今回のブログ記事はオリックス不動産投資法人を紹介していきます。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年3月3日時点でのデータとなります。
概要
銘柄名の通りオリックスグループをスポンサーとする総合型リートです。また上場が2002年となっており、これはJリート最古参となる2001年に上場した日本ビルファンド投資法人との差が1年と近いほどとなっています。
そしてこのリートはポートフォリオの収益性と安定性の両面を考慮し、以下の目安の設定をしています。
- オフィス:およそ50%設定で、そこから±10%
- 商業施設・住宅・物流施設・ホテル等:およそ50%設定で、そこから±10%
オフィスの成長性を取り込みつつ、その他でバランスを取る構成としています。また地域に関しては首都圏を約70%と設定しており、人口の集まる部分にも集中投資を行うスタイルです。
ちなみにメインスポンサーであるオリックスグループですが、その企業活動の中に不動産関連も含まれていますので、このリートは適宜オリックスグループからの物件取得も行っています。
各データから見るオリックス不動産投資法人の状態
少しだけ各情報の補足すると、NOIに関しては賃料収入であり、これは収入から実際に発生した管理費や固定資産税などの経費のみを控除したものです。つまり、純利益率のようなものと考えて下さい。
NAV倍率は純資産価値に対する投資口価格(株価)の割安度であり、 株式のPBRに近いものです。
それでは基本的な情報を見て行きましょう。
項目 | 情報 |
投資口価格 | 182100円 |
決算月 | 2月 / 8月 |
分配金利回り | 3.77% |
物件取得額合計 | 6689億円 |
物件数 | 111棟 |
NAV倍率 | 1.07 |
NOI利回り | 5.08% |
有利子負債比率(LTV) | 42.79% |
含み損益率 | 12.99% |
構成 | 総合型 |
格付 | S&P:A JCR:AA R&I:AA- |
築年数 | 15.88年 |
前期平均稼働率 | 99.3% |
一番注目する所はS&P・JCR・R&Iの3社から格付を取得しているという所で、どれも高い評価を取得している点は流石のオリックスといった所でしょう。また高い格付けということもあり、日銀が購入している銘柄です。
物件取得額は6689億円という大型リートであり、また物件数も数多く保有しています。また含み損益率も12.99%と良い値です。NOI利回りも5.08%と大型リートでは十分な値です。
またNAV倍率は1.07であり、投資口価格としてはそこそこの資金が流入している状態です。
そして有利子負債比率については42.79%と上手くコントロールされている印象です。
築年数については2015年くらいから順調に伸びつつあり、15.88年となっています。これは右肩上がりの築年数ではあるのですが、個人的にはオリックス井上社長の今後の展望もあり、気にはなるが特に問題は無い部分だと考えています。
なお稼働率は99.3%と、非常に良好です。
各決算データと地域別の分散状態
第31期 (2018年8月) |
第32期 (2018年2月) |
第33期 (2018年8月) |
|
営業収益(百万円) | 22484 | 22987 | 23754 |
営業利益(百万円) | 10192 | 10610 | 11124 |
当期純利益(百万円) | 8657 | 9116 | 9629 |
1口当たり純資産額(円) | 124883 | 125054 | 126235 |
賃貸NOI | 16010 | 16179 | 17073 |
1口当たり分配金(円) | 3230 | 3299 | 3489 |
3期分を見る限りは安定した利益を出しており、順調な推移となっています。
2017年頃からに物件の取得をかなり絞り始めてはいるのですが、物件の成長や賃料の改定もあり、ある程度の成長が続いている状態です。
今回は賃貸NOIを掲載していますが、ここから分かる通り賃料が順調に上昇していることが顕著に分かります。上手いことやっている、そんなイメージです。
取得額比率
事務所 | 53.7% |
ホテル | 13.5% |
商業施設 | 13.8% |
住居 | 10.6% |
物流施設 | 5.5% |
その他施設 | 2.9% |
ここは冒頭で説明した通り、ポートフォリオは方針に従って構成されており、成長性の事務所を主体として比率を高め、その他によって分散していく構成です。
つまりリスクは適切に取るが、分散によってある程度のリスクを緩和していくイメージです。
上位物件
順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 |
1位 | ホテルユニバーサルポート | 340億円 | 5.08% | ホテル |
2位 | サンルートプラザ東京 | 268億円 | 4.01% | ホテル |
3位 | アークヒルズサウスタワー | 220億円 | 3.29% | 事務所 |
4位 | オリックス赤坂2丁目ビル | 219億円 | 3.27% | 事務所 |
5位 | ウエストパークタワー池袋 | 205億円 | 3.06% | 住居 |
大阪のユニバーサルスタジオの直ぐ隣にある、ホテルユニバーサルポートが旗艦物件となっています。これはオリックスグループの方が2010年から保有していたホテルであり、2018年にこのオリックス投資法人が取得しました。ユニバーサルスタジオの成長もあり、非常に良い恩恵を受けている物件です。
サンルートプラザ東京に至っては東京ディズニーランドの周辺にあるホテルとなっており、かなり人気の高いレジャーランドに隣接している、価値の高い物件を保有しています。
地域別
東京 | 41.3% |
関東地区 | 18.6% |
中部・近畿地区 | 20.5% |
その他 | 9.3% |
人口の集まる首都圏を主体に分散しているイメージです。鹿児島から札幌まで幅広い地域で分散しつつですが、要所は抑えてポートフォリオを構築しています。
総括
総合型のリートでオススメをするとなると、この銘柄が上位に挙げられる程のリートだと思っています。成長性と分散性のリスクバランスも取っており、流石のオリックスと言える部分です。分配金利回りはそこそこですが、安定性と言う観点から十分な程です。
ただこの2017年からは新規取得の物件を控えてつつあり、この先の展開を予測して動いている可能性もあると私は妄想しています。
この投資法人が、どこまでオリックスの井上社長と繋がりがあるかは不明ですが、井上社長はマンション売れ残りや五輪特需の展望などからここ1~3年の不動産市場は買い場がくるというインタビュー記事が出たことから、その方向性について明言しています。
そのガバナンスが効いているとすれば、新規物件取得を少なくしているという動きも納得できる部分はあります。そのためこのオリックス投資法人の動きにはかなり注目すべき部分があると、個人的には考えています。
終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。