今回のブログ記事は、配当(分配金)の利回り6%前後で推移する、さくら総合リート投資法人を記載していきます。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年1月19日時点でのデータとなります。
■概要
スポンサーに豪州ガリレオグループと日本財管を持つリートであり、またこのリートの設立自体もこの2社によって行われました。
運用資産としては総合型となっており、その内訳としてはオフィス、モール、住宅、工場と様々な色を混ぜる形で構成されています。
ポートフォリオの方針として、オフィス、住宅、商業施設、その他施設の保有を設定しており、その比率は以下の通りとなっています。
- オフィスビル:30~60%
- 住宅:10~30%
- 商業施設:30~60%
- その他の施設:0~20%
グロース気質をもつオフィスを多く、成長と安定の中間に位置する住宅を少なめに、そして安定性としての側面を持つ商業施設をメインとして、ポートフォリオの構築を行っていく方針です。
また物件タイプやエリア、テナントの過度の集中化を避けることを目標ともしており、分散性を意識しつつの運用で、物件を保有していく方針もあります。
■さくら総合リート投資法人の状態
項目 | 情報 |
投資口価格 | 85,000円 |
決算月 | 6月 / 12月 |
分配金利回り | 6.12% |
物件取得額合計 | 561億円 |
物件数 | 17棟 |
NAV倍率 | 0.88 |
NOI利回り | 5.64% |
有利子負債比率(LTV) | 46.21% |
含み損益率 | 5.64% |
構成 | 総合型 |
格付 | なし |
築年数 | 21.76年 |
前期平均稼働率 | 98.6% |
分配金は6.12%と高めになっており、このリートはおよそ6%の前後で推移します。
そして物件取得額は561億円と小型リートに分類されるため、成長過程であるとは言えるのですが、地域分散を方針として掲げている事もあるので、そこまで高くなっていない見方もあります。
そしてNAV倍率は0.88であり、投資口価格としては低い値で推移していることが分かり、人気の薄いことが伺えます。
またNOI利回りは5.64%であり平均値に近いと言えます。悪くはありません。
含み損益率は5.64%でありますが、物件の種類とエリア分散されていることもありますので、この値となるのも個人的には納得しています。ただ首都圏に保有しているオフィスの鑑定額が高いかと言うと、マイナスにはなっていないが多少プラスである、という所です。
そして有利子負債比率については46.21%とそこそこであり、高くもなく、低くもない状態です。
なお稼働率は98.6%であり、高めに推移している状態です。
■各決算データと地域別の分散状態
第1期 (2017年2月期) |
第2期 (2017年8月期) |
第3期 (2018年2月期) |
第4期 (2018年6月期) |
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営業収益(百万円) | 2253 | 2430 | 2662 | 1768 |
営業利益(百万円) | 1059 | 1089 | 1304 | 854 |
経常利益(百万円) | 510 | 954 | 1153 | 615 |
当期純利益(百万円) | 509 | 953 | 1152 | 615 |
純資産額(百万円) | 29763 | 30208 | 30407 | 29870 |
総資産額(百万円) | 64399 | 63133 | 63197 | 62752 |
自己資本比率(%) | 46.2 | 47.8 | 48.1 | 47.6 |
1口当たり分配金(円) | 1529 | 2863 | 3460 | 1848 |
第4期(2018年6月期)は異常に利益が低くなっているように見受けられますが、これは決算月を「2月/8月 → 6月/12月」へと変更した事により発生しており、これによって4月分の評価しかされていないため、値が変動しています。そのため次回の決算では値が多少回復する見込みです。
ただ各値の数値が右肩上がりではあるが、次回の決算にて減少する可能性もありますので、注意が必要だと考えています。
上位物件
順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 |
1位 | 成信ビル | 79億円 | 14.05% | 事務所 |
2位 | シュロアモール筑紫野 | 77億円 | 13.68% | 郊外型商業施設 |
3位 | ラパーク岸和田 | 65億円 | 11.52% | 郊外型商業施設 |
4位 | シュロアモール長嶺 | 42億円 | 7.45% | 郊外型商業施設 |
5位 | 西友水口店 | 42億円 | 7.40% | 郊外型商業施設 |
地域別
東京 | 43.4% |
関東地区 | 11.6% |
中部・近畿地区 | 23.8% |
その他 | 21.1% |
東京の比率が多めですが、その他の地域にも分散されているとも言える状態です。
ちなみにオフィスは、ほぼ東京に集中しています。1件だけ神奈川です。建物自体は大型のオフィスという訳ではなく、どちらかと言うと小型に近いものばかりです。
そして旗艦物件の成信ビルは東京の新宿にある含み益は11%の物件であり、このリートで一番の含み益となっています。
また上記のデータだけでは推測することは難しい部分を記載すると、成長性を見込むオフィスを東京で保有し、その他の物件を他地域に分散するという構成で、ポートフォリオを構築しているイメージです。
なおポートフォリオに工場という特殊な施設が含まれており、これは船橋ハイテクパークという施設で、名の通りハイテク関連の誘致を目的としている工業団地です。
■分配金利回りは高いが、高いが故のリスクもあり
分配金利回りが高いリートですが、上場してからそれほど年数が経過していないため、今後の資産運用をどの様に上手く行っていくかが注意点です。
そもそもの話ですが、リートの分配金利回りについては、株式と同様にリスクが高ければ高いほど分配金利回りが高めです。つまり分配金が5~6%を超えるような高利回りのリートについては、そのリスクによって高くなっているという見方があります。
このさくら総合リート投資法人は成長中のリートであり、運用資産と地域を分散することによってそのリスク軽減を図っているが、純資産は少ないことから体力も少ないという欠点を持ちます。つまり高い分配金利回りではあるが、それなりにリスクはあるという事です。
そして地方に分散しているため純資産は今後も緩やかな成長となることが見込まれます。これは欠点でもありますが、当然ながら地域分散という利点があります。
■終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。