メインスポンサーの変更にて名称が変わったことのある珍しいREITであり、配当(分配金)の利回りが高く推移する銘柄です。
では早速内容を記載していきますが、情報については2019年1月14日時点でのデータとなります。
■概要
過去には関西電力がメインスポンサーとしてMIDリート投資法人という名で上場していましたが、2015年4月にメインスポンサーが三菱商事とUBSに変更されました。つまりスポンサーが超強力とも言えるバックが付いているJ-REITです。ちなみにその際に、併せてMCUBS MidCity投資法人へと名称を変更しています。
このリートは、リーマンショックの2008年以降についてはからパッとしない成績が続き、苦しい運用を強いられていたことがありました。また2013年の話になりますが、松下IMPビルという物件で大口テナント退去が発生し、また含み損を持つパナソニック大阪京橋の損切りによって収益が下がり、分配金が7072円 → 567円になるという事態を招くこともあるほどです。
しかしメインスポンサーが2015年4月付近から超強力な三菱商事とUBSになり、その際には投資方針などが変更されましたが、そこから含み損益率など諸々の数値が回復するという状態であり、スポンサーの変更により変革したリートと言えます。
■各データから見るMCUBS MidCity投資法人の状態
少しだけ各情報の補足すると、NOIに関しては賃料収入であり、これは収入から実際に発生した管理費や固定資産税などの経費のみを控除したものです。つまり、純利益率のようなものと考えて下さい。
NAV倍率は純資産価値に対する投資口価格(株価)の割安度であり、 株式のPBRに近いものです。
それでは基本的な情報を見て行きましょう。
項目 | 情報 |
投資口価格 | 88,400円 |
決算月 | 6月 / 12月 |
分配金利回り | 6.03% |
物件取得額合計 | 2,676億円 |
物件数 | 22棟 |
NAV倍率 | 1.03 |
NOI利回り | 4.30% |
有利子負債比率(LTV) | 42.53% |
含み損益率 | -0.63% |
構成 | 事務所主体型 |
格付 | JCR:A+ R&I:A |
築年数 | 24.52 |
前期平均稼働率 | 98.1% |
分配金は6.03%と高く、過去より高い数値で推移するリートです。
また2つの機関から非常に高い格付けを取得しており、このリートの信頼性に評価がされていることが伺えます。
そして物件取得額は2676億円で、大きめのリートと言えます。
NAV倍率は1.03であり、投資口価格としては価値通りと言えるでしょう。NOI利回りは4.30%とそこそこです。
含み損益率は-0.63%とマイナスでありマズイように見えますが、スポンサーが変わってから実は右肩上がりで上昇中です。約3年で-21.77% → -0.63%と大幅に改善されているほどです。
そして有利子負債比率については40%付近を推移し続けていることから、負債のコントロールが良く出来ています。築年数に関しては24.52年となっており、そこそこという印象です。
■各決算データと地域別の分散状態
期 | 営業収益 (百万円) |
当期純利益 (百万円) |
有利子 負債比率 (%) |
分配金 | 総資産 (百万円) |
2018年06月期(24期) | 7924 | 2767 | 42.53 | 1684 | 272674 |
2017年12月期(23期) | 7610 | 2405 | 42.19 | 8110 | 248837 |
2017年06月期(22期) | 8025 | 2527 | 42.19 | 7900 | 248821 |
2016年12月期(21期) | 7005 | 1976 | 41.65 | 7431 | 225916 |
2016年06月期(20期) | 6824 | 1888 | 42.04 | 7100 | 227686 |
2015年12月期(19期) | 6579 | 1936 | 41.73 | 7281 | 226099 |
基本的には右肩上がりの推移であり、分配金も年々上昇しています。
2018年06月期には分配金が減少しているように見えますが、これは投資口を5分割したためです。ですので、実質的には8420となっており、分配金が上昇しています。
2017年12月期には急に純利益などが上昇していますが、これは物件を売却したからです。またそこから急激に下がることなく推移しているため、物件の売却と取得が上手く行われていることが分かります。
上位物件
順位 | 物件名称 | 取得価格 | 比率 | 用途 |
1位 | ツイン21 | 687億円 | 26.15% | 事務所 |
2位 | イオンモール津田沼 | 261億円 | 9.94% | 郊外型商業施設 |
3位 | 横浜アイランドタワー | 221億円 | 8.41% | 事務所 |
4位 | キューブ川崎 | 201億円 | 7.63% | 事務所 |
5位 | 渋谷桜丘スクエア | 171億円 | 6.52% | 事務所 |
地域別
東京 | 29.1% |
関東地区 | 28.7% |
中部・近畿地区 | 39.3% |
その他 | 3% |
私がMidCityの構成で凄いと思うのが、地域の比率が上手く分散されていることです。
同様のオフィス主体型では東京に偏ることが多いですが、MidCityは中部や近畿地方の比率が高く、一極とならないように資産を分散しています。
■分配金利回りは高く、スポンサーの実力が伺える
メインスポンサーが三菱商事とUBSになってから、好調な推移をしているREITです。
ただ三菱商事の力を前面に出して記述をしてはいますが、それに呼応して成績を出している、このREITを運営する方々も力があるのだと推測します。また投資口の分割により8万円台となり、手を出しやすくなったのではないかと思います。サテライト投資として一口あたりから入るのも面白そうです。
私はメインスポンサーが三菱商事に変わった際に、このREITが欲しくなり購入ボタン一歩手前まで行きましたが、その当時は資金を回す余裕がなかったことから購入を断念しました。しかしその判断をかなり悔やんでいる所はあります。
そして最後に、MCUBS MidCity投資法人は分配金利回りの高さでインカムも期待でき、業績が改善されて右肩上がりの傾向ではありますが、これに賭けるのはリスクもありますので、慎重に投資をお勧めする次第です。
■終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。