今回のブログ記事は、東証にて購入可能なiシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETFの私的評価を記載して行きます。
ちなみに東証で販売されているiシェアーズシリーズにおいて、この米国債7-10年の商品については為替ヘッジの有無で2商品が存在します。その中でも今回は為替ヘッジ無しの方を紹介します。
以下より内容を記載していきます。なお、本記事の情報は2019年5月13日時点での情報となります。
基本情報
対象インデックス | FTSE米国債7-10年セレクト・インデックス(国内投信用 円ベース) |
コード | 1656 |
構成銘柄数 | 17銘柄(米国国債) |
分配金利回り | 約2.22% |
純資産 | 39億円 |
信託報酬 | 0.14% |
分配頻度(権利月) | 年4回(1月、4月、7月、10月) |
備考 | 為替ヘッジなし |
使用するインデックスは米国国債の7~10年をターゲットとしたものであり、いわば中・長期となる米国の債券に投資可能なETFとなります。
また構成銘柄数は17銘柄であり、米国政府債券への投資を試みるという意味では、コンパクトな銘柄数と言えるかもしれません。ただし銘柄の中には20年以上の超長期米国国債も含まれています。
信託報酬としては0.14%ですが、東証で米国政府の債券詰め合わせを円建てで保有できるという点を考えれば、十分に安いと言える程です。
分配金利回りについては、米国中長期金利を目標としていることもあって2.22%であり、受け取る分配金を考えるとそこそこの数値と言えます。また分配頻度は年4回に設定されており、比較的に高頻度で分配金を受領することになります。
残存期間とデュレーション
加重平均残存期間 | 8.49 年 |
実効デュレーション | 7.51 年 |
残存期間は7~10年以内に収められています。そして実効デュレーションとしては7.51年とそれなりの値ではあります。
なおデュレーション自体のおよその見方を例として表すと、もしデュレーションが7年である場合において、何らかの要因で米国国債の金利が1%変動すると、債券の価格が7%変動する事になります。
つまりこのETFにおいては、全体的に金利が1%上昇すると、ETF自体の価格が7%ほど下がるという事です。ただし、残存期間等の諸々の要因によって変動が生じるため、これは大体の値として捉えておくことが良いでしょう。
ちなみに、このETFでは名前の通り7~10年の米国国債を主として保有していますが、前述の通り実は20年以上の超長期国債(残存期間は短い)が含まれています。つまり残存期間を調整した上で、ミックスして保有しているという事です。
トータルリターン
この1659は設定日が2017年9月27日と上場してから間もないETFであるため、データが非常に限られたものになりますが、トータルリターン1年分を確認して行きましょう
リターン(年率) | |||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 |
9.05% | - | - | - |
上記は年率であるため、下落・上昇する瞬間を含んでの結果です。
記事を記載している時点では、米国の中央銀行による目標金利の操作が停滞しており、かつ貿易戦争等の背景要因があり市場が混乱しているため、米国国債の価格が上昇し、また為替が円高の方向に推移しなかったため、結果として1年のトータルリターンとしてはプラスに推移しています。
今後、米国金利の推移については不透明な要素が強すぎるため、為替ヘッジの無いこのETFにおいてはドルー円の為替による要因等によって、大きく変動する可能性もあります。
総括
もちろん東証で米国債券の中・長期を円建てで購入できるという意味では、良いETFだと言えます。しかし為替ヘッジが無いため、有事の際は円高によってダメージを受けてしまう可能性も視野に入れる必要があります。
日本は、世界的に有事となった場合には円高となる傾向があり、それによって円建て商品は為替によってダメージを受けてしまうため、債券というアセットから来るポートフォリオのクッション特性だけを見て、為替の考慮が抜けている場合は思わぬ下落を受ける可能性があるでしょう。
為替ヘッジ付きで同様のiシェアーズ商品が1482というコードで存在しますが、こちらはヘッジコストが掛かるため、また別の視点で保有を目論む必要があります。
そのため購入する前にスタンスを明確にしておくのが非常に重要です。短期を狙うのか、長期で非常に長い期間で保有するのか、その他を含めて、予め考えておくことが必要なETFであり、かなりテクニカルな考察が必要なものであるという印象を、個人的には持っています。
そもそもですが、債券自体は過去と比べてかなり様相が変わっている状況があり、ポートフォリオに含む場合は慎重に構成する必要があるかもしれません。特に為替の影響を強く受けるものに関してはその傾向があるとの認識です。
リバランス等を考えて、投資信託の2~8均等で保有する程度が無難であるとも考える所はありますが、もしこのiシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETFを保有するのであれば、しっかりとした見通しが無ければ一気に購入するという事は避け、少額で入るくらいの慎重さは必要かと思われます。
終わりに
月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。