米国債自体の発行状況を見ても金利の変化へと即座に結びつくことはありませんが、もしかすると今後の推移が多少なりにも見えてくる部分があるのではないかという考えから、この記事を作成しています。
2019年7月17日時点での国債発行額
まず年毎でどれ程の国債を発行しているのか、2009年から現在に掛けてのグラフで確認しましょう。
※単位:億ドル
2019年については7か月と少しは経過していますが、現在のところ発行量としては抑えられている状態です。その額は約482億ドルとなっており、2018年の発行総額は約14813億ドルと考えると、全然少ない推移ではあります。
しかし現時点で少ないからと言って、このまま推移するとは限りません。今までの傾向を確認すると、11月付近などの後半になって増加する年もあるため、まだまだ定点観測が必要であると言えます。
国債発行総額の推移
そして次は、米国債発行総額における今年1年の推移です。つまり今まで発行した米国債全てを示すものになります。
※単位:億ドル
グラフの最初の時期は上下にブレていますが、3月1日より発行量は抑えられ、以降は緩やかな減少傾向となっています。
しかし。ここまでの推移としては良くある傾向になるのですよね。つまり一時期には発行量が止まり、その後は減少傾向になる。そして年末にかけて増加していく。この様な動きが米国債の発行パターンの一例とも言えます。
ちなみに米国債が増加することに関しては、もちろん基本的には不健全な状態です。国が借金漬けということは、国の運営そものもがレバレッジが掛かっている状態とも言えるでしょう。
経済が堅調であるにも関わらず、税収が上手く増加していないか、政府から出て行くお金が増加しているかなど要因が単純に考えられますので、その要因とは何かが一番の問題点となってきます。正直な感想として、資本主義の悪い部分が出続けているだけのような気もしますが、これは心に留めておくとしましょう。
そして今回は最後に、2006年~2019年の米国債発行総額の推移をグラフ化したものを示します。
終わりに
国債発行量の推移については金利に強く関わってくるだけでなく、国の信用にも関わるため、貨幣の価値自体に少なからず影響が生じます。
過去には金本位制によって金と交換可能な兌換貨幣が出回っていましたが、これは金に交換できるという特典があったため、価値が約束されていました。
しかし現在の貨幣経済は曖昧な要素が多く、その金本位制に替わるようなものとして、担保として保証できるものは一体何か、というのが争点の一つとして挙げられます。これはGDPや経済成長、政府が持つ資産などのあり、これらを裏付けとして推定されることがありますが、全て合わせて表現するのであれば「信用」となります。