3月に行われたFOMCでは米国金利が上昇することなく、パウエル議長からは「忍耐強く見守る」という慎重な表現が出ました。つまり現時点では金利を上げないが、状況によってはどちらにでも動かす準備がある、そんな状況ではあります。
そのような中で米国債利回りの状況はどの様になっているかを確認したところ、短期金利がとにかく収束しつつあって面白い状況となっていました。その米国金利の推移は以下の通りです。
※期間2019年1月2日~ 2019年3月21日
債券の種類が非常に多く、線が沢山あって見にくいのはご容赦ください。
この図からは多くの特徴を確認することができ、非常に面白い。その点を挙げるとすれば以下の通りとなるでしょう。
- 1ヶ月~1年の短期債券は動きが乏しく、上昇または収束傾向にある
- 2年以上の中期・長期の国債は口を揃えたかのように連動している
これによって短期米国債は利回りが入り乱れている状態となっており、どちらかと言うと収束傾向に近い動きをしていますが、やはり安定した推移とはなっています。
しかし、中・長期の国債は下がる局面では極端に下落してしまい、またそれが連動した動きをしている事も含め、結果として短期債券との利回りが逆転するものが出てしまっている、そんな状況となっています。
金利がナイーブな局面では、経済状況との兼ね合いから中・長期の債券には資金が集まりやすく、つまり市場の影響を受けやすいのが特徴です。そのため債券価格の上昇によって利回りが下がる現象が起こります。
変わって短期債券は政策金利の影響を受けやすいため、金利が動かない状況では安定しやすい傾向を持ちます。ですが過去には1か月の債券は暴れまわるような動きをしたことも事実として存在します。
これはそれぞれの債券期間が長くなることによってリスクが変化すること、また債券の流通量による問題もあることでしょう。
この通り、他の経済に関わる数値を見ることなく債券の利回りだけを確認すると、相当な変化が生じている局面になりつつあるとの印象を受けます。
まだまだ債券にお金が集まっている状況とも言えますが、これは債券市場が今後の経済状況を警戒しつつあるようにも見受けられるため、楽観視は決してできないとも思っています。
ちなみにですが、去年は今年ほど収束した動きをしておらず、全債券の利回りが綺麗に離れた動きをしていました。その参考に過去のグラフを以下に示します。
それぞれの債券利回りが上手い具合に離れており、綺麗なグラフとなっている事がわかります。これが市場の荒れていた去年の出来事になるのですよね。
もし3月のFOMCで「金利を上げます」なんて言った場合は、もう少し面白い状況になっていた事だと思いつつ、その場合は冷や汗のでる環境になっていたのかなと、思う所はあります。