日本株でDRIPをシミュレーション 個別株の配当戦略にも期待が出来るか

もし日本にDRIP制度が導入されたらどうなるのか非常に気になったため、簡易シミュレーションをしました。

目的としては、個別株において複利の力で10年間で見たトータルリターンとしてはどれほどの利回りが出せるのかが気になり、数値として導き出したかったことが挙げられます。

ただ、「投資信託を購入すれば色々解決なのでは?」ということはナイショの話です。

 

■DRIPとは配当金の再投資制度

DRIPとは、Dividend Re Investment Programの略であり、これは配当金を受け取った際に自動的に株の再投資を行ってくれる制度です。もちろん日本の株式市場にこの制度はありません。

そして私が一番面白いと思っているところは、再投資の際の買付手数料が掛からないことと、再投資の際に「端数株」という細かい株まで購入することが出来る点です。

他の利点など細かい話はあるのですが、ここは次へ行きましょう。




■今回はJTを選定

本記事を作成するにあたり、どの日本株を対象とするかを非常に悩んだのですが、今回はJT【2914】を選びました。

選んだ理由として、JTは配当利回り的に注目度が高く、そして利益は比較的安定の強い嗜好品が売り上げの多くを占めていること、また法律の段階で日本国が大株主であることが定められており、長期的に破綻が絶対に許されない立場にあることです。

ただ嗜好品とはタバコになりますので、今後喫煙人口が減ることを考えれば営業利益が下がる可能性もあり、かつ日本国が危機的な状態に陥った際にはJT株の保有比率を下げることも考えられます。

昨今の状況を考えてもJT株の価格が下落することと、配当金が下がる可能性もあり、未来を様々な点で考慮するのであれば厳しめに考えるべきとして、その点はお含みさんを頂くべきでしょう。

恐らくベストの選定としては高配当のETFになるのだと思いますが、今回はあえて個別株で攻めます。

 

■JT株のDRIPシミュレーション

まず今回のシュミレーションの条件を設定しましょう。ですが前述の通り未来は不確定であることから、下記の条件とします。ちょっと条件が多いので、読み飛ばしても大丈夫だと思います。

  • 株価は「1株 3000」で固定 (ドローダウン無視)
  • 配当は年間で「1株 150」で固定(半年で75)
  • 配当金は20.315%の課税
  • 株の追加購入はDRIPのみ
  • DRIPとなるため、端数株を設定
  • 期間は10年間

なお参考として、2018年7月13日時点での配当利回りは約5%ほどです。それでは早速表にして行きましょう。

なおDRIPで配当金は全て再投資となりますので、見るべきところは赤字の元本が一番良いでしょう。

年数 元本 保有数 配当 DRIP再投資 株価 配当
0 300000 100 5976 1.99 3000 75
0.5 305976 101.99 6095 2.03 3000 75
1 312071 104.02 6216 2.07 3000 75
1.5 318287 106.1 6340 2.11 3000 75
2 324627 108.21 6466 2.16 3000 75
2.5 331093 110.36 6595 2.2 3000 75
3 337688 112.56 6727 2.24 3000 75
3.5 344415 114.81 6861 2.29 3000 75
4 351276 117.09 6997 2.33 3000 75
4.5 358273 119.42 7137 2.38 3000 75
5 365410 121.8 7279 2.43 3000 75
5.5 372689 124.23 7424 2.47 3000 75
6 380113 126.7 7572 2.52 3000 75
6.5 387685 129.23 7723 2.57 3000 75
7 395408 131.8 7877 2.63 3000 75
7.5 403285 134.43 8033 2.68 3000 75
8 411318 137.11 8193 2.73 3000 75
8.5 419511 139.84 8357 2.79 3000 75
9 427868 142.62 8523 2.84 3000 75
9.5 436391 145.46 8693 2.9 3000 75
10 445084 148.36

10年間が経過した段階で元本は145084のプラスとなるため、少々複利の考えを無視すると、単純に考えて1年間ごとに4.8%のリターンになるわけです。もちろん課税後の利益で4.8%です。

JTの配当利回りは約5%となるため、元本から考えて配当金の20.315%の課税圧力から脱しそうな威力がDRIPにあると考えてよいでしょう。

そしてこの設定では株価が上昇していないため、課税については配当受領時に払い終えており、元本を全て売却したとしても445084の金額からは課税で引かれることがありません。

なお上記の表は増配を設定していません。配当が年々と増えて行けばリターンもさらに大きくなるでしょう。

しかし10年間と長い期間を用してしまうとも言えるのですが、ここは更に20年間DRIP運用をした場合のリターンをグラフにします。表はデータが多すぎて断念です。

グラフにすると分かりづらいのですが、最終的に660339になるためトータルリターンは360339のプラスとなり、これは課税後の利益が、単純に考えて年間で約6%づつ得られた事になります。また元本から考えると120%になったとも言えます。

複利の力が後半になるにつれて爆発していく動きになるのですが、こんな事って本当にあり得るのかな、作成した私自身が懐疑的になるリターンです。

 

ただ、ここであえてマイナスの思考を持ち出しますが、幾ら国が関わる企業でも20年間持つという確証は無く、それだけ長ければリセッション(景気後退)による影響も受けるでしょう。

今はアベノミクスによる日銀ETF買い付けの影響により株高が演出されている側面もあるため、政策の変更や政権交代が起これば、今後は下落の危険性だってあります。

ということでリセッションおじさんの血が騒ぐため、物凄く唐突ですが10年間と緩やかにリセッションした場合はどの様になるか、表にしてみましょう。

条件は以下を追加しましょう。なお、当然ながら株価の-2%の数字と、減配の-2円という数字については、何の根拠もありません。

  • 株価は「年間 -2%」の下落
  • 配当は年間「 年間 -2円」の減配(半年で1円)

 

年数 元本 保有数 配当 DRIP再投資 株価 配当
0 300000 100 5976 1.99 3000 75
0.5 299856 101.99 6014 2.05 2940 74
1 299753 104.04 6051 2.1 2881.2 73
1.5 299688 106.14 6089 2.16 2823.58 72
2 299661 108.29 6126 2.21 2767.1 71
2.5 299672 110.51 6164 2.27 2711.76 70
3 299719 112.78 6201 2.33 2657.53 69
3.5 299802 115.11 6237 2.39 2604.38 68
4 299918 117.51 6273 2.46 2552.29 67
4.5 300067 119.97 6309 2.52 2501.24 66
5 300248 122.49 6344 2.59 2451.22 65
5.5 300461 125.08 6378 2.66 2402.19 64
6 300702 127.73 6412 2.72 2354.15 63
6.5 300972 130.46 6445 2.79 2307.07 62
7 301268 133.25 6476 2.86 2260.93 61
7.5 301589 136.11 6507 2.94 2215.71 60
8 301934 139.05 6537 3.01 2171.39 59
8.5 302302 142.06 6565 3.09 2127.97 58
9 302690 145.15 6592 3.16 2085.41 57
9.5 303096 148.31 6618 3.24 2043.7 56
10 309714 151.55

株価はなんとなくで2000を目標値としたため-2%としていますが、減配もかなり適当な数値で1年間で-2ですが、この設定であれば元本を割らないようです。

日本株の場合は多くの株式において配当の頻度が1年に2回のため、米国株は1年に4回が基本であることを考えれば、その時間的な分散頻度は米国株と比較した際に劣ると言えるかもしれません。

でも一言で総括して、DRIPって凄い。




■所感

私の投資戦略の一つとして掲げている配当金再投資ですが、配当を受領して毎回思うのが、受け取った配当金では買付手数料の関係から一単元を購入する気にはなれず、数ヶ月と宙に浮かぶ状態が続きます。

逆にそれがフルインベストメントにならず、リスクを下げるという形になる良い部分もあれば、投資資金を無駄にするという難しい所があります。

 

そして日本株は優待制度があるため、ミニ株を購入するより100株を購入して優待を受ける方が利回りについては圧倒的に高くなることがあるため、完全にDRIP制度の親和性が高いと言えないところがあります。

ただし、複利の効果を得られると言う観点では凄まじいポテンシャルを秘めており、配当株しか恩恵を受ける事しか出来ないかもしれませんが、この制度が導入されれば投資戦略に革新的な幅が広がるかもしれません。

日本に導入されて欲しいなぁ…と切に願うのですが、パフォーマンスがガタ落ちしますが最悪で端数株の導入は考えなくても、それに関わる方々の労力は凄まじいことが考えられるため、声を大にして言えない私が居るのが現状です。

 

そして、もしNISA口座でDRIP出来たらリターンはトンでもないことになり、途中売却の考えが少なくなるなどと妄想していますが、それは困難なストーリーでしょう。


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