今回のブログ記事はeMAXIS Neo 宇宙開発の私的評価を記載していきます。
この投資信託は宇宙関連の銘柄に投資可能である面白いものですが、AIを活用して投資を行っているという特徴もある、今後が楽しみなインデックス商品の一つです。
早速内容を記載していきますが、本記事のデータは2018年10月7日時点でのものとなります。
eMAXIS Neo 宇宙開発の商品概要
対象インデックス | Kensho Space Index |
ファンド形態 | ファミリーファンド |
信託報酬 | 0.7776% |
実質コスト | 情報無し |
販売手数料 | ノーロード |
投資信託の分配金 | 不明 |
投資対象 | 米国とその他 |
銘柄数 | 28 |
純資産 | 4.52億円 |
Kensho Space Indexという物珍しいインデックスを使用するものですが、これは企業の開示情報などの膨大な情報をAIにて処理し、米国市場に上場している世界各国の企業の銘柄を選定しています。これはもちろん日本も含むこととなります。
純資産は4.52億円と少ないですが、設定日が2018年8月6日という商品であることから少ない期間でこれだけの金額を集めることが出来たという観点では、十分な程です。
分配金と実質コストについては若い商品であるため、まだ情報はありません。
また構成は以下の通りとなっています。
国 | 比率 |
米国 | 91.45% |
イスラエル | 3.00% |
カナダ | 2.83% |
スイス | 2.73% |
セクター | 比率 |
資本財 | 77.79% |
テクノロジ・ハードウェア | 11.64% |
ソフトウェア・サービス | 4.84% |
半導体・半導体製造装置 | 3.03% |
素材 | 2.70% |
圧倒的に米国で構成されており、他国は僅かに割り振られています。また日本の銘柄は選定されていない状態です。しかしこれは宇宙開発の予算を見れば圧倒的に米国が有利であるため、この比率が適正と思う所です。
なぜなら予算の話をすると、JAXAの予算のみを挙げるとすれば約1500億円、そしてNASAは2兆円近くと10倍近い差が出てくるため、その規模は圧倒的と言えることから米国の比率がこれだけ高い理由も頷けます。なお日本の宇宙開発の予算に関しては紆余曲折あって本来はJAXA単体で計算するのは適切ではないのですが、ここはあえてJAXAのみとさせて下さい。
また米国の宇宙開発に関しては、トランプ大統領が目論んでいる宇宙軍の計画が進行すれば、その規模はさらに拡大する可能性もあります。
そしてセクター比率としては極端に資本財が多い比率となっています。もともとテーマ系のインデックスはセクター比率が偏りやすいため、ここは致し方ない部分でしょう。
ちなみにこれは蛇足ですが、他にKensho Global Space Indexというものがあり、こちらは日本株のIHIが含まれているため日本の宇宙関連株に投資が可能となりますが、このインデックスを含む投資信託は私の知る限りでは日本にありません。
次に構成銘柄を確認しましょう。
出典:eMAXIS Neo 宇宙開発 月次報告書
宇宙関連にかなり詳しい方でないと知らない銘柄ばかりでしょう。宇宙に結構特化した銘柄から、全体事業の一部が宇宙関連というものもありますが、全体的に有名なのはボーイングが挙げられるでしょう。なお多くの国が衛星や宇宙機などを作成する際は、アメリカや欧州の機器を調達しなければまともなものは作れません。
自国で作成するとなると、衛星などの機器を打ち上げて、宇宙空間で動作を検証しつつ実証を取って、でも製品の練度が乏しいことからすぐに壊れて、また精度を高めた新しい衛星などを打ち上げて…というサイクルとなるため、そのコストは膨大なものとなります。
予算の大きさとその積み上げてきた歴史と実績から、米国や欧州等とその他の国では技術力に途方もない隔たりがあります。そのため他国で衛星などを制作する際にはアメリカや欧州などから調達した方が確実で品質の高い、そして何より宇宙空間で数年動作したという確実な実績のある商品が調達できるのです。
特に衛星などは宇宙に放り出すために100億円など凄まじい額が掛かり、かつその後は修理が不可能であることから機器には確実な実績のあるものが求められます。宇宙空間で動作したことの無い機器以外は信頼が無いのと同等であり、世界の市場では見向きすらされません。つまり実績のある企業の製品で無ければ価値は無いに等しいのです。
そのため宇宙開発先進国である米国は圧倒的に技術力の差があることから、構成銘柄10位が全て米国となることは当然の結果です。ただ将来についてはどうなるか分からないでしょう。
このKensho Space Indexのトータルリターンは
2013年5月 ~ 2018年10月のデータになりますが、この期間で100ドルから300ドルとなっていることから、5年間とちょっとで合計200%のリターンがあったということになります。
年率にするとざっと毎年12.4%近くのリターンであるため、十分なほど高いリターンであると言えますが、トランプラリーの恩恵もあって後半では角度が急上昇していることを忘れてはなりません。
ただ多くの銘柄は宇宙開発関連で100%の利益を出しているわけではなく、他の事業での利益もあることから宇宙が凄いとは言い切れないのですが、AIが選んだ銘柄としてはこの通りの実績があることが、データとして存在するということです。
総括
宇宙関連は新しく画期的な技術が発見されればその分野は相当な活気が付くかもしれませんが、それは反重力や類まれなる新推力エネルギーなどの技術であったり、その他新規技術などが考えられるため、相当に未来の話となるでしょう。
ただ今後は宇宙という膨大な資源から得るリターンはいまだ不確定であり、それは研究者の方々が日々費やす頭脳より、一歩づつ研究と実証を重ねた上で、様々な方々へともたらされるものになります。
少々話は逸れますが、もし日本で宇宙関連株に投資をするとなると、衛星開発メーカの三菱電機が首位で、時点でNECです。両方とも宇宙関連ではそこまで利益を上げているわけではありませんが、ただ三菱電機は将来の宇宙機市場の拡大を予想しており、宇宙関連の設備投資を積極的に行っている事から、遠い未来には利益の比率が変わる可能性があるかもしれません。
他に挙げるとすれば、ロケット打ち上げという輸送関連株として挙げると、三菱重工とIHIとなるでしょう。
そして話を戻しますが、今のところは多くの米国企業に投資可能となるeMAXIS Neo 宇宙開発は、今後を見越して投資する意味では面白い投資信託だと考えており、私もいくらか資金の投入を試みたいとは思っています。
■終わりに
投資信託の評価記事一覧を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。