【投資信託】eMAXIS Slim先進国債券インデックスの評価

国債

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今回はeMAXIS Slim先進国債券インデックスの私的評価を記載していきます。

なお本商品に関してはつみたてNISA対象外であり、iDeCoでも購入可能なところはありません。

では内容を記載して行きましょう。なお、本記事の情報の多くは2018年7月23日での情報となります。

 

■eMAXIS Slim先進国債券インデックスの商品概要

世界の債券市場の値動きに連動する投資成果を目標とする商品であり、為替ヘッジの無い商品です。また使用するインデックスは以下の通りです。

  • FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)

そして本インデックスは非常に多くの商品で使用されており実績はお墨付きといった所で、もちろん配当込みのインデックスとなります。

この商品の組み入れ国としては22ヵ国であり、幅広い先進国の債券に投資することになるのですが、実は南アフリカであったり一部グレーゾーンな新興国が含まれています。

その組み入れ国となる22ヵ国とその比率を見て行きましょう。なお少々過去ではありますが情報は2018年4月27日のデータとなります。この後にも記述はしますが、この記事を記載している2018年8月11日の時点では数%と僅かな比率の違いがあることをご容赦ください。

比率(%)
米国 41.81
フランス 10.44
イタリア 10.03
ドイツ 7.11
英国 7.03
スペイン 6.13
ベルギー 2.55
オランダ 2.16
オーストラリア 2.05
カナダ 2.03
オーストリア 1.54
アイルランド 0.83
メキシコ 0.8
ポーランド 0.68
南アフリカ 0.64
フィンランド 0.63
デンマーク 0.59
マレーシア 0.45
シンガポール 0.39
スウェーデン 0.38
ノルウェー 0.29
スイス 0.16
コールローン等・その他 1.29

全体を通して見ると通貨の安定している国に投資しているイメージです。南アフリカなどが少し異色を放っている部分はありますが、0.64%などと比率は少なめに制御されています。

そして直近の構成は以下の通りとなっています。

出典:eMAXIS Slim先進国債券インデックス 月次レポート

直近では米国の比率を数%と増加させており、安定した債券で利回りの高くなった米国債部分に割り振っているという印象を受けます。

次に利回り・デュレーション等は以下の通りとなります。

出典:eMAXIS Slim先進国債券インデックス 月次レポート

デュレーションは7年です。eMAXIS Slim国内債券インデックスが9年であることを比較すると期間は短いです。

直接利回りは償還を考慮せずに道中の利金のみを計算するものであるため、ここは債券の購入から償還までを計算した最終利回りを見ると、1.91%と流石に高いと言えるでしょう。

なお2018年04月25日に決算がありましたが、その際に分配金は出ておらずファンド内に再投資されています。今後を考えると厳しめに見て約2%の付近で分配金が再投資されるのかなとは個人的に見ています。

■他のeMAXIS Slimシリーズ一覧との比較

ファンド名 カテゴリ 1年間
リターン
信託報酬 純資産総額
eMAXIS Slim国内株式(日経平均) 株式 0.17172% 3.50 億円
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) 株式 9.15% 0.17172% 30.64 億円
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) 株式 0.15336% 15.11 億円
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型) 株式 0.15336% 3.35 億円
eMAXIS Slim先進国株式インデックス 株式 11.85% 0.11826% 168.28 億円
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 株式 0.1728% 5.72 億円
eMAXIS Slim新興国株式インデックス 株式 0.2052% 73.59 億円
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) バランス 4.68% 0.1728% 138.97 億円
eMAXIS Slim国内債券インデックス 債券 1.09% 0.15012% 17.78 億円
eMAXIS Slim先進国債券インデックス 債券 0.91% 0.1836% 21.45 億円

赤字とハッチングにて示した部分が本商品となります。1年リターンでは0.91%と好調な株式と比較すると低くなってしまいますが、債券らしい数字と言えます。

ただ国内債券インデックスに劣後している部分もあり、これは当然ながら為替と海外における金利政策の影響なども含まれます。ただ直近となる2018年8月10日の基準価格を比較すると、以下の通りでアウトパフォームしているのですが、特記事項があります。

ファンド名 基準価格
eMAXIS Slim国内債券インデックス 10027
eMAXIS Slim先進国債券インデックス 10324

この2つの商品は設定日が同日となっていますが、なぜこのように基準価格に差が出ているかというと、為替が円安方向に動いていたということ、かつ日銀の政策により国内債券の利回りが上昇したため国債の価値が下落し、結果として基準価格が下がったことによるダブルパンチの影響があったためということを理解しておかなければなりません。

なおインデックスの過去データを参照した場合、リーマンショックを含む10年の期間とすると平均で年率2.5%のリターンが見込めることになります。ここに関しては後述します。

信託報酬は0.1836%であり、コストとしては非常に低く設定されています。ただし直近での実質コストは0.237%となっています。

純資産は21.45億円と少ないため償還の観点から30億以上は欲しいですが、通常の債券商品は景気が下降局面になると多く購入される性質を考えると、株式が好調である現時点でこれだけの資産であれば健闘している方と言えます。

■海外債券をこの商品で購入するのはどう見るか

海外の債券は利回りが高く、もちろん暴落時にも耐性がありポートフォリオに幾らか含めておくとその威力を発揮する部分があるのは事実なのですが、ただ為替と海外の金融政策に左右されるため、その部分だけでも相当厄介で出口戦略が難しいと私は認識しています。

その点を含めて同じeMAXIS Slimの国内債券・海外債券インデックスの年率リターンの比較を見て行きましょう。なおデータは両方とも円ベースです。(データはmyINDEXより取得しています)

分類 ファンド
(eMAXIS Slim)
1年 3年 5年 10年 15年 20年 30年
リターン(年率) 国内債券 1.1 1.8 2.1 2.2 1.7 1.9 3.3
先進国債券 -0.5 -1.6 3.6 2.5 3.3 3.7 5.6
100円 投資 国内債券 101 105 111 124 129 146 265
先進国債券 100 95 119 128 163 207 513

30年を見るとリターンに相当差が出ているようには見受けられますが、短くして10年と見た時には分配金が高いにも関わらず大した差が無く、さらに1~3年とすると逆にマイナスにすらなります。もちろん海外の金融政策や為替の影響を非常に受けたという事になり、そのため海外債券の扱いが難しい部分に繋がります。

ただ相当な下落相場であれば、年間リターンで株式より利益を上げることだって可能になる場合もあります。ただし本商品のような債券のみで構成されたものを超長期で保有した場合は、株式と比較して大きくアンダーパフォームする可能性が非常に高いことも忘れてはなりません。

以上により私としては海外国債を保有する場合は、金利の変動や為替の影響などに備えてリバランスが効く、バランス型の2~8均等で債券を保有することを推奨したい所です。

しかし、もしeMAXIS Slim海外債券インデックスを保有する場合は、日本より高めの海外債券の利金は受けるのですが、様々な欠点を考慮しながら購入する必要のある商品だと考えます。

またつみたてNISAに指定されていないことも考慮する必要があります。これは三菱UFJ国際投信がそもそも申請を出していないためです。

 

■海外債券は取り扱いが難しい

債券の金融商品を購入する主な目的としては、景気後退などの株価下落などによる耐性を高めるためではあるのですが、一番の問題が為替の影響を受けてしまう事です。

そのためリスク耐性を高める目的で海外債券を保有したが、為替によって円高になりマイナスとなる可能性もあるために、投資信託では特にそのリスクを背負うことも念頭に置かなければなりません。

海外債券投資不要論という話もある位であり、これについては私も過去データを見る限りでは非常に同意する位の内容です。しかし未来と言う視点になると分からない部分もあるため今後の海外債券については動向の注意が必要です。

また米国は金利が上昇局面を迎えている昨今では、金利政策にて利上げが決定されれば価格が下がる可能性もあります。またインフレ率も2%台後半と高めです。そして2019年はユーロ側の金利を上げて行く政策が予定されているためこれも注意です。

私達は日本に住んでおり、国際情勢の中では比較的に強い日本円という貨幣を用いて投資信託を購入します。そのため今までの実績では有事の際に日本にもお金が集まりやすい傾向にあり、結果として円高になりやすいことも注意点です。これは戦争でも、金融危機についても同様のことです。

■終わりに

eMAXIS slimシリーズを含めた、全ての投資信託の評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。

・投資信託 評価記事一覧

そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。

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