当ブログの管理人はすかいらーくをNISAで保有しているのですが、その歴史は山あり谷ありで、取り扱いが色々な意味で難しく話題性に事欠かないため評価記事を書くことにしました。
このすかいらーくですが、最近はプラスチック製ストロー使用を原則廃止として、自然分解が可能なものへの変更を検討するという面白い発表をしました。
私はこれについて賛成であり、自然回帰へと変更可能であれば極力その方が良い。ただしそれに変更した後の生産から廃棄までのサイクルにおいて、長期的視点で価格的、環境的にどうかという所ではあります。こんなユニークな一面を持つ企業です。
ではここから内容を記載していきます。なお情報は2018年8月18日時点での情報となります。
■概要-ベインキャピタルの光と影
外食系産業の企業であり、ガストやバーミヤン、ジョナサンなどの有名なファミリーレストランを経営しています。ファミレス自体は優秀ではあるのですが、経営に関してその過去は紆余曲折となっています。
再建を目的として銀行等から出資を受けるも上手く軌道に乗れなかったため、その後2011年にベインキャピタルによる買収を受けて傘下に入ることとなりました。そこから数年と長い期間を掛けて売り上げを伸ばし、一時期は再建への軌道に乗っていました。
しかしその後、この株が非常に注目を浴びた出来事がありました。それは2017年に株主優待を拡大したことです。内容としては、100株を保有した場合には優待券が1000円 → 3000円という3倍以上の拡大を行い個人投資家の話題を誘いました。
かく言う私もこの優待に期待して株を購入した側の投資家です。ですがこの優待は無理な拡大であったことからその利益を圧迫し続ける呪いとなりました。
勿論この優待拡大で株価は上昇していったのですが、その後にベインキャピタルは保有してた株を全て売却して実質的に撤退と言う形を取り、大量の株式が市場に流れたため希薄化と流動性の上昇から株価が急落したことにより、多くの投資家を絶望へと追いやることとなりました。
詳細は分かりませんが、この株主優待は裏があるのだろうなぁと思いつつその恩恵を受けている身であるため複雑な心境ではあります。ですがこの株主優待が尾を引いていることと、その他の苦しい経営環境から最終的な利益が上手く上がらないというのがすかいらーくの現状です。
そんなすかいらーくの業績などを見て行きましょう。
■すかいらーくの業績-株主優待引当金が凄い
※単位:100万円
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業 利益率 |
|
2016年 | 7月 | 91752 | 10120 | 9441 | 6076 | 11% |
10月 | 89763 | 7435 | 7232 | 4433 | 8.3% | |
2017年 | 1月 | 88130 | 6271 | 5106 | 3319 | 7.1% |
4月 | 88052 | 6627 | 5472 | 3754 | 7.5% | |
7月 | 94179 | 10142 | 10483 | 6988 | 10.8% | |
10月 | 89084 | 5063 | 4454 | 2865 | 5.7% | |
2018年 | 1月 | 90105 | 5562 | 4454 | 2804 | 6.2% |
4月 | 89389 | 4765 | 3692 | 2250 | 5.3% |
売上高としては横ばいになりつつも少しづつ上昇し、営業利益率も2017年7月までは7~10%台と優秀と言える利益を出していました。しかし異変は2017年10月から起こりました。これは3倍以上となった株主優待が普及され始めた頃です。
株主優待自体は2017年6月の権利付き最終日より取得が可能となりましたが、その優待が届いた日は2017年9月頃でした。その影響を受けたこともあり2017年10月以降の営業利益については下がっています。
もう少し詳しく説明すると、株主優待を導入している企業の財務においては株主優待引当金というものがあります。これは企業のスタンスによって内訳が異なってくるのですが、おおよそが名の通り優待による費用負担を予め用意しておくというものです。
そしてすかいらーくで計上している株主優待引当金は以下の通りとなっています。
株主優待引当金 (単位:100万円) |
|
2016年 | 155 |
2017年 | 1494 |
優待が3倍となった2017年から跳ね上がっており、ここが営業利益を圧迫している要因の一つではあります。ただ優待券は期間が長いため来年まで繰り越され、そして全て使用されるものではありません。
続いて主要指標です。
PER | PBR | 配当利回り |
18.6倍 | 2.51 | 2.34% |
PERはそこそこ、PBRは財務が悪いため高めです。配当利回りは悪くないとは言えますが、ただ株主優待が凶悪なため、この配当利回りは高いのでは?と思うくらいです。それに関しては後述しましょう。
次は財務やその他データです。
年 | 年間 配当 |
配当 性向 |
EPS | ROE |
2015年 | 33 | 42% | 77.79円 | 15.35% |
2016年 | 38 | 40.6% | 86.4円 | 16.75% |
2017年 | 38 | 44% | 93.57円 | 14.13% |
2018年 | 38 予定 |
ー | ー | ー |
決算期 | 剰余金 | 有利子 負債倍率 |
自己資本 | 流動比率 |
2015年12月 | 38439 | 1.36 | 32.8% | 67% |
2016年12月 | 54167 | 1.15 | 35.9% | 63% |
2017年12月 | 65491 | 1.01 | 39.3% | 59% |
ここで私が言えることとしては、有利子負債倍率が1倍を超えて高いため、自己資本より有利子負債が多いということから借金が多すぎるという印象です。
また流動比率も60%付近は低いです。利益が相当悪化しない限り即座に返済不可となることは無いとは思いますが、結構に低いことは事実です。流動比率において200%~300%が優良企業と言われるラインになりますが、ただ外食産業がこのラインに立つことは非常に難しい部分はあります。
■株主優待で利回り6%を超える。優待が届く日はいつか
保有株式数 | 贈呈金額(年間合計) | 贈呈金額(6月) | 贈呈金額(12月) |
100株~299株 | 6,000円 | 1,000円カード×3枚 (3,000円) |
1,000円カード×3枚 (3,000円) |
300株~499株 | 20,000円 | 1,000円カード×3枚 3,000円カード×2枚 (9,000円) |
1,000円カード×5枚 3,000円カード×2枚 (11,000円) |
500株~999株 | 33,000円 | 1,000円カード×3枚 3,000円カード×4枚 (15,000円) |
1,000円カード×3枚 3,000円カード×5枚 (18,000円) |
1,000株~ | 69,000円 | 1,000円カード×3枚 5,000円カード×6枚 (33,000円) |
1,000円カード×6枚 5,000円カード×6枚 (36,000円) |
優待が取得できる月は6月と12月になります。そして今までの実績では6月の権利を取得すれば9月中旬に優待カードが届き、12月の権利であれば3月頃に届きます。
上記の通り株主優待はとにかく凄い。配当と優待を合わせて利回りが6%を超えるという非常に優秀な内容です。
特に12月は内容が拡充され、300株以上はその恩恵を受けることが可能です。私も昔は300株持っていたため、11000円の優待を受領することができました。
そして今まではチケットタイプであったのですが、2018年6月の優待からからカードに変更となりました。そのため金券ショップ等で売却は困難なことが予想されるため使い勝手は悪くなったと言えそうです。
■配当も株主優待も良いが、しかし当ブログでは…
配当・優待だけを見ると素晴らしい内容ですが、営業利益5%台と財務を見る限り今後は続く保証が無いため、配当と優待の減額を何時でも覚悟しておかなければなりません。
そして直近の株価を見て行きましょう。
株価は安定したヨコヨコと言えるのですが、流石に高い優待を持っているだけあって底値が堅いとも言えます。ただ6月・12月の権利を跨いだ日にはそれを含めてガクッと下がります。
もし優待が改悪されれば底値が一気に剥がれ落ちる事も予想されるため、長期で持てば持つほどそのリスクを負うことになりますが、6%という利回りとそのリスクをどれだけ許容できるか、優待を何処まで継続できるのかを信じ、そして握力を何処まで高めることができるかという点に付きます。
また昨今では人件費の高騰により外食産業は利益が圧迫されており、すかいらーくもその影響を受けています。そこも今後のマイナス要因です。
私としては、優待が欲しいという方であればつなぎ売りを推奨したい所ですが、人気が高いため一般信用の在庫が直ぐに切れてしまい、制度信用も逆日歩の危険が高いほどの人気優待のため、取得は色々と骨が折れる銘柄です。
ちなみに私は何を血迷ったのかNISA口座で100株保有してしまったため、最強の呪いにより手放すことが逆にリスクとなってしまいました。そのため、すかいらーくホールディングスと共に数年間を歩むことでしょう。今後ともよろしくお願いいたします。
■最後に
すかいらーくの今後は厳しいものとなりますが、何処まで負の影響に耐えることが出来るかが試される事でしょう。私はこの装備をのろわれていてはずせませんが、皆様はどうか上手く立ち回って下さることを願うばかりです。
なお次の株主優待を受領した暁には、バーミヤンに行って麻婆豆腐を食べたいと考えています。子供の頃に定期的に食べていましたが、その記憶が強く残っていて今も麻婆豆腐が大好きなくらいです。