今回のブログ記事はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の私的評価を記載していきます。
遂にeMAXIS Slimシリーズで、日本を含む全世界が出たという驚きの商品ではありますが、個人的にはもっと早めに出て、楽天証券のiDeCoに含まれていれば…と思ってしまう投資信託です。
では内容を記載していきますが、本記事のデータは2018年12月13日時点でのものとなります。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の商品概要
対象インデックス | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
信託報酬(税込み) | 0.15336% |
実質コスト | 不明 |
販売手数料 | ノーロード |
投資信託の分配金 | 不明 |
投資対象 | 全世界 (先進国・新興国) |
構成比率 | 日本株式:7.4% 先進国株式:80.9% 新興国株式:11.3% |
純資産 | 5億円 |
純資産は5億円と少ないように見受けられますが、設定日が2018年10月31日という若い商品であることを考えると、短い期間で5億円を達成できたことは速いペースであると言えますので、全世界規模の金融危機が発生しない限り、償還の危険性は無いレベルへの純資産増加が見込まれます。
そして信託報酬は0.15336%であり、日本を含む全世界に投資出来る投資信託であることを考えると、かなり安く抑えていると言えます。
そして国別の構成比率ですが、先進国、新興国、日本と3地域でファンドを分けて運用しているため、この3種の地域として定義されています。
またこの中の2種類は同じeMAXIS Slimシリーズで使用されているインデックスであるため、約92%近くは既存のシリーズを買い付けていると同等の効果があります。
- 先進国(80.9%):eMAXIS Slim先進国株式インデックス
- 新興国(11.3%):eMAXIS Slim新興国株式インデックス
- 日本(7.4%):対象無し
日本はMSCIジャパン・インデックスとの連動を目指しますが、これはeMAXIS Slimシリーズには存在しません。そもそも金融商品全般でこの指数に連動する商品がかなり限られており、私の知る範囲では米国ETFの「iシェアーズMSCIジャパンETF(EWJ)」が該当します。
ちなみにこの約92%という比率ですが、各国の経済や株式市場の状況などによって変化します。
組み入れ上位10ヵ国
順位 | 国・地域 | 比率 |
1 | アメリカ | 52.7% |
2 | 日本 | 7.0% |
3 | イギリス | 5.0% |
4 | フランス | 3.1% |
5 | カナダ | 2.8% |
6 | ドイツ | 2.6% |
7 | スイス | 2.5% |
8 | オーストラリア | 2.0% |
9 | ケイマン諸島 | 1.6% |
10 | 韓国 | 1.5% |
株式の成長率が高い米国が圧倒的な比率を占めており、その他は平均した値で分散されている状態です。
日本が比較的に多めに設定されていることから、日本に住む我々としてはその比率をどう捉えるかという所です。ただ異常に高い比率ではありませんので、そこまで過敏にならずとも良いかもしれません。
上位10銘柄
順位 | 銘柄名 | 比率 |
1 | アップル | 1.9% |
2 | マイクロソフト | 1.7% |
3 | アマゾン | 1.5% |
4 | ジョンソン&ジョンソン | 0.8% |
5 | JPモルガン・チェース | 0.8% |
6 | アルファベット・クラスC(Google) | 0.7% |
7 | エクソンモービル | 0.7% |
8 | フェイスブック | 0.7% |
9 | アルファベット・クラスA(Google) | 0.7% |
10 | バークシャー・ハサウェイ | 0.6% |
10位全てが米国の株式であり、圧倒的に米国主体となっています。しかしアップルが1.9%と少ない比率で制御されており、上手く分散されている印象です。
ただ全世界で活躍する企業も多く、利益は様々な国から得てることは事実です。
セクター構成
順位 | 業種 | 比率 |
1 | 金融 | 16.5% |
2 | 情報技術 | 14.2% |
3 | ヘルスケア | 11.6% |
4 | 資本財・サービス | 9.8% |
5 | 一般消費財・サービス | 9.8% |
6 | コミュニケーション・サービス | 8.4% |
7 | 生活必需品 | 7.9% |
8 | エネルギー | 6.0% |
9 | 素材 | 4.6% |
10 | 不動産 | 3.0% |
金融が1位になってはいますが、全体的にセクターが分散されているイメージではあります。
ちなみに全世界への投資で比較されやすい楽天全世界(VT)については金融の比率が約21%近くとなっていることから、個人的にはeMAXIS Slimの方が好みかもしれません。
なぜなら金融は景気敏感株の側面が強いからです。
対応する指数から米国ETFを参照し、トータルリターンを見る
日本で全世界タイプの投資信託を購入する際に、楽天全世界(VT)という強力なライバルが存在しますので、eMAXIS Slim(オールカントリー)の両者はどのようなリターンになるのかを確認していきましょう。
ただ以下2点の注意点があります。
- ドルベースであるため、為替の影響が正確に考慮されていない
- 同じ指数を使用する米国ETFを参照しているため、推定値となる
上記により少々不正確な部分が生じてしまいますが、あくまで参考値として見て頂ければ幸いです。
なおデータについてはmyINDEXより取得しており、2018年10月末時点でのデータとなります。
ETF/投資信託 | リターン(年率) ※ドルベース |
|||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
ACWI(eMAXIS Slim側) | -2.2 | 7.4 | 5.7 | 9.8 |
VT(楽天VT側) | -2.7 | 7.4 | 5.8 | 9.7 |
上記のデータは年率平均であり、当然ながらその期間にマイナスやプラスになる年もある、つまりうねりを平均化したリターンとなります。もちろん今後はこのように推移するかは不明です。
ここで見るべきは、対応する指数の米国ETFで購入した場合はどちらもリターンに大した変わりはないという事です。
しかし日本で楽天VT、eMAXIS Slimを購入する場合は、為替や3重課税問題などから違いが生じてくるとは考えています。
ただ特に3重課税問題については、長期の保有となるとその影響が出る可能性が否定できず、結果としてその点だけはeMAXIS Slim側が有利に運ぶ可能性があると見ています。
総括
日本が含まれるというのは賛否両論があるのですが、投資信託一本で全世界への投資を終わらせたいというのであれば、選択肢として十分アリな投資信託であると思っています。
日本株は日銀による支援の下で成り立っている状態とも言えてしまう部分があるため、政治的にリスクを抱えていることは否めませんが、個人的には配当金課税の問題と、為替リスクの観点から日本株を持つことはそれなりに利点がある部分だと考えています。
そして楽天全世界(VT)にある3重課税問題も無く、実質コストはまだ不明ですが信託報酬は十分な安さであることから、購入について検討する必要のある投資信託と考えています。
楽天VTよりもっと早く出ていればかなり優位に立つことが出来た商品であり、私としては少々惜しいという感情を持ち合わせていますが、今後のリターンを期待したい所です。
■終わりに
eMAXIS slimシリーズを含めた、全ての投資信託の評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。