日銀が物価上昇を目標として日本株ETFを買い付けていることは周知の事実ではありますが、この買い付けについては開始の2010年から徐々に増加し、今や年間4~6兆円くらいのレンジとなっています。
その日銀の買入れ額は、過去より日銀が情報をリリースしています。あくまで買入額ではありますが、それを示すと以下の通りとなります。
年 | 買入金額 |
2010年 | 306億円 |
2011年 | 8646億円 |
2012年 | 6843億円 |
2013年 | 11252億円 |
2014年 | 13217億円 |
2015年 | 31615億円 |
2016年 | 46903億円 |
2017年 | 59931億円 |
2018年 | 65604億円 |
2019年 | 44300億円 |
実際は諸々の計算から、見方によって何百億くらいという大きいブレが出るのですが、日銀が買入れを行いましたよ、という情報のみを抽出すると上記の通りとなります。
上記の合計額は28兆円になるのですが、日本市場の時価総額が600~640兆円近くと考えると、この額は無視できないレベルです。
そして、この日銀によるETFの買い付けは流動性を損なうなど様々な問題を抱えており、喜ばれる状況ではない事実があります。
しかし投資家視点で見ると、これによって日本市場の指数が上昇するだけでなく、また底が固くなるという利点もあって、個人投資家としては複雑な感情があります。ですが仕事上の景気を含めてその利益を少なからず得ているという背景もあります。
でも2019年は買い付け額を減らしていたりとブレが生じている模様で、出口戦略を含めてその行く先は不透明。この先はどうなるかについては誰にも分からないレベルと言って良いのではないでしょうか。
さて話は変わりますが、この日銀が買い付けたETFというのは実際の中身が株式やJ-REIT等となるわけですから、もちろん配当(分配金)が出る代物なのですよね。これによって日銀はそれなりの利益を得ているという事実があり、これがちょっと面白い部分でもあるのです。
配当金は企業が獲得した利益を基に出しますが、それがETFを大量に買入れている日銀にも出している構図というがあるのです。これによって日銀の経常利益の上昇に繋がっており、回りまわって日銀と言う不思議な流れで配当が入る状況になっている。
この状況はもちろん歪みに歪みを呼ぶとも言えるのですが、でもこの構造って企業が利益を出すと日銀にある意味で還流するという点で、個人的に色々な意味で面白いと思っているんです。
そして日銀は日本国債を大量に購入している訳ですから、ここでも国内で訳の分からない事をやっているのであって、それもまた混沌としている。しかし、この状況が将来どの様に作用するのか私としては楽しみでもあるのです。
だって未来が不確定すぎて、素人目にはこの状況が良い・悪いのうち、どちらに転ぶか全く分からない様に見えるのですから。