今回のブログ記事は、バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETFの私的評価を記載していきます。
早速内容を記載して行きますが、本記事の情報は2019年1月30日時点での情報となります。
基本情報
対象インデックス | FTSEオールワールド(除く米国) インデックス |
構成銘柄数 | 2765 |
分配金利回り | 2.62% |
経費率(信託報酬) | 0.11% |
分配頻度(基準月) | 3月、6月、9月、12月 |
投資対象 | 先進国(米国除く)・新興国 |
このインデックスは米国を除く先進国と、新興国を投資対象としている事になります。全世界に投資可能なVTには及びませんが、全世界(米国除く)に近い構成です。
そして信託報酬は0.11%と十分に低く、先進国だけでなく新興国に分散して投資可能というETFであることを考えると申し分ない低さです。
そして構成銘柄は2765と多めではありますが、投資対象地域がかなり広いことを考えると、少しばかり抑えている印象もあります。
上位10ヵ国
順位 | 国 | 構成比 |
1 | 日本 | 17.5% |
2 | 英国 | 12.0% |
3 | 中国 | 7.1% |
4 | フランス | 6.9% |
5 | ドイツ | 6.0% |
6 | スイス | 5.8% |
7 | カナダ | 5.7% |
8 | オーストラリア | 4.8% |
9 | 韓国 | 3.3% |
10 | 台湾 | 2.8% |
日本が一位であり、かなり大きい値で構成されているイメージです。
ここは欠点でもある部分と個人的には考えています。我々は日本におりますので、日本株へは安い手数料で購入でき、また配当金で米国の10%課税を受けることなく受領できる立場にあります。
そのため日経平均やTOPIX、個別株などに投資可能な我々は、米国ETF経由で日本に投資するのは少々悩ましい所があると考えています。
そして上記の国々では先進国と新興国の比率が分からないため、続いてその市場の比率を確認して行きましょう。
市場比率
国 | 構成比 |
欧州 | 42.5% |
太平洋地域 | 29.4% |
新興市場 | 21.7% |
北米 | 5.7% |
その他 | 0.4% |
中東 | 0.3% |
新興国市場としては、中東やその他を合わせて約22%になり、残りの78%近くは先進国です。
新興市場の22%という数字はほんの少しだけ強気な印象がありますが、米国を含まないため比率は納得出来る部分があります。
それは販売が米国であること考えると、購入対象となるユーザは米国人としている部分があるため、先進国である自国の米国を含まずにVEU一本で全世界に投資可能という事は、米国人にとってそれなりに利点があるためです。
上位10銘柄
順位 | 保有銘柄 | 構成比 |
1 | ネスレ | 1.25% |
2 | テンセント | 1.16% |
3 | ノバルティス | 0.96% |
4 | エフ・ホフマン・ラ・ロシュ | 0.88% |
5 | HSBCホールディングス | 0.84% |
6 | アリババ | 0.84% |
7 | トヨタ | 0.74% |
8 | ロイヤル・ダッチ・シェル | 0.69% |
9 | トタル | 0.67% |
10 | BP | 0.63% |
ミロなどで有名なスイスの食料品会社ネスレ、SNSなどのインターネットサービスを提供する中国のテンセント、製薬などを主体とするスイスのノバルティスが並んでいます。
中国の2銘柄は無配当・低配当グロース系で、それ以外は高配当銘柄が多い構成です。
その高配当銘柄はロイヤル・ダッチ・シェル、HSBC、BPなどで、これは配当利回りが5%近くです。
産業比率
産業別構成 | 比率 |
金融 | 25.2% |
消費財 | 14.7% |
資本財 | 13.2% |
消費サービス | 8.9% |
ヘルスケア | 8.8% |
テクノロジー | 7.9% |
石油・ガス | 7.1% |
素材 | 6.9% |
電気通信 | 3.9% |
公益 | 3.4% |
金融の比率が1位と高めに設定されています。金融は景気敏感株であり金融緩和が長年と続いていることから、個人的にはちょっと気になる部分ではあります。
もともと先進国部分も金融は多いのですが、新興国が入ると更に大きくなる傾向があります。ですがここは仕方のない範囲でしょう。
トータルリターンは評価が難しい
今までの実績を確認することを目的として、以下のトータルリターンを比較して確認していきましょう。
- VEA:先進国(米国除く)
- VEU:先進国(米国除く)・新興国
- S&P500:米国のみ
S&P500は比較対象として適切かどうかは怪しいですが、ここ数年で成績の良かった米国と比較する、という観点からの比較で含めています。
なおデータはmyINDEXより取得しており、2018年12月末時点でのデータとなります。
ETF・指数 | 年率平均 | |||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
VEU | -14.9% | 4.3% | 0.6% | 6.3% |
VEA | -15.6% | 2.7% | 0.3% | 5.9% |
S&P500 | -4.4% | 9.3% | 8.5% | 13.1% |
上記のデータは下落も上昇も含まれる期間となりますので、実際はマイナスとなる年もあります。
少々面白いのが、VEU(米国除く先進国・新興国)は、VEA(米国除く先進国)に全期間でトータルリターンが僅かながらも勝っているところです。
この2者はそもそも銘柄数なども違うという所はありますが、1年と言う短期では新興国が少し元気で推移したところがあったため、そこが作用して差が出ていると推測しています。
この様に分散投資によって、とある瞬間で新興国部分だって良い作用をもたらす事もあるので、バカには出来ないと言えるのかもしれません。
総括
このETFは日本株への投資比率が強めであること、という所が個人的には一番の欠点だと考えています。これは米国ETFを介して保有する所が少々難点という事です。
またVEUの価格はヨコヨコに近いレベルで推移しており、少々難しいリターンである状況が続いています。そのため長い目で見る必要があり、もし保有するのであれば、分配金を受けつつ長期保有も辞さないスタンスが必要となる可能性がありそうです。
もしVEUがS&P500に肉薄する瞬間があるとすれば、その状況は米国株に変調が起こっている想定が強いとは思いますが、これは今後の推移を長期で見るべきでしょう。
そして最後に、米国を除く先進国・新興国に投資可能なVEUは、日本に住む我々にとっては自身のポートフォリオと相談し、長期での推移を考えつつ購入する必要があると考えます。
終わりに
投稿した全ての米国株・ETFの評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。