今回はeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)の私的評価を記載していきます。なお本商品に関してはつみたてNISAでは購入可能ではありますが、しかしiDeCoでは購入可能なところは見受けられませんでした。
では内容を記載して行きましょう。なお、本記事の情報の多くは2018年9月8日時点での情報となります。
■eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)の商品概要
東証株価指数(TOPIX)の値動きに連動する投資成果を目標とする商品であり、概要としては以下の通りとなります。
対象インデックス | 東証株価指数(TOPIX) |
信託報酬 | 0.17172% |
実質コスト | 0.218% |
販売手数料 | ノーロード |
対象インデックスの 配当金予測 |
2.07% |
投資信託の分配金 | 今のところなし |
投資対象 | 日本 |
構成銘柄 | 2101 |
信託報酬については、他の商品と比較すると実は最安値ではありません。ここは後述します。
そして2018年4月25日に決算日があったため運用報告書が公開されました。その内容によると実質コストについては上記の運用報告書にて記述がありましたが、0.218%となっています。
そしてTOPIX自体は約2.07%の配当金がでるため、通常であれば今後はこの額が再投資されるとは見ています。
そして直近の構成は以下の通りとなっています。
出典:eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) 月次レポート
TOPIXはトヨタに依存しやすい欠点がありますが、日経平均のファーストリテイリングが8%となるような大きな依存はありません。
またTOPIX自体が日本株式の全銘柄に投資する指数であるため、小型~大型、バリュー、グロース、高配当を全て購入できるイメージとなるでしょう。良く言えば分散性が高く、悪く言えば弱い銘柄を含んでしまうところではありますが、それらが利点となるか欠点となるかは、市場の環境次第であるため結論については難しいところです。
そしてTOPIXは全銘柄を含む指数という特徴がある点で、私が面白いと思っている部分が一つあります。それは日本の縮図が見えてくるという所です。
全米に投資可能なVTIであれば、ハイテクと金融が約19%づつと同様の比率でした。これは米国が金融大国であり、かつハイテク大国であるということを意味します。
変わってTOPIXについては電子機器が圧倒的であるため、つまり日本国はその技術で成り立っている国であることをしみじみと実感できることが、面白いと感じる次第です。
■他のeMAXIS Slimシリーズ一覧との比較
ファンド名 | カテゴリ | 1年間 リターン |
信託報酬 | 純資産 |
eMAXISSlim国内株式(日経平均) | 株式 | ー | 0.17172% | 5.64 億円 |
eMAXISSlim国内株式(TOPIX) | 株式 | 9.25% | 0.17172% | 38.9 億円 |
eMAXISSlim全世界株式(除く日本) | 株式 | ー | 0.15336% | 20.03 億円 |
eMAXISSlim全世界株式(3地域均等型) | 株式 | ー | 0.15336% | 4.9 億円 |
eMAXISSlim先進国株式インデックス | 株式 | 14.79% | 0.11826% | 205.21 億円 |
eMAXISSlim米国株式(S&P500) | 株式 | ー | 0.1728% | 26.05 億円 |
eMAXISSlim新興国株式インデックス | 株式 | -0.22% | 0.2052% | 82.79 億円 |
eMAXISSlimバランス(8資産均等型) | バランス | 3.44% | 0.1728% | 152.89 億円 |
eMAXISSlim国内債券インデックス | 債券 | -0.37% | 0.15012% | 21.24 億円 |
eMAXISSlim先進国債券インデックス | 債券 | -1.32% | 0.1836% | 23.35 億円 |
赤字とハッチングにて示した部分が本商品となります。1年リターンだけの話ではeMAXIS Slim先進国株式よりトータルリターンが低いです。
また直近では、日銀のETF購入において方針が日経平均からTOPIXに変更となりました。それにより今後は動きに大きな変化が生じる可能性もあると見た方が良いかもしれません。
そして純資産は38.9億円と悪くなく、償還の危険性は今のところ無いと考えます。TOPIXは類似商品が多く、かつ他に信託報酬の安いものがあるにも関わらずこの資産であることは健闘している方と言えます。
■日経平均との比較
日本株式のインデックス商品には、限られた銘柄に投資可能な日経平均があるため、TOPIXと日経平均の年率リターンの比較を見て行きましょう。(データはmyINDEXより取得しています)
分類 | インデックス | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 |
リターン(年率) | 日経225 | 15.2 | 4.9 | 12.3 | 7.1 |
TOPIX | 10.6 | 4 | 11.4 | 5.2 | |
100円 投資 | 日経225 | 115 | 115 | 179 | 199 |
TOPIX | 111 | 112 | 172 | 166 |
基本的には日経平均の方がリターンは良く、TOPIXは劣後しています。ただ3~5年については致命的に差は出ていません。しかし前述の通り日銀ETF買い付けがTOPIXに変更されたため、今後はリターンに変更がある可能性があります。
ましてや3年前のリターンと比較して、日経平均の方はダイレクトな日銀ETF買い支えがあったにも関わらず、TOPIXが肉薄していることは意識する必要があります。ちなみにTOPIXの配当利回りは約2%のため、日経平均の1.8%と比較すると差は僅かです。そのため配当による差は致命的に出ないものと考えた方が良さそうです。
日経平均は大型株で構成されているため比較的に安定性はありそうですが、ファーストリテイリングなどの歪みがあるという欠点も存在するため、投資においては欠点を考慮する必要があります。
そのため私個人としては総合的に考えると、株式市場全体に広く投資可能である分散性の観点と、日銀の買い支えが期待できるTOPIXの方を多く保有したい所です。ただTOPIXは東証一部の株式という特性上から上場廃止等の基準が緩いこともあり、あまり良くない株も含むためその点の留意は必要です。
■終わりに
eMAXIS slimシリーズを含めた、全ての投資信託の評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。