米国株への知見があり、高配当ラブの方もそうでない方も高い確率でご存知であるバンガード・米国高配当株式ETF(VYM)。
かくいう私も高配当に愛を注ぎ続ける狂信者の一員であるため、VYMに注ぐ愛も米国株ポートフォリオの中では高い比率を占めています。
今回のブログ記事はそのETFを紹介していきますが、本記事の情報は2018年11月26日時点での情報となります。
バンガード・米国高配当株式ETFの商品概要
対象インデックス | FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス |
構成銘柄数 | 404 |
分配金利回り | 約3.07% |
経費率(信託報酬) | 0.08% |
分配頻度(権利月) | 3月、6月、9月、12月 |
投資対象 | 米国 |
信託報酬は0.08%と非常に低く設定されています。これはBlackRock社のHDVと同一の信託報酬であることから、Vanguard社がVYMとの価格競争を意識してこの信託報酬を設定していることと考えます。
また構成銘柄は404となっており、多数の銘柄で構成されて分散性されている状態です。そして分配金は約3.07%となっており、ETFの中ではかなり高い部類です。
構成銘柄とその他
上位10銘柄
順位 | 保有銘柄 | 構成比 |
1 | ジョンソン&ジョンソン | 3.79% |
2 | JPモルガン・チェース | 3.68% |
3 | エクソンモービル | 3.41% |
4 | ファイザー | 2.52% |
5 | ベライゾン・コミュニケーション | 2.38% |
6 | ウェールズ・ファーゴ | 2.33% |
7 | AT&T | 2.25% |
8 | プロクター&ギャンブル | 2.23% |
9 | インテル | 2.18% |
10 | シスコ・システムズ | 2.17% |
1位が一般消費財のジョンソン&ジョンソン、2位が金融のJPモルガン・チェース、3位は石油のエクソンモービルとなっています。
AT&Tなどの、高配当だが値上がりが期待できない銘柄なども含まれており、今後のリバランスによって除外されるかどうかが注目されるところです。
ちなみに大型株主体ではありますが、かなり下位の銘柄を探ると比較的に小型株寄りな銘柄も存在します。
セクター比率
セクター | 比率 |
金融 | 15.7% |
ヘルスケア | 13.8% |
消費財 | 13.4% |
資本財 | 11.2% |
テクノロジー | 10.6% |
消費サービス | 9.7% |
石油・ガス | 9.4% |
公益 | 7.6% |
電気通信 | 4.9% |
素材 | 3.7% |
私が個人的にVYMのネックだと感じているのが、金融セクター比率の高さです。
金融は景気敏感株であることから、経済的に危機があるとかなりの値下がりが予想されるため、あまり多くない方が良いとの認識を持っています。ただ分配金の利回りを確保するという観点では避けて通れない道であるので、仕方がない部分です。
ちなみに石油関連も、今までの実績では原油価格の関係から景気に敏感な部分を持ちます。
消費財(生活必需品など)を高い比率で含み、かつ値上がりが好調であったヘルスケア、ハイテクも高めであることから、配当と値上がりのバランスが取れたセクター構成となっている印象です。
他のETFとの比較
米国の高配当ETFと言えばHDV、VYMが挙げられますので、その2つとS&P500に投資可能なVOOの3銘柄をピックアップして、配当込みのリターンで比較していきましょう。(全てドルベースでの換算です)
なおデータについてはmyINDEXより取得しており、2018年10月末時点でのデータになります。
ETF | 分配金 利回り |
年率平均 | ||
1年 | 3年 | 5年 | ||
HDV | 3.57% | 6.3% | 8.7% | 8.2% |
VYM | 3.07% | 2.4% | 9.4% | 9.1% |
VOO | 1.86% | 5.4% | 10.8% | 10.8% |
上記のデータは年率平均であり、当然ながらその期間にマイナスやプラスになる年もある、つまりうねりを平均化したリターンとなります。もちろん今後はこのように推移するかは不明です。
かなりの高配当であるHDVと、値上がり主体の側面が強いVOO(S&P500)の2つとして考えると、その中間にVYMが存在していることから値上がりと配当のバランスが取れているETFとも言えます。
とはいえHDVも値上がりが期待できないわけではなく、それなりに価格の上昇もあります。
なおVYM自体は年一回のリバランスが予定されていますが、HDVについては数回と多い回数でリバランスが行われます。これの良し悪しについて論じるのは非常に難しいところですが、高配当によって生じるリスク銘柄を高い頻度で入れ替えるのはHDV、年一回の見直しという長いスパンによってパッシブ性を高めるVYMなど、どちらも甲乙つけがたい特徴です。
総括
高分配で中々のリターンがある良いETFと言えますので、非常に押したい感情はあるのですが、少しだけセクターなどに気になる部分があるのは個人的な悩みではあります。ですが分散性もあるためそこまで過敏になる必要もないかもしれません。
また前述の通り、他の米国株高配当ETFではHDVが存在します。VYMとどちらが良いかと問われると、分散性やセクター構成、分配金の高さにおいて、好きな方を選択すれば良いとは思っています。場合によっては両方持つというのも面白いかもしれません。(ちなみに私は両方保有しています)
なお私としては、VYMは高い分配金と値上がりが期待できる素晴らしいETFでありますので、将来的にはポートフォリオの中でも5~10%の比率で継続して保有していくことを決意しているETFの一つです。
■終わりに
投稿した全ての米国株・ETFの評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。