色々と興味があったため、噂のレバレッジ欲張りセットのグローバル3倍3分法ファンドをお試し購入しました。
今のところは市場が良い方向へ進んだため、結果として含み益となっています。でも今後はどうなるか分かりません。
これをお試し購入した理由としては、巷で大きな話題となっている商品というのもありますが、低リターンの時代に移り行く実感が湧きつつある中で、その状況に呼応するかのようなグロ3という商品が出たことから、これを持つ事で時代の流れを少しでも感じたいと考え、購入した次第です。
さて、それでは評価等の内容を記載して行きましょう。なお、本記事の情報の多くは2019年11月29日時点での情報となります。
グローバル3倍3分法ファンドの種類
本ファンドには下記の2種類があります。
- グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)
- グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)
要は分配金を出す・出さないかが、この2つのファンドの大きな違いとなっています。
1年決済型については、分配金が恐らく出ないだろうと推測されているものですが、必ず出ないとも言い切れないため、今後の推移を見守る必要があります。
隔月分配型については、年に6回の分配金が出る形式となっています。直近の分配金としては、2019年11月21日の決算月日において、122円の分配金が出ています。
グローバル3倍3分法ファンドの商品概要
ファンド形態 | アクティブファンド |
ファンド方式 | ファンド・オブ・ファンズ |
信託報酬 | 0.484% |
実質コスト | 0.4% |
信託財産留保額 | なし |
信託期間 | 2028年9月21日 |
投資信託の分配金 | 隔月分配型の方は有り |
投資対象 | 株式、先物、REIT、国債 |
純資産 | 隔月分配型:1603億円 1年決算型:3074億円 |
信託報酬としては脅威の0.484%という、非常に少ない額となっています。レバレッジを掛けながらグローバルにアセットを持ち、かつアクティブファンドでありながらこの額は恐ろしい抑え方をしている印象です。また実質コストも0.4%近くであり、かなり上手い運用をしているようです。
そしてこのファンドには信託期間が設定されており、2028年9月21日に運用の終了が予定されています。これは延長される可能性もゼロではありませんが、しかし、基本的にあと9年近くで償還の可能性があるという事を、念頭に置かなければなりません。
そして純資産については、両方共に脅威の1000億越えとなっています。市場の大暴落や恐慌が訪れない限りは償還されないと考えますが、ちょっと短期間で多く増えすぎているという印象もあります。つまい過熱感が凄いということですね。設定日が2018年10月4日という若い商品であるにも関わらずこの額ですから、強い期待を持たれているという事になるのでしょうか。
しかし1年決済型は3000億円というのは、圧巻の一言です。
組み込みアセットと構成
種別 | 内容 | 先物/現物 | 実質的な構成比 |
株式 | 日本株式(TOPIX) | 先物 | 20% |
海外先進国株式 | 現物 | 20% | |
海外新興国株式 | 現物 | 20% | |
REIT | 日本REIT | 現物 | 20% |
海外先進国REIT | 現物 | 20% | |
国債 | 日本国債 | 先物 | 40% |
米国国債 | 先物 | 40% | |
ドイツ国債 | 先物 | 40% | |
イギリス国債 | 先物 | 40% | |
豪州国債 | 先物 | 40% | |
合計 | 300% |
日本株式と国債の全ては先物によってレバレッジを掛けており、それ以外については現物にてそのまま保有しています。つまり先物によって調整を掛ける事により、全体を通して3倍の300%という数字を叩き出しているという事になります。
なお、株式に対して債券はおよそ3倍の比率となっておりますが、これは有名なレイ・ダリオ氏が発した、債券は株式の3倍でリスクが均等になるとの思想を受けて、この比率にしている事と推測します。
リターン
この投資信託自体のリターンを見て行きましょう。なおデータについては2019年10月末時点でのデータとなります。
年率平均 | |||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 |
29.87% | ー | ー | ー |
上記のデータは下落・上昇の年を平均した値になりますので、その点はご留意ください。
しかし、1年間で29.87%というのは、驚異的な数値と言っても過言ではないでしょう。
私はこのリターンについて、以下の要因があったためと考えています。
- 日本国内のリートは海外勢などのイールドハンター等によって資金が流入し、異常な価格上昇を演じている
- 全ての国債、つまり日本国債、米国国債、ドイツ国債、イギリス国債の価格は、2018年12月に市場が急落した地獄のクリスマス辺りから利回りが揃って下落を続けており、つまり国債の価格が上昇し続けていた背景がある
- 株式市場については、2018年12月のクリスマスにて急落しすぎた事、また貿易戦争などの一時的な結論先延ばしによって、復調傾向にあった(これはかなり個人的な推察)
上記によって、2019年は驚異的なリターンを叩き出したのではないでしょうか。
しかし私はこのリターンについて、ちょっと警戒をしなければならないと思い始めている部分があります。それは国債の部分が少々難しい動きをしているのではないかと思っているためです。
それはこの1年で国債の価格上昇(国債の利回り上昇)が起こり、これはグロ3が保有する全ての国債が価格上昇した、という部分があるのです。
日本国債とドイツ国債に至っては、10年国債の利回りがマイナスとなるような異常事態となっており、これ以上の下げ幅が存在するのか怪しい状態なのです。
そして、残りの国債については利回りが残っており、それは米国債(約1.7%)、イギリス国債(0.6%)という状況です。まだ下げ幅は存在するのですが、その幅は大きいとも言えないため、つまり芳しくない状態とも言えます。
そして株式については回復傾向にあったため、それに並行して国債の価格上昇という不思議な相場であったことから、グロ3の基準価格上昇があったのではないかと考えています。
以上の背景があるため、今後は国債がどの様な動きをするのかによって、かなりリターンが変わってくる様なことも考えられます。
しかし、これだけ状況が上手く噛み合った事を考えると、グロ3をリリースしたタイミングが秀逸過ぎて恐ろしいとも言えます。狙ってリリースしたのでしょうか…
総括-素晴らしい商品だが、でも出口戦略を考えるのが難しい
紆余曲折あるにせよ、この1年で驚異のリターンを叩き出したのは素晴らしいの一言です。そもそもコンセプトもそうですが、何故この様な商品を開発できたのか、不思議でならないと言える程です。
一番注意すべき状況としては、株式も国債の価格も下がるという特徴がある金利の上昇局面が挙げられます。この状況においては、かなり厳しい価格下落が想定されるでしょう。また国債の状況も非常に環境が変化してきているため、それが今後、どの様な作用をもたらすのかについて、懸念も存在します。
そして私がこのファンドについて難しいと考えている点が一つあります。それは出口戦略についてです。
出口戦略がイマイチ分からなくて、どうすれば良いのかと考えている最中なのですよね。これには幾つかの理由がありますが、その一つは期限が設定されていることが挙げられます。
グロ3は信託期間が2028年9月21日までとなっており、現状としては投資信託の終了が設定されている状態です。つまり、あと残り9年近くでグロ3は償還されますよ、ということになりますが、この期間が少し引っかかるのです。
そもそもですが、何らかの商品を作るにあたって、設計段階でその特性などを考慮して、将来の予測を立てるというのがパターンの一つでありますが、それがこの信託期間として表れているのではないか、と考えている所があるのです。
これは先物によるコストを考慮したものか、または信託報酬を考慮したものか、それともこれから生じる経済悪化の懸念を含んだものなのか等、様々な背景が考えられますが、この凄い商品を開発した優秀な方々が考えている事であるため、全く私には見当が付きません。
しかし事実として信託期間の設定がされていることから、何らかのタイミングで手放すという必要もあるという事が考えられるのが、少々参ったところです。最後まで保有するという手段もあるのですが、長期の運用にグロ3が耐えられるのかどうかも分からない。
そもそもレバレッジを掛けている以上、リスクとしては高める方向性にあるという事を認識する必要があると思っています。これは国債先物の保有によってある程度のリスクという価格変動範囲を抑えている状態であっても、です。
リスクを高める事によって利益を得るというのが投資におけるセオリーの一つではありますが、それがリターンと比較して適正な範囲で収められているか、というのが今後判明する所でしょう。
基本的には素晴らしい商品ではあるとの考えを持っていますが、商品の構造としてはかなり理解が難しそうだ、という所感があり、なかなかクセのある面白い投資信託ではある認識です。しかし私は多くの資金を投入する勇気が無いため、サテライト投資で様子を見たいと思います。