今回は<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンドの私的評価を記載していきます。
では内容を記載して行きましょう。なお、本記事の情報の多くは2019年1月26日での情報となります。
■ニッセイ外国債券インデックスファンドの商品概要
対象インデックス | FTSE世界国債インデックス (除く日本、円換算ベース) |
信託報酬 | 0.1836% |
実質コスト | 0.236% |
販売手数料 | ノーロード |
投資信託の分配金 | 今のところなし |
投資対象 | 海外債券 |
構成銘柄 | 592 |
純資産 | 98億円 |
信託報酬、実質コストは共に十分なほど安く、問題はありません。また純資産についても悪くなく、償還の危険性は見受けられません。
なお対応するベンチマークはFTSE世界国債インデックス対象であり、これは先進国の債券に投資する指数となります。
投資対象国
国・地域 | 比率 |
アメリカ | 45.9% |
フランス | 10.1% |
イタリア | 9.1% |
ドイツ | 6.9% |
イギリス | 6.6% |
スペイン | 5.8% |
ベルギー | 2.5% |
オランダ | 2.1% |
オーストラリア | 2.1% |
その他 | 8.9% |
格付けAAAとなる最高ランクのアメリカ国債を主体として保有するイメージです。
それ以外については先進国となりますので、全体的に格付けの高い債券を保有している事になります。
上位10銘柄
1位~10位までアメリカ国債です。そのため割愛します。
デュレーション等
- 平均修正デュレーション:7.11年
- 平均最終利回り:1.86%
修正デュレーションは7.11年となっていますが、日本国債よりは2年ほど少ない状態です。
ちなみに修正デュレーションとは、金利が1%上昇した場合に約7%の債券価格の下落が起こるという事になります。しかし様々な国の債券に分散しているため、この数値通り動くことを推測するのは困難です。
また平均最終利回りは1.86%と高めです。これは債券の保有期間が終了するまで持ち続けると得られる利回りで、つまり償還が完了した段階で平均1.86%の利回りが得られるという事です。
今までのトータルリターンを参考にする
今までの実績を確認することを目的として、ニッセイ外国債券と、使用する指数のトータルリターンを確認していきましょう。なおデータはmyINDEXより取得しており、2018年12月末時点でのデータとなります。
投資信託/指数 | リターン(年率) | |||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
ニッセイ外国債券 | -3.7 | -1.1 | 1.4 | - |
FTSE世界国債インデックス | -3.6 | -0.7 | 1.7 | 4.2 |
2017~2018年は米国金利が上昇傾向であったため、債券の価格が下がった事により1~3年のリターンは低い状態となっています。
ただニッセイ外国債券の対象指数となるFTSE世界国債インデックスが10年で年率4.2%のリターンを得られている実績を考えると、長期保有によって十分な利益を得られる瞬間があると言えるかもしれません。
しかしこのリターンは、前述の通り2018年12月末時点のデータです。これは円安でこの数値であるという事を、忘れてはなりません。
■海外債券は取り扱いが難しい
本当に難しいです。こと投資信託に至っては。
様々な理由はありますが、ここであえて述べるとすれば為替リスクが伴うことが挙げられます。それを理解するためには、まず日本円という特性について理解する必要があります。
日本円は安全資産の一つとして存在しているという事が挙げられ、これは有事の際に円高に振れやすいという厄介な性質を持っています。そのためリセッションや金融危機などが起こった場合は、基本的に円高になります。
この厄介さを例として表すと、リセッションが危惧されたため防御力を高めるために投資信託で米国債を保有し、その後のリセッションにて米国債そのものの価格は上昇したが、為替が円高に振れて利益が削がれ、リターンがあまり得られないという事態が、例として挙げられます。
もしドルにて米国債ETFを保有していれば、その期を見計らって米国債ETFの売却などを行いドルを稼ぐことが可能となりますが、これは円とドルの関係が一時的に分離しているため可能な投資手法です。
しかし商品自体に為替がキツく紐づいている投資信託は、売却することは即時に円転を意味します。つまりリセッション時などに売却した場合は、為替の影響を悪い状態で受けたまま円としてお金を受け取ることになります。
この通り安全資産として数えられる債券でも、海外債券は取り扱いが非常に難しいです。ただし為替リスクについては今後もそうなるとは限りませんので、将来的に変化が出る場合もあるでしょう。
■投資信託での海外債券保有は強いスタンスが必要
日本円は有事には円高となる特性があるため、厄介になってしまうのは仕方がありませんが、ですが今後も日本円が強いとも限りませんし、場合によっては香港ドルや人民元にその座を奪われてしまう可能性だってあります。そのため絶対とは言えません。
ただ現状としては、海外債券を保有する場合はどの様に保有するか、そのスタンスを決めておくことが重要と考えます。それは短期で売ってしまうのか、景気サイクルが一巡する10年以上の超長期で保有するか、ということです。
以上により私としては海外国債を保有する場合は、金利の変動や為替の影響などに備えてリバランスが効く、バランス型の2~8均等で債券を保有することを推奨したい所です。
ニッセイ外国債券インデックスファンド自体は低コストで非常に優秀な商品であると言えるのですが、日本に住む我々にとっては為替リスクも生じる事から、それなりに展望を持った上で購入する必要がある商品だと考えます。
なお2019年はユーロ側の金利を上げて行く政策が予定されているため、何らかの債券に対するアクションが発生することから、注意が必要です。
■終わりに
全ての投資信託の評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。