日本の貿易統計から見る難しい現状

経済

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日本における過去の貿易データを確認していたところ、通関ベースで過去からのグラフが存在していたため閲覧していたのですが、どうにも過去と比べて動きが怪しいなと思う所がありました。

何が怪しいかと言うと、アベノミクスで円安となっても輸出額の伸びが衰えているという事です。円安によってそれが多少緩和されているにしても、あまりにも伸びが鈍化していた事に驚きました。

そのグラフについては以下の通りとなります。

出典:財務省貿易統計「対世界 輸出入額及び差引額の推移」より抜粋(外部リンク)

確認して頂くべきところは黒または赤の棒グラフになりますが、これが輸出入の差引額となります。つまりこれを確認することによって、貿易が赤字か、黒字なのかが分かりますが、もちろん上に黒いグラフが伸びていれば貿易は黒字という事です。

まず気になる動きを見て行くと2008年以降が目に付くことと思います。リーマンショックとなる2008年には黒字が落ち込みましたが、3年間は何とか黒字を継続しています。しかしその後、2011年~2015年までの5年間については貿易赤字となっており、厳しい時代が続いたと言えます。

ちなみにリーマンショック後は当然ながら円高に推移していますが、この間に日本の輸出産業は大きなダメージを負っていました。しかしその円高による影響を緩和するため、日本の製造業は海外での現地生産を増やすという対策を行っているため、日本の輸出能力が下がってしまったという事実があります。その後はアベノミクスによって急激な円安へと推移しましたが、前述の通り輸出能力が落ちているため、その恩恵が少なくなっている可能性があります。

つまり輸出の伸びが限定されている状態ですが、それにより貿易収支が苦しい状況に陥っているのではないか、ということがグラフから見て取れます。ちなみに1986年~2000年くらいの間は10兆円前後の貿易黒字が安定してあったため、これは日本に輸出の力があった時代とも言えますが、最近ではそれに及ばなくなってきているため、日本の産業構造が既に変化していたという事になります。

しかしこれは通関ベースであることから、その他の収支については含まれていません。つまり訪日外国人旅行によるインバウンドや金融等の項目を含めて計算すると、2017年は22兆円の経常黒字になります。

でもこれを考えると、円高になった時はインバウンドと金融などの収益が減少し、かつ輸出産業はダメージを受けるという重圧があるため、単純に考えると日本は経常収支が赤字へ転落してしまうのでは、という懸念があります。もしそうなった場合、それに代わる産業は何かを見据える必要もありそうです。

ちなみに私はこのグラフの推移に対して非常に危機感を覚えており、それは円安と円高のどちらに進んでもかなりマズイと見ていることです。それは円安に進み過ぎると物価上昇による貧困が進み、円高では経常収支が赤字になるため貧困が進むということ。一概に結論を出すことの出来ない領域であることは重々承知ですが、この状況は頭が痛いと言えるのではないでしょうか。

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