世界三大通貨というものがありますが、これは米ドル、ユーロ、円であるとされています。この根拠については、信用や流動性、またその通貨を管理する国の経済力などが基準となっているとも言われています。
でもこの3つの貨幣についてはジレンマを抱えており、どうにも信用というのが難しい。今回はその点について、かいつまんで記述して行きます。
米ドルのジレンマ
経済は拡大しているが赤字が増加している、米ドルにはこのジレンマが付きまとっています。ただしGDPは順調に成長しているため、ある程度の緩和はされているとも言えるのですが、昨今の赤字拡大は見ていてハラハラするところがあります。
ある意味で、国が赤字になる事によって経済をけん引しているともとれるため、これは身に余る経済成長と言うべきか、又はレバレッジを掛けるような経済の刺激を行ってはいるのですが、赤字という事実は中々に好まるものとは言いにくい。しかしこれは三大通貨を管理する国々にも言えてしまう事なので、頭が痛い事実ではあります。
ただし米国自体の経済は拡大していることから貨幣の強さは維持されており、また産業も非常に強いものを多く抱えていることから、足元の強さを感じる所でしょう。また三大通貨の中では一番マシとも取れますが、何にせよ基軸通貨としての貫禄を保つ末恐ろしい国家です。
ただしザ・資本主義を貫く米国となりますので、富の分配が崩れて極端な経済格差が拡大し続ける場合に、次はどの様な経済社会を築こうとするのかが、個人的には気になる所です。
またリーマンショックによって一時的に経済がボロボロになりましたが、その当時も、そして現在でも各金融機関にはストレステストという体力を計測するチェックが行われており、ある程度の防御策が続けて行われています。
ユーロのジレンマ
様々な国が統合してユーロという貨幣が世に出回りましたが、その制度には様々な問題がありました。それは欧州連合としてユーロという経済貨幣統合を行った後に、様々な問題が発覚したためです。
米ドルに次いで第二の通貨とも言われ、強い通貨としての存在に期待が寄せられたことがありましたが、蓋を開けると通貨が使用されている欧州連合の一部において、経済危機が発生するような弱い国が含まれていたという事実が発覚しました。それはギリシャなどの国を指しますが、これによってユーロも実はマズいのではないかという空気が漂い、ユーロという通貨における信用に疑問符を刻む事態となりました。言わば優良と考えられていた家庭だったが、実は内部が燃えていた…という事ですね。
またイギリスのプレグジット問題もあり、ユーロとしての威信が削られていく状態となっていることから、何かと経済貨幣統合の問題点が明るみに出続けています。また優等生とされているドイツについては、貿易収支を含めて国家の財政は上手く回ってはいる方なのですが、移民問題や今後の赤字拡大の危険性も指摘されており、ユーロの中でも何かと問題を抱えてはいます。
円のジレンマ
経済的に、人口的になど、様々な問題を抱えており、書ききれない程に疲弊している状態と言えます。また国家の債務残高(赤字国債)としてはGDP比で236%を超える程の増加となっており、その数値は増加の一途を辿っています。
またGDP自体は1990年台の後半からヨコヨコとなっており、右肩が上がりの成長とはなっていないこともあり、日本と言う国全般で見た場合の苦しさを表しているとも言えます。
このGDPは歯を食いしばって耐えている状態でもありますが、もしGDPがマイナス成長となり継続した場合は、円という貨幣の価値を他国と比較した際に、どの様な評価を下されるのかについては、全くもって未知数であると言葉を濁す必要があります。
結局は貨幣の力比べによって、今後は変わっていく
貨幣というのはその強さを比べるものであり、また逆に、その弱さを比べるものでもあります。その国が持つ経済的成長からこぼれる恩恵の旨味によって、その価値が決定されやすい側面を持つことが少なからずあるためです。
そして現在では、金融緩和によって資金はかつてない程に世界にばら撒かれました。そして世界経済は何かと堅調な推移となっていますが、しかしばら撒かれたお金は回収がほとんど行われていない。いや、回収できる状況まで回復していないという事かもしれません。
しかしこの世界三大通貨については、現在はまだ安定しているとも個人的には感じる所がありますが、この均衡が崩れた際にはどの様に推移するか、また別の貨幣が三大通貨として選択されていくのではないかと、私は戦々恐々しています。
しかしそれを恐れるだけでは投資は出来ない。リスクによってリターンは決定されやすい側面もありますので、自身の中でその恐怖との整合性をとって投資を継続して行くべきです。