今回のブログ記事は、ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド(XLV)の私的評価を記載していきます。
早速内容を記載して行きますが、本記事の情報は2018年10月24日時点での情報となります。
概要
ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ社(以下SSGA)より販売されているヘルスケアセクター特化型ETFです。
このXLVを含む、各セレクト・セクター指数を9種類全て合わせると、S&P500指数の全銘柄が揃うという面白い構成をしています。そのためXLVはS&P500に含まれる企業群で構成されているという特徴があります。
ヘルスケアセクターは多少ながら急激な景気の変化に左右されにくいという特徴を持ちますが、ただ影響はゼロではありません。経済が苦しくなれば当然ながら企業的にも収益に影響が出るため、株価がそれなりに下がるのは事実です。
基本情報
対象インデックス | ヘルスケア・セレクト・セクター指数 |
構成銘柄数 | 63 |
分配金利回り | 1.38% |
経費率(信託報酬) | 0.13% |
分配頻度(基準月) | 3月、6月、9月、12月 |
投資対象 | 米国 |
信託報酬は0.13%ではありますが、セクター特化系のETFとしては申し分ない低さと言えるでしょう。
分配金利回りは約1.38%とそこそこですが、昨今のヘルスケア系は配当金を目的とするよりは値上がりが主体となりやすい傾向にあることから、この値でも十分な程です。
次に、上位10銘柄を確認しましょう。
順位 | 保有銘柄 | 構成比 |
1 | ジョンソン&ジョンソン | 10.55% |
2 | ファイザー | 7.38% |
3 | ユナイテッドヘルス | 7.16% |
4 | メルク | 5.48% |
5 | アムジェン | 3.64% |
6 | アッヴィ | 3.62% |
7 | メドトロニック | 3.59% |
8 | アボット・ラボラトリー | 3.41% |
9 | イーライリリー | 3.04% |
10 | ギリアド・サイエンシズ | 2.66% |
上位10銘柄の構成においてはジョンソン&ジョンソンの比率が最も多く、10%という大枠を消費しています。少々偏りを感じる所はありますが、大型で比較的に好調な銘柄を主体としているイメージであり、どれも素晴らしい企業と言えます。
続いてセクター比率を確認していきましょう。
セクター | 比率 |
医薬品 | 32.76% |
ヘルスケア・プロバイダ/サービス | 23.15% |
ヘルスケア機器・用品 | 20.87% |
バイオテクノロジー | 16.53% |
ライフサイエンスツール/サービス | 6.08% |
ヘルスケア・テクノロジー | 0.60% |
医薬品を主体とし、その次に保険などを含むヘルスケア・プロバイダ/サービス、そしてヘルスケア機器などで構成されています。
医療を受ける際に使用されるもの、生活する上でも消費するものなど、私たち日本人でも気付かずに使用されていたものがあるでしょう。
トータルリターンは当然ながら高い
今までの実績を確認することを目的として、XLVと、S&P500とのトータルリターンを確認していきましょう。なおデータはmyINDEXより取得しており、2018年9月末時点でのデータとなります。
ETF | 年率平均 | |||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
XLV | 15.4% | 13.5% | 14.5% | 13.9% |
S&P500 | 17.9% | 17.3% | 14.0% | 12.0% |
S&P500と比較すると短期では負けている傾向にありますが、5年以上の長期になれば差が付き始めるという変化があります。
元々、近年はヘルスケアセクターのリターンが良かったということもありますが、10年リターンではリーマンショックの期間を含むため、下落を抑えられたこともリターンに変化が出る要因として挙げられます。
次に10年チャートを確認していきましょう。
上図は青がXLV、水色がS&P500です。価格だけのデータになります。先ほどのリターンを示す表に極力類似するように出してはいますが、うねりつつも後半でXLVが追いつくようなチャートとなっています。
なおこのグラフはYahooFinanceより取得していますが、リーマンショック時の前後に起点を自由に配置することによって、かなり見え方が異なってきます。
そのリーマンショック時の前に起点を置くとを意味しますが、そのチャートを示すと以下の様になります。
上記の通りXLVが異常に高く示され、差が付くようになります。これは暴落をある程度耐えたことが主な要因となるため、市場の環境が急激に変化した際には面白いチャートとなる可能性があるという事です。
ただ未来の市場環境は予想が付きませんので、今後のリターンについては注視する必要があると、言うべきところでしょうか。
総括
ヘルスケアセクターは今まで非常に好調でした。また需要が極端に減る状況に陥らない限り株価は上がるかもしれませんが、当然ながらこの分野も新たな医療技術の進化やその他様々な要因によって経済構造も変わる可能性もあり、その場合はどの様にリターンに変化が出るかは未知数です。
ただXLVは、S&P500からヘルスケアセクタを抽出した商品のようなものであるため、個人的には非常に注目しています。また勝手な考えを書いてしまいますと、様々なセクターを織り交ぜて行くのであればS&P500、ヘルスケアを信じるのであればXLVという選択にもなるかなという印象です。
いづれは特定口座などで購入したいとは考えていますが、バンガード社より販売されているヘルスケアセクター詰め合わせETFのVHTとトレードオフして考える必要があるかもしれません。ただXLV、VHTもリターンがさほど変わらない事から、自分が好きだと言える方に投資する位が良いかもと考えています。
終わりに
投稿した全ての米国株・ETFの評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。