイナスとなりました。
その他の背景を考えると、既に景気後退(リセッション)という単語を視野に入れる状況ではありますが、これも為替に影響を与えるという点が厄介です。
まだまだ環境が変わった情報はあるにせよ、この情報だけでも、円と言う資産の信頼と価値が徐々に変わりつつある可能性が高い、という点を視野に入れなければならない状況があるかもしれません。
つまり、過去の為替における傾向は、役に立つかどうか分からないかもしれない、という事です。
昨今は円安の傾向があるかもしれない、という状況ですが、ですが過度な悲観もしない方が良くて、直近ではこの様な状況にあるという事実を想像しておくことと、この環境ではどの様な投資が実を結ぶのか、という方向に考えた方が圧倒的に良いです。
つまりピンチはチャンスとも言えますし、それなりに入口と出口は存在するはずです。今は考えるか、また考えない事を実践するかなど、我々は試されている重要なフェーズなのかもしれません。
ちなみに蛇足ですが、過去より日本では金価格は有事の際に円高によって利益が阻害される傾向にありましたが、その推移も昨今は変わっている状況です。これは日本円対米ドルの為替と比較すると分かりやすいですよ。もちろんこれは金が凄いということを発信する目的ではなく、ここでも傾向が変わりつつあるという視点での話です。