今回はeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の私的評価を記載していきます。なお本商品に関してはつみたてNISAでは購入可能ではありますが、しかしiDeCoでは購入可能なところは見受けられませんでした。
では内容を記載して行きましょう。なお、本記事の情報の多くは2018年9月8日時点での情報となります。
■米国株式(S&P500)の商品概要
S&P500の値動きに連動する投資成果を目標とする商品であり、概要としては以下の通りとなります。
対象インデックス | S&P500 |
信託報酬 | 0.1728% |
実質コスト | 情報無し |
販売手数料 | ノーロード |
対象インデックスの 配当金予測 |
1.78% |
投資信託の分配金 | 今のところなし |
投資対象 | 米国 |
構成銘柄 | 505 |
構成銘柄が505と、S&P500という名称より+5多いように見受けられますが、これはアルファベット(グーグル)のようなクラスA、B、Cと分けられている銘柄が含まれているため、これを実質1企業とすれば500銘柄となります。
そして設定日が2018年7月3日の若い商品であるため実質コスト等は不明です。また分配金の有無についても決算を跨いでいないため、今後は出ない事を祈る必要があります。
そして直近の構成は以下の通りとなっています。
出典:eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 月次レポート
上位3銘柄は激しい株価上昇があったため、合算して10%近くの比率と少し偏りが出ている状態です。良く言えば指数をけん引している、悪く言えばこれらの銘柄の業績によって左右されやすくなると言った所です。
また500銘柄に選定されるためには厳しい基準が設けられているため、結果として多くが大型株で構成されています。
■他のeMAXIS Slimシリーズ一覧との比較
ファンド名 | カテゴリ | 1年間 リターン |
信託報酬 | 純資産 |
eMAXISSlim国内株式(日経平均) | 株式 | ー | 0.17172% | 5.64 億円 |
eMAXISSlim国内株式(TOPIX) | 株式 | 9.25% | 0.17172% | 38.9 億円 |
eMAXISSlim全世界株式(除く日本) | 株式 | ー | 0.15336% | 20.03 億円 |
eMAXISSlim全世界株式(3地域均等型) | 株式 | ー | 0.15336% | 4.9 億円 |
eMAXISSlim先進国株式インデックス | 株式 | 14.79% | 0.11826% | 205.21 億円 |
eMAXISSlim米国株式(S&P500) | 株式 | ー | 0.1728% | 26.05 億円 |
eMAXISSlim新興国株式インデックス | 株式 | -0.22% | 0.2052% | 82.79 億円 |
eMAXISSlimバランス(8資産均等型) | バランス | 3.44% | 0.1728% | 152.89 億円 |
eMAXISSlim国内債券インデックス | 債券 | -0.37% | 0.15012% | 21.24 億円 |
eMAXISSlim先進国債券インデックス | 債券 | -1.32% | 0.1836% | 23.35 億円 |
赤字とハッチングにて示した部分が本商品となりますが、1年リターンはまだ情報がありません。ただS&P500自体の1年リターンは15.7%になります。
信託報酬に関してはeMAXIS Slimシリーズの中ではおよそ中間といった所ですが、十分に安い位です。なお他社のライバル商品としてはiFreeが存在しますが、これについては後述します。
また純資産は異常に増加しているため、償還の危険性は今のところは無いと考えます。2ヶ月近く経過して26.05億円と成長速度が早く、1年後はどの様な額になるか楽しみです。
■信託報酬はETFの方が安い
分類 | 商品名 | 信託報酬 |
ETF | IVV 【米国株ETF】 | 0.04% |
ETF | VOO 【米国株ETF】 | 0.04% |
ETF | SPDR S&P500 ETF 【日本:1557】 | 0.09% |
ETF | iシェアーズ S&P500 【日本:1655 】 | 0.15% |
投信 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.1728% |
投信 | iFree S&P500インデックス | 0.243% |
投資信託での比較では、iFree側とごく僅かで誤差の範囲内ではありますが信託報酬は当然eMAXIS Slim側が0.0702%安く、超長期で保有するには少し軍配が上がります。
なお信託報酬だけを見るとETFを購入した方が安く、特に米国株ETFではeMAXIS Slimと比較してその差は4倍近くもあります。ただこれは実質コストではないため、もう少し大きな差が出るのではないかと考えますが、選ぶ際にはそれぞれに利点と欠点があるため、自身のスタンスを決定した上でどちらを選んでも問題は無いと考えています。
ただeMAXIS Slim側を選ぶ際の利点として、分配金が出なければファンド内で再投資が自動で行われ、余計な課税が掛からないことが非常に大きいです。またそれにより配当金再投資などのメンテナンスが必要なく、手間も省ける利点も挙げられます。
■つみたて投資の場合はeMAXIS Slimが有利になりやすい
米国株ETFの購入は、SBI証券などのNISA口座に付属するサービスである海外ETF買い付け手数料無料を活用できない場合などは購入の度に手数料が発生するため、配当金再投資や新規買い付けを行う度に、手数料により大きく資金を削られてしまいます。
しかし投資信託のeMAXIS Slimはノーロードであるため、S&P500への投資における購入手数料が表面的には掛かりません。厳密には信託報酬内に含められ、ファンド側が株式を購入する際に掛かる仕組みになりますが、個人で米国株ETFを購入する際と比較すると比べ物にならない程の格安になります。
そのため信託報酬が少し高くなる欠点はありますが、少額でつみたて投資などを行う際はeMAXIS Slim側が有利になりやすいことが挙げられます。なお、カブドットコムであればSPDR S&P500 ETF(1557)を購入すれば買い付け手数料無料となることも利点として存在します。
要は分配金として一度手元にお金を置くか、または自動で再投資されることを期待するのか、そして米国株ETFをベースとした購入は予め手数料を考慮した計画を立てておく必要があることから、事前の計算を行いスタンスを決めておくことが重要です。
しかしその計算は非常に面倒であるため、S&P500への投資を目論むのであればノーロードであるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)をひとまず購入して、そこから計画を練るというのも一つの手だと考えます。
ちなみに私はこの商品がS&P500へ投資する解の一つだと考えていますので、少しづつ積み立て投資を行っています。(実際はNISA口座でVOOを購入する枠が尽きた要因もあります)
■終わりに
eMAXIS slimシリーズを含めた、全ての投資信託の評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。