今回のブログ記事は、セゾン資産形成の達人ファンドの私的評価を記載していきます。このファンドは設定日が2007年3月15日というリーマンショックを経験している年季の入ったアクティブファンドです。なおつみたてNISAでは購入できませんが、楽天証券ではiDeCoにて購入が可能です。
では内容を記載していきますが、本記事の情報は2018年9月24日での情報となります。
セゾン資産形成の達人ファンドの商品概要
ファンド形態 | アクティブファンド |
ファンド方式 | ファンド・オブ・ファンズ |
信託報酬 | 1.35%から±0.2% |
実質コスト | 1.501% |
販売手数料 | ノーロード |
投資信託の分配金 | 今のところなし |
投資対象 | 全世界 |
純資産 | 685.49億円 |
純資産は685.49億と多く、過去より資金が流入し続けている人気のあるアクティブファンドであると言えるでしょう。
そしてアクティブファンドであるため信託報酬は中々の高さです。実質コストについては信託報酬で示されている±0.2の圏内に留めており、予め開示している情報を守るということで運用手腕の的確さが伺えます。
ただこれだけ実質コストが高いと敬遠されがちになるのでは?と考えてしまいますが、運用成績が素晴らしいためこのコストでも安いと言えるくらいです。
また方式がファンド・オブ・ファンズですが、10のファンドに配分して投資するという方法を取っており、その投資対象ファンドと、地域別投資比率は以下の通りとなります。
投資対象ファンド |
ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンド SA(適格機関投資家限定) |
バンガード米国オポチュニティファンド |
ニッポンコムジェスト・エマージングマーケッツ・ファンド SA(適格機関投資家限定) |
アライアンス・バーンスタイン SICAV- コンセントレイテッド US エクイティ・ポートフォリオ |
スパークス・長期厳選・日本株ファンド〈適格機関投資家限定〉 |
スパークス・集中投資・日本株ファンド S〈適格機関投資家限定〉 |
BBH・ルクセンブルグ・ファンズ-BBH・コア・セレクト |
コムジェスト日本株式ファンド(適格機関投資家限定) |
ティー・ロウ・プライス・ファンズ SICAV‐US ラージキャップ・グロース・エクイティ・ファンド |
スパークス・ワンアジア厳選投資ファンド S〈適格機関投資家限定〉 |
国 | 比率 |
北米 | 45.0% |
欧州 | 27.8% |
新興国 | 12.8% |
日本 | 12.1% |
太平洋(日本を除く) | 2.2% |
投資対象ファンドを見ると、個人で投資している身ではまず聞くことの無い名前のファンドで構成されています。
そして比率を確認すると見えてくるものがありますが、これは全世界に投資するファンドであり、先進国を多めに割り振り、新興国の比率は制御されています。比率だけを見て私が思うのは、楽天・全世界(VT)を彷彿させるような構成だと感じます。ただ、楽天VTより成績が良いのがこのセゾン資産形成の達人ファンドです。
またセクター比率は以下の通りとなっています。
セクター | 比率 |
情報技術 | 24.6% |
ヘルスケア | 21.9% |
資本財・サービス | 14.6% |
一般消費財・サービス | 13.1% |
生活必需品 | 10.5% |
金融 | 8.5% |
素材 | 3.4% |
電気通信サービス | 2.0% |
公益事業 | 0.8% |
不動産 | 0.4% |
エネルギー | 0.2% |
セクター比率では情報技術とヘルスケアが多めの、値上がり重視型に見受けられます。この2つのセクターはここ数年間で成績が非常に良かったため、そこを上手く配分して利益を叩き出したのだと推測します。これらを見る限り、相当な運用手腕を持ったファンドであるという印象です。
他のETFや投資信託との比較
他のETF、投資信託とリターンを比較してみますが、注意点が一つあります。楽天証券とmyINDEXよりデータを取得している事から、以下の通り基準日時が少々異なるところです。
- 楽天証券:2018年9月21日時点(達人、ひふみ)
- myINDEX:2018年8月末時点
そのため1%前後の誤差が出てしまうことかと考えますが、その点はどうかご了承ください。
ファンド名・投資信託・ETF | 年率平均 | ||
1年 | 3年 | 5年 | |
セゾン資産形成の達人ファンド | 12.71 | 11.97 | 13.33 |
ひふみプラス | 16.62 | 18.96 | 19.29 |
S&P 500 | 19.7 | 16.1 | 14.5 |
VT | 7.9 | 10.8 | 9.1 |
コクサイ・インデックス(以下の指標) ・eMAXIS Slim全世界(除く日本) ・たわら先進国 ・ニッセイ外国株式 |
14.1 | 12.9 | 11.1 |
S&P500は米国に一極集中であり、そして米国自体が好調であるためリターンは流石です。
そしてアクティブファンドである達人とひふみを比較すると、流石ひふみはリターンが高いと言えます。ただひふみ投資対象国がほぼ日本であるため、全世界に分散しており新興国も含む達人と比べるのは難しいと言えるのかもしれません。
次に全世界に投資するという意味で、VTと達人を比べると、全ての期間で達人が上回っています。当然セクターや投資国の比率に結構な違いはあるのですが、上手く運用の結果が表れており、その優秀さが伺えます。
最後に、日本を除く先進国に投資するコクサイインデックスと達人では、期間によって違いが出ます。長期になれば達人側が上回る結果です。短期では達人側に含まれる新興国の調子が悪い部分が出ているのかなとは考えますが、両者共に平均して優秀であるとも言えます。
総括
現在のところ運用成績は優秀であり、純資産の豊富さから皆に愛されていることが伺える投資信託で、今後も継続して良い成績を叩き出すことを願うばかりです。
この投資信託はつみたてNISAでは購入できませんが、iDeCoでは楽天証券にて選択可能です。ただ株式100%であり、リーマンショック時には50%近くの値下がりが発生していることから意識が必要です。
そしてiDeCoでは年齢によっては数十年と長い年月をかけて運用することになることになりますから、現在運用を担当されている敏腕ファンドマネージャの方や優秀な運用チームが途中で入れ替わる可能性もあり、世代交代が発生した際に運用手腕を継承できるのか、その点もアクティブファンドとしてのリスクが存在します。
そのため資金を投入する際は、ポートフォリオに組み入れるのであれば10~40%のレンジで比率を制御した方が良いかなとは個人的に考えています。
■終わりに
投資信託の評価記事一覧を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。