今回のブログ記事は明治安田J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)の私的評価を記載していきます。
この投資信託は毎月分配型ですが、都心部での資産運用を主体としたリートを厳選しており、少々面白い構成をしている事から記事を作成しました。
では内容を記載していきますが、本記事のデータは2019年1月25日時点でのものとなります。
明治安田J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)の商品概要
ファンド形態 | アクティブファンド |
方式 | ファミリーファンド |
信託報酬 | 0.972% |
実質コスト | 0.645% |
信託財産留保額 | 0.2% |
組⼊銘柄数 | 25 |
投資信託の分配金 | あり(毎月分配型) |
投資対象 | J-REIT、国内債券 |
純資産 | 188億円 |
ファンドとしてはアクティブファンドに属しますが、その投資対象はJ-REITと国内債券という2種類のアセットによって運用されます。
そして信託報酬は毎月分配型らしさが伺える高さですが、しかし実質コストとしては抑えられており、上手く運用されているとの印象を受けます。
またこのファンドには信託財産留保額が設定されており、その額は0.2%となっています。毎月分配型という事もあり、ここは致し方ない部分かもしれません。
そして純資産は188億円と人気のあることが伺えます。一部の証券会社ではランキング10位以内に入る事もある位です。
上位5銘柄
順位 | 銘柄 | 種類・用途 | 比率 |
1 | 日本ビルファンド投資法人 | オフィス | 8.54% |
2 | 日本リテールファンド投資法人 | 商業・物流等 | 7.41% |
3 | ジャパンリアルエステイト投資法人 | オフィス | 6.39% |
4 | ケネディクス・オフィス投資法人 | オフィス | 6.16% |
5 | 日本プライムリアルティ投資法人 | オフィス | 5.35% |
この5銘柄について共通点を述べるとすれば、多くは東京に集中した構成をしているという事です。またいずれも大型・超大型リートです。
東京オリンピックや、そもそも東京に人が集中していることによって、東京の不動産価格の多くは上昇傾向でした。特にオフィスはその傾向が高めです。つまりリート自体の価格上昇も含めて、その恩恵を嗅ぎ付けてこの構成にしているものと推測します。
つまりこの上位5銘柄については、大型以上のリートを選択して安定を取りつつ、物件自体の強い成長を目論んでいると言えます。
ただ組み入れ銘柄数は25銘柄となっていることから、分散は十分にされているという印象があります。
なお銘柄構成は変更されることがありますので、その構成や比率が変更されて上位5銘柄が変わっている可能性があります。
分配金の状態
決算日 | 分配金 | 落基準 |
2019年1月18日 | 200円 | 10,419円 |
2018年12月18日 | 200円 | 10,548円 |
2018年11月19日 | 200円 | 10,672円 |
2018年10月18日 | 200円 | 10,692円 |
2018年9月18日 | 200円 | 10,823円 |
2018年8月20日 | 200円 | 10,911円 |
2018年7月18日 | 200円 | 11,172円 |
2018年6月18日 | 200円 | 11,113円 |
2018年5月18日 | 200円 | 11,238円 |
2018年4月18日 | 200円 | 11,210円 |
2018年3月19日 | 200円 | 11,194円 |
2018年2月19日 | 200円 | 11,429円 |
2018年1月18日 | 200円 | 11,916円 |
上記のデータは1年分となりますが、ちょっとタコ配感が強いように見受けられます。
分配金の額については1~3年毎に上げているという状態であり、2017年5月18日には、月の分配金を150円→200円に設定しています。そこから基準価格が顕著に減少しつつあり、あともう少しで1万円台に突破する勢いです。
ただ今まで保留してきた繰越分配金も放出しており、基準価格を調整していく分配金であるようにも見受けられるため、ある程度の基準価格に落ち着けば200→150円などの分配金減少、というよりは調整に近いものが行われる可能性があるでしょう。
このファンドの戦略を理解する
このファンドの投資対象としては、メインをJ-REIT、サブを国内債券としていますが、J-REIT市場の割高・割安局面を判断して、そのアセットアロケーションが変更されます。
この変更が生じる状況は様々な理由が考えられますが、一つ挙げるとすれば、J-REITの価格が急上昇などにより割高であると判断される局面であれば、J-REITの比率を減少させ、国内債券を多く保有することになります。
ちなみに2018年12月28日時点では、その比率は以下の通りでした。
- J-REIT:97.96%
- 国内債券:0%
- 現金等:2.04%
ほぼJ-REITに割り振っており、国内債券は全く保有していません。強気の戦略としています。
トータルリターンを見る
J-REITと言えば全銘柄に投資する東証REIT指数があります。そしてその指数にて運用を行っているニッセイJリートインデックスファンドというものがありますので、明治安田と比較してどの様なリターンに推移していたのかを確認していきましょう。
商品 | 年率平均 | ||
1年 | 3年 | 5年 | |
明治安田J-REIT | 8.81 | 6.68 | 7.27 |
ニッセイJリート | 8.04 | 7.02 | 7.45 |
上記のデータは年率平均であり、当然ながらその期間にマイナスやプラスになる年もある、つまりうねりを平均化したリターンとなります。もちろん今後はこのように推移するかは不明です。
両者を比較しても、さほど大きな差はありません。
つまり明治安田J-REITは東証リート指数に近い成績を上げることが出来ているという事になりますので、優秀ではないかと思う所があります。
アクティブファンドであれば、何らかの指数に上回れば素晴らしいとも言えますが、それに追随する形でも良い成績です。
ちなみに明治安田J-REITの予想分配金利回りは、東証リート指数とほぼ同一です。つまり東証リート指数を強く意識した運用をしているように見受けられます。
総括
毎月分配型ではありますが、上手く運用されている印象です。
しかしこのファンドについては未だ真価を発揮していない様子も見受けられます。何故なら国内債券の比率が高まるような状況になっていないためです。
このファンドで国内債券の比率が高まる局面では、国内リートが異常に高値となっている状態か、暴落している可能性があります。その局面においては、J-REITの全銘柄に投資する東証リート指数は甚大な被害を受ける可能性が高くなるでしょう。
ですがこのファンドは防御力の高い国内債券に逃がすことが可能であるため、J-REITが危機的状況に陥った時ほど、その下落幅を抑える事が出来る可能性があります。
もちろんこれは運用の手腕にも影響する部分ですので絶対とは言えませんが、それはここ数年で訪れる可能性があるJ-REIT市場の変動によって、判明していく部分だと考えています。
ただ毎月分配という事もあり信託報酬は高く、信託財産留保額も0.2%に設定されているため、長期投資を考えつつJ-REITに投資する場合については、通常であれば東証リート指数をベンチマークとする分配金なしの投資信託をお勧めするかもしれません。
■終わりに
全ての投資信託の評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。