イオン【8267】の評価を記載していきますが、この銘柄は色々と凄い。何が凄いかって言うと、株主優待が凄いんです。
株主優待の使い方によって総合利回りが可変するため、下手すると10%を超える可能性のある壊れたポテンシャルを持っているのです。
ではここから内容を記載していきます。なお情報は2018年8月21日時点での情報となります。
■概要-イオングループを統括する企業
言わずと知れたイオングループの長で、その事業はスーパーマーケット、モール、金融など様々です。ちなみにミニストップもウェルシアも、このイオングループに属しています。
イオンモールは徐々に店舗数を増やし、今やその数は日本152、海外26の合計178。金融サービスも右肩上がりの成長を続け、今まで不採算であったGMS事業も徐々に利益を上げつつはあります。
そして不採算の店舗に関しても比較的早めに撤退し、技術やサービスの導入も次々と行っており上手くやっているという印象。直近の利益も上手くあげており経営に関しては申し分ない流れが出来ています。
また直近の営業利益率から見る事業の割合は以下の通りです。
金融が非常に強くなっており、33%という首位に達しています。そして金融サービスの会員数は2789万人という大台にのりつつ徐々にその数を増やしつつあります。
ですがここまで書くと非常に良い企業に見えてしまうのですが、もちろん闇も抱えている部分があります。
実は総合的に見ると利益率が非常に低く、かつ借金体質というところがあります。またミニストップなど一部の事業では赤字の案件も抱えているため、その経営は逆風が存在する厳しい状態に晒されています。
■イオンの業績-利益率は厳しいが黒字ではある
※単位:100万円
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業 利益率 |
|
2016年 | 2月 | 8176732 | 176977 | 179674 | 6008 | 2.16% |
2017年 | 2月 | 8210145 | 184739 | 187351 | 11255 | 2.25% |
2018年 | 2月 | 8390012 | 210273 | 213772 | 24522 | 2.50% |
売り上げの額は凄まじく、かつ純利益も右肩上がりで大きくなっています。しかし営業利益率が2%台と非常に低く推移していることが懸念事項です。
現状は右肩上がりであることが心強い部分ではあるのですが、今後は営業利益率を5%~10%台へ上げて行かなければ経営は苦しいものとなりそうです。
次は財務やその他データです。
決算期 | 剰余金 | 有利子負債 | 有利子 負債倍率 |
自己資本 | 流動比率 |
2016年2月 | 588306 | 2170800 | 1.89 | 13.9% | 0.97% |
2016年2月 | 575147 | 2257094 | 1.98 | 12.9% | 1% |
2016年2月 | 574409 | 2344381 | 1.95 | 12.2% | 1% |
年 | 年間 配当 |
配当 性向 |
EPS | ROE |
2015年 | 28 | 389.4 | 7.19円 | 0.51% |
2016年 | 30 | 223.2 | 13.44円 | 0.99% |
2017年 | 30 | 102.6 | 29.23円 | 2.15% |
2018年 | 34 予定 |
ー | ー | ー |
流動比率において200%~300%が優良企業と言われるラインになりますが、このイオンは脅威の1%台であり、とてつもなく低いと言えます。また有利子負債倍率が2倍近くであるため、有利子負債が自己資本の2倍近くあるという超借金の体質です。
2016年は利益が低かったため、配当性向は389.4と凄まじいタコ足配当でした。徐々に改善しつつあるのですが、未だ100を割ることが出来ずタコ配が続いています。2018年の利益に期待するところではありますが、せめて30~50台に乗せて、安定化させなければ安心は出来ません。
現状の利益が右肩上がりのため財務は要注意という表現が使用できますが、利益が下降した場合は厳しい状況になるでしょう。
続いて主要指標です。
PER | PBR | 配当利回り |
56.5倍 | 1.75 | 1.45% |
PERは非常に高いです。なぜここまで高いかというと、株主優待が凄まじいほど優秀であることから個人株主が非常に多く付いており、底値を支えつつ右肩上がりの利益にて株価が上がり続けるという事態になったためです。
そして配当利回りは1.45%と低くは見えるのですが正直なところ、この値は高いくらいです。何故なら株主優待が大きな利回りをもたらすからです。
続いて本題の、株主優待についての詳細を記述していきましょう。
■株主優待はイオンラウンジやイオンシネマが使える
優待内容 | 内容・返金率 | 保有株数 | 概要 |
優待カード(オーナーズカード) | 3% | 100株以上 | ※半期100万円を限度とする買物金額に対し、保有株数に応じた割合で返金 |
4% | 500株以上 | ||
5% | 1,000株以上 | ||
7% | 3,000株以上 | ||
自社ギフトカード | 2,000円相当 | 1,000株以上 | (2月のみ) ※3年以上継続保有した株主のみ |
4,000円相当 | 2,000株以上 | ||
6,000円相当 | 3,000株以上 | ||
10,000円相当 | 5,000株以上 |
自社ギフトカードは1000株以上の保有が前提のため取得が難しいですが、優待カード(オーナーズカード)は100株からのため、ハードルは低いでしょう。なお、イオンの株主優待は毎年首位に来るほどの人気があります。
オーナーズカードには、他に以下の特典があります。
- イオンラウンジの利用
- イオンシネマにて割引
私が行ったことのあるイオンラウンジはジュース飲み放題という所で、家族連れの方々が沢山いました。買い物の疲れを少し癒すには持ってこいの場所です。
そしてイオンシネマの割引については、チケット購入の際に劇場窓口にて「オーナーズカード」を提示すると、同伴者の分も合わせて優待価格にて鑑賞可能となります。
■通常料金より
大人/大学生/高校生 → 鑑賞料金1,000円
中学生以下 → 鑑賞料金800円
上記鑑賞料金の優待に加えてオーナーズカード1枚に対し、ポップコーンまたはドリンク引換券のどちらか1枚を進呈。ただし有料鑑賞時以外は不可です。
またこのカードの仕様として、支払いの際にオーナーズカードを使用すると楽天カードなどの他社のクレジットカードは使用できない仕様となっているため、イオンクレジットカードを使うか、WAONか現金などでの支払いを行う必要があります。
ちなみにお客様感謝デーにこのカードを提示すると、他のイオン系カードと同様の-5%の割引を受けることが出来ます。ただ当然ながらイオンクレジットカードと併用して-10%ということは出来ません。
これほどの特典を備えているオーナーズカードカードですが、さらに凄いのがやはり買い物時にカードを提示すると3%~7%の返金が行われるという機能です。本当にこの性能が凶悪であり、チート性能と言える程になるのです。
■オーナーズカードは配当を含めて凄まじい利回りを誇る
100株購入して返金率3%のカードを取得したとしましょう。そして10000円の買い物をすると300円返ってくることになるのですが、これであれば利回りは当然3%です。しかしこれはカード単体の返金率を評価した利回りです。
このカードを取得するために当然ながら株を購入しているわけですが、そもそも株式の評価として、株式取得価格に対しての配当利回りという概念があり、それによって利回りが決定されていくことが一つ挙げられます。
つまり根本から見て行くと、株式購入に使ったお金から、3%の返金額と配当を合わせた額に対して利回りを見て行くと、このカードの凄まじさというのが見えてきます。
文字だけでは分かりづらいため、その利回りの凶悪さをシミュレーションをしてみましょう。ここでは直近の株価を参照して、イオンの100株取得金額を「235200円」としましょう。
月購入 | 年間 (月×12) |
返金率 | 返金金額 | 年間配当 | 株価からの利回り (返金+年間配当) |
20000 | 240000 | 3% | 7200 | 3000 | 4.34% |
30000 | 360000 | 3% | 10800 | 3000 | 5.87% |
40000 | 480000 | 3% | 14400 | 3000 | 7.40% |
50000 | 600000 | 3% | 18000 | 3000 | 8.93% |
60000 | 720000 | 3% | 21600 | 3000 | 10.46% |
この通り、月に購入する価格が増えれば増える程にその株価からの利回りが増加するという仕様になっています。もし月に60000円の購入をするご家庭であればその利回りは10%を超えるというトンでもない利回りです。
もしイオンでは食べ物だけでなく、家具や食器、日用品や薬などを購入することも出来るわけですから、近くにもっと安いスーパーなどが無い場合はイオンでひたすらオーナーズカードを使用すれば、それに従って利回りは増えてくことから利回りが可変するということです。
10.46%の利回りであれば、10年で株を購入した額以上のリターンを得ることが出来るわけです。この利回りはハッキリ言って壊れています。昔はイオンの株価が1000円くらいの時代もあった訳で、その時に購入した方々だと利回りは20%を超える程です。つまり5年で償却できるという恐ろしい時代でした。
なお株式を大量に購入すれば返金率が上昇しますが、購入金額が増えるため利回りは減少します。ただ3%と5%の差は非常に大きいです。
しかしこの恩恵を受けるためには自宅の近くにイオンがあることが前提条件となってくるため、地域によっては厳しいところが出てくるでしょう。かく言う私も近くのイオンが閉店したためオーナーズカードの意義が無くなってしまい、寂しい思いをしている次第です。
ちなみに返金については半年ごとに返金チケットが送られてくるため、きちんと期間までに店舗に行ってお金を受け取らなければ、チケットを郵送して振込してもらう形となってしまいます。それをさらに過ぎると、お金を受け取ることが出来なくなるので注意です。
■株主優待が優秀すぎて、当ブログでもオススメしたくはありますが…
まず直近の株価を見て行きましょう。
株価はうねりつつも上昇しています。流石に優待が非常に高い人気をもつため底値に堅さが存在します。
もし優待が改悪されれば一気に剥がれ落ちる事も予想されますが、このイオンに関しては数年間は、このまま利益が上がっていけばという条件もありますが直近ではそのようなことは無さそうだと私は見ています。
一番注目されているリテール事業も徐々に改善が見られており、このまま利益が上向けば更に良い方向へと進むかもしれませんが、リテール系は簡単に赤字に落ちる事があるため油断はできません。ミニストップの利益改善も望まれます。
私としては株主優待が凶悪であるため良い銘柄だと思っています。優待さえ無事であればと言う前提になりますが、もし株価が下がってもオーナーズカードを駆使して少しでも償却していくことも出来るため、リスクはあるが優待で出口戦略を構築可能であることから非常に優秀だと言えます。
■最後に
イオンはプライベートブランドの品質にブレはありますが、安いため商品を選んで良く買っています。特にライトミール製品は非常に安く、一箱100~120円近くから購入できるため仕事の間などのエネルギー補給に欠かせません。
ちなみに私は、仕事中の際はお昼にこのライトミールを食べており、2日で一箱の消費としているため、およそ60円の昼食で済ませている位の狂った食生活を続けています。そのため周りからドン引きされていることはヒミツです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。