Jリートに投資可能なETFは幾つか存在しますが、その中で低信託報酬を争う商品の一つとしてiシェアーズ Jリート ETF(1476)があります。
分配金利回り(配当利回り)としては3%付近であるため、高分配金として名を馳せているJリートは5~6%であることを考えると少々物足りなく感じるところはありますが、インフラファンドを除く全リートに投資可能なETFとしては分散性の視点からは優秀な部類です。
以下より内容を記載していきます。なお、本記事の情報は2018年11月4日時点での情報となります。
基本情報
対象インデックス | 東証REIT指数 |
コード | 1476 |
構成銘柄数 | 62 |
分配金利回り | 3.21% |
純資産 | 1600億円 |
信託報酬 | 0.1728% |
分配頻度(決算月) | 年4回(2、5、8、11) |
インデックスとしては有名な東証リート指数を用いており、これはインフラファンドを除く全リートに投資可能とする、Jリート投資においては優秀な指数と言えます。
また信託報酬は0.1728%と低く設定されています。純資産については圧巻の1600億円であり、かなりの資金が流入している印象です。
そして構成銘柄数は62となっています。記事を記載している時点ではJリートの全銘柄を表すと61銘柄となりますが、このETFは先物が1つ含まれているため62銘柄となっています。
なお分配頻度は年4回です。Jリートの個別銘柄は年に2回と分配金が出ますが、銘柄ごとにかなり分配金の出る月が分散されており、これによって安定的に分配金が出るようになっています。
次に上位10銘柄を確認しましょう。
銘柄名 | 比率 |
日本ビルファンド | 7.29% |
ジャパンリアルエステイト | 6.80% |
野村不動産マスターF | 5.02% |
日本リテールファンド | 4.57% |
ユナイテッドアーバン投資 | 4.40% |
オリックス不動産投資 | 4.03% |
大和ハウスリート | 3.60% |
日本プロロジスリート | 3.52% |
アドバンス・レジデンス | 3.25% |
GLP投資法人 | 3.22% |
上位10銘柄は時価総額が上位に来るような大型リートで占められており、安定感を主体とした構成としています。
特に日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトなどは物件取得額が1兆円を超えるものであり、かつNAV倍率が高い、つまり投資口価格が高くなっているもので構成されています。
その事から分配金利回りとしては3~4%付近に位置するためリートの中では低い分配金利回りとなっています。しかしその物件取得額の大きさから比較的に安定することもありますので、分配金は犠牲にするが安定性を取るイメージになると言う訳です。
最近のリートは好調であったためリターンは申し分ない様に見える
配当込みのトータルリターンを見て行きましょう。データについてはBLACK LOCK公式より取得しており、2018年10月末時点でのデータとなります。
リターン(年率) | ||||
3ヶ月 | 1年 | 3年 | 5年 | 設定来 |
-0.32 | 11.41 | 12.21 | – | 14.46 |
近々では市場の急落があったため、3ヶ月リターンではマイナスとなっていますが、1年以上のリターンでは11%を超える大台を叩き出しています。
この1年ほどはJリート全般が異常に好調であったため良いリターンが出ている事になりますので、今後はどの様に推移するかは難しく考える所があります。
Jリート投資は一括で投資せず慎重に
2017年~2018年にかけてJリートは非常に好調な状態であり、全世界の債券・株式の市場が荒れる中で大きな変動もせず、とても良い推移をしているように見受けられますが、今後は慎重を期すべきと私は考えています。
そもそものJリート価格が上昇している理由としては、好景気という要因も大きく影響がありますが、もう一つの理由としては東京オリンピックの存在が挙げられます。これにより関東圏の不動産価格に変動が生じている可能性が非常に高いです。
特にJリートの中でオフィス系などは東京に固めているものが多く、それらの銘柄を確認すると顕著な値上がりの影響が出ているように見受けられることから、少々過熱気味の傾向であると捉えることも出来ます。
そのため特に東京オリンピックの開催前~終了後のいずれかの期間を起点として、投資口価格がどの様に推移するかを注意する必要があると私は見ています。つまりJリート投資は慎重に行うべきとのスタンスを取る方が良いかもしれないとの要旨です。
個別銘柄の高い分配金は犠牲にするが、全リートを保有できる点が強み
インフラファンドを除く、全リートに分散して保有できることは非常に強みになると考えています。個別リートに投資して大きな価格変動を受けることなく、分散投資によって価格変動性を低く抑えるということも可能です。
分配金利回りを確保するのであれば個別銘柄を目指すことになりますが、安定性を重視するならばこのETFを選択することになるでしょう。
なお信託報酬は最安値ではなく、実はダイワ上場投信-東証REIT指数(1488)の方が安値であることは事実です。iシェアーズは0.1728%ですが、ダイワは0.1674%であり、気にならない程度ではありますが僅かな差が存在しています。
そしてiシェアーズ Jリート ETFは分配金を3%前後というそこそこの分配金を受けつつ、価格変動を抑えて保守的に行く良ETFの一つと言えます。ですが前述の通り購入する量を制御することを考えて、選択すれば良いと個人的には考えています。
終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。