東証で購入可能なプラチナETFの中で、一風変わった特徴を持つETFが純プラチナ上場信託(現物国内保管型)【1541】があり、愛称はプラチナの果実と呼ばれる商品です。
このETFは金の果実シリーズと呼ばれる商品群の一つで、三菱UFJ信託銀行より発売されているものです。なおこのシリーズは4商品存在し、どれもコモデティに投資するETFとなっています。
なお金の果実シリーズは面白い特徴をもっており、それは4つのETF全てが現物に転換が可能というところです。しかし現物にするためには何百万以上という相当な金額でETFを買い付ける必要があり、これは消費税や各種手数料が発生します。
では以下より内容を記載していきます。なお、本記事の情報は2019年3月1日時点での情報となります。
基本情報
- 信託報酬(税込み):0.540%
- 分配金:なし
- 価格指標:東京商品取引所におけるプラチナ1グラムあたりの採用先物価格を、プラチナのフォワードレートで現在価値に引き直した理論価格
プラチナというコモデティへの投資のため、信託報酬はそこそこの値段で設定されています。
また日本のETFにおいてはプラチナに投資可能な商品は3つありますが、流動性や取引の難易度を考えると、ETFでプラチナ投資を試みるのであればこの商品がベストです。
転換(交換)の概要
購入した純プラチナ上場信託ETFを金に変えることを転換(交換)と呼びますが、これが中々特殊な構成をしており、また転換可能な証券会社も限られている状態です。
その転換については、大枠として以下の通り2種類あります。
- 小口転換:一回の手続きで1kg~5kgまで(1kg単位)受け取ることが可能
- 大口転換:20万口以上の口数を保有していること
本記事は個人投資家にとってまだ現実的と言える、小口転換の方を記載して行きます。
小口転換可能な証券会社
まず小口転換可能な証券会社は以下の3つとなります。
- カブドットコム証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- SBI証券
カブドットコムと三菱UFJモルガン・スタンレーは三菱UFJグループとなりますので、小口転換可能となる理由が頷けます。ですがSBI証券にて小口転換が出来るのはその手広さに驚嘆します。
なおその他の証券会社からも、上記3つの証券会社を経由して転換が可能となるところもあります。
小口転換に必要な口数(2019年3月1日時点)
1kg | 2kg | 3kg | 4kg | 5kg | |
純プラチナ上場信託 | 1055口 | 2109口 | 3164口 | 4218口 | 5272口 |
上記の基準は市場の価格動向によってもちろん変化します。ですが一口の価格が2944で計算すると、ETFの買い付けのみで311万近く必要になるということです。
転換の手数料
以下の手数料と売却益によって算出されます。
- 消費税
- 転換取扱手数料
- 貴金属地金送料
- 改鋳費用
- 証券会社への支払手数料
- 1g未満端数売却金額
1~5は各種手数料となりますが、6は余ったグラムを売却益としてくれます。
なお5の証券会社への支払手数料については各証券会社によって異なり、無料の所もあれば、5250円など掛かるところもあります。
そしてざっくりとした費用を例として表すと、以下の様になります。(金の価格を参考値としています)
出典:三菱UFJ信託銀行
2017年4月28日付の数値を元に試算しており、現在の価格とはもちろん異なります。そして証券会社への手数料は含まれていません。
プラチナそのものを購入した価格として消費税が掛かるため、それだけで8%計算で36万近くの消費税の負担が掛かります。そのため気軽に転換することは難しい金額となっています。
小口転換の流れ
個人投資家の視点で、かなりざっくりとした流れを示すと以下の通りとなります。
- 証券会社へ転換を申し込み、料金を支払う
- 三菱UFJ信託銀行側より宅配で届く
転換の申し込みが手間を取りますが、それが終われば金塊が自宅へ配送されます。
現物のプラチナに変換可能な面白いETF。購入に検討可能である
現物のプラチナへと転換するには手数料が掛かるため気軽には出来ませんが、そのような手法が存在する面白いETFです。またこの利点もあるためか市場での板が厚く、売買も安心できるほど流動性の高さがあります。
信託報酬についてはプラチナETFの中で最安値ではありませんが、その差は大きくても0.05%とさほど気にしなくても良いほどであり、それよりも流動性が圧倒的に高いことを考えると、ETFでプラチナ投資をする場合はこの純プラチナ上場信託がベストと言えます。
証券会社等でプラチナを購入するという方法もありますが、こちらは購入時に手数料というランニングコストが掛かるという欠点があります。ただ信託報酬を考えると、手数料によって異なる部分はありますが、2.76%の手数料が掛かる場合は約7年以上での長期保有では安くなるとも言えますので、利点も存在するためスタイルによってお好みで選ぶ部分でしょう。
また純プラチナ上場信託(現物国内保管型)は東証で売買でき、SBI証券や楽天証券などのアクティブプラン等を活用して手数料を無くすこともできますので、プラチナ投資ではこのETFで買い付けを行うことが視野に入るほどと見ています。
ちなみにプラチナ自体は金よりも産出量が低いことから希少価値があると言えるのですが、古来より金の方が諸々の人気があるため、有事の際などを考えると金に軍配が上がるとは言えますが、それもスタイルによって変える必要があるでしょう。
ただコモデティ投資においては、何が原因で上昇するか分からない部分があります。その例としてはパラジウムが挙げられますが、これは自動車の部品に適用できることから大きな値上がりが起こりました。この事象によってプラチナに流れていた資金がパラジウムに移ったという説もある位です。
この通りプラチナも将来何らかの要因で上がる可能性もゼロではありません。そのような背景もあって、コモデティ投資をする方の中には、金をメインに据えて他に分散していくというスタイルを持つ方も存在します。
なお私はプラチナ投資においてこのETFを10口近く買い付けていますので、9.47グラムのプラチナを保有していると言えます。現物に転換が出来る程の量ではありませんが、そう考えると面白くなるのではないでしょうか。
終わりに
月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。