為替って本当に分かりません。何をどう読んでもどう動くか分からない、これに尽きます。
為替に関する本を数冊と読むことはありますが、それぞれに過去の対ドル為替が200円となっていた理由や、リーマンショック時の70~80円台の超円高に対する、その理由について推測が記述されており、もちろん納得できる部分はあるのですが、それが確定と言えるかどうかについては不明です。例えば過去に200円台となっていた理由は、そもそもの日本の経済状況を考慮すると異常な円安であったとの論もあるのですが、どうにもその理由を決めつけることは非常に難しい。
そして為替については市場原理が働きますから、当然ながら未来を織り込むという動きもします。また政策による影響を受ける事もあり、為替変動の理由を掴むことは株価以上に困難です。ましてや国家間の金利差にて、ある程度のコントロールが可能であった過去の時代とは異なり、昨今では金融緩和による超低金利のしこりが継続して残り続けているため、状況が変化し続けているという、歪んでいる環境とも言えるでしょう。
さて前置きはここまでになりますが、そんな昨今の状況では、過去のリーマンショック時の超円高の事を引きずる傾向が強く、円高の危険性について述べられることが多いのかなとの印象があります。この理由の一つとしては、円は安全資産と言われている事が強い側面があるからですね。私も何らかの危機が発生した場合は、円高になりやすいだろうとの見方をしていますし、記事の各所でその様なことを書いた記憶が鮮明にあります。
ですが、ここで一旦立ち止まって少し思うのが、なぜ私は円高ばかりを考慮し、円安の可能性は考慮にいれないのか?という疑問です。つまり、今までの傾向を見ると緊急時には当然ながら円高となる傾向が強いため、この過去の実績を見過ぎているのではないかと、考え始めた所があるのです。
いやしかし、昨今の米国の金利に対する状況を考えると、普通に考えれば米国が金利を下げるだろうという見方が強いため、この金利だけの話であれば円高に推移する可能性が高いと見るのが通常だと思います。しかしこの見方が出ている状態、つまり為替市場がそれを織り込む段階で対ドル為替が108円となっており、思ったより下がらないという印象があります。根拠はありませんが、どうにもそんな雰囲気がある、という事です。
もちろん日本は金融緩和などを行っているので、その影響は少なからずあるのだとは感じる所ですが、どうにもその理由で断定するのは正しいのかどうかが怪しい部分です。
また日本の人口減少、いびつな人口構造、政府の財政問題、政府の政策的な問題、そして貿易の状況など、日本には様々な問題を抱えています。もちろん他国も同様の懸念がある事は承知の上ですが、日本にはある程度の、長期に渡って継続的に延焼を続けるだろう問題や、急に爆発する可能性がある問題を保有しているという事実はあります。もちろんこれらの問題については、場合によっては変なインフレを引き起こすものや、激的に円安の方向に推移することが懸念されるものもあるのです。
つまり結論として、円高だけの可能性を見るのも危ないのかな?と考えるようになったと言いたいワケです。最近ふと冷静になった時に、なぜ円安になる可能性を見ていないのかなと思ってから、どうにもその考えを捨てきることができなくなっているのです。
恐らくこの円高のみ見ている理由については、私はドル建てで米国市場に投資していること、また投資信託などで世界分散投資しているため、円安になれば投資の利益が拡大する可能性が高いから、と言う理由も一つあるとは思うのですが、そうだとしても、何らかの要因によって円安の方向へと動くことを考慮に入れておく必要はありそうだ、という事です。