Jリートに投資可能な投資信託は幾つか存在しますが、その中で比較的に低い信託報酬の商品がこの<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンドになります。
なおJリートの分配金利回り(配当利回り)を平均値として示すと4%の前後を推移しています。高分配金として名を馳せている個別銘柄のJリートは5~6%であることを考えると少々物足りなく感じるところはありますが、インフラファンドを除く全リートに投資可能な商品としては、分散性の視点からは優秀な部類です。
以下より内容を記載していきます。なお、本記事の情報は2018年11月7日時点での情報となります。
基本情報
対象インデックス | 東証REIT指数 (配当込み) |
信託報酬 | 0.27% |
実質コスト | 0.277% |
販売手数料 | ノーロード |
投資信託の分配金 | 今のところなし |
対象インデックスの 配当金予測 |
4%前後 |
投資対象 | インフラファンドを除く 日本の全リート |
構成銘柄 | 60 |
純資産 | 87億円 |
インデックスとしては有名な東証リート指数を用いており、これはインフラファンドを除く全リートに投資可能とする、Jリート投資においては優秀な指数と言えます。
また信託報酬は0.27%と、Jリート系の投資信託の中では低く設定されています。実質コストについては0.277%と非常に低く設定されており、その差は0.007という上手過ぎる程に運用がされているという印象です。運用報告書には売買コストが明記されずにこのコストが記載されており、恐らくそれを含めての実質コストだとは考えますが、ですがちょっとこの上手さは疑いが掛かる位の実質コストの低さです。
なお東証リート指数の分配金利回りとしては平均するとおおよそで4%前後を推移しています。この投資信託は分配金を今のところは出していないため、実際にファンドに分配金が入る頃には課税を引いた後の3%近くの分配金が入り、その値でファンド内部で再投資されることでしょう。
またこの記事を記載している時点では、実質コストの観点で投資信託の中では最安値です。りそなからリリースされているSmart-i Jリートインデックスという低信託報酬の強力なライバルが出現していますが、こちらは若い商品であるということもあり、年間計算で約0.3%の実質コストと少し高い状態です。ですが今後は逆転する可能性が非常に高いでしょう。
そして構成銘柄数は60となっていますが、記事を記載している時点ではJリートの全銘柄を表すと61銘柄となります。あくまで自分勝手な推測ではありますが、60銘柄となっている理由は2018年9月に上場した伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人がまだ組み入れられていないのだと考えています。東証REIT指数自体は伊藤忠が組み入れられているため、もしそこが抜けているのであれば今後追加されることでしょう。
なお純資産については87億円であり、現在の所は償還の危険性はなさそうです。
次に上位10銘柄を確認しましょう。
銘柄名 | 比率 |
日本ビルファンド投資法人 | 7.40% |
ジャパンリアルエステイト投資法人 | 6.9% |
野村不動産マスターファンド投資法人 | 5.3% |
ユナイテッド・アーバン投資法人 | 4.63% |
日本リテールファンド投資法人 | 4.5% |
オリックス不動産投資法人 | 4.1% |
大和ハウスリート投資法人 | 3.8% |
日本プロロジスリート投資法人 | 3.5% |
アドバンス・レジデンス投資法人 | 3.3% |
GLP投資法人 | 3.2% |
特に日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトなどは物件取得額が1兆円を超えるものであり、かつNAV倍率が高い、つまり投資口価格が高くなっているもので構成されています。上位10銘柄は時価総額が上位に来るような大型リートで占められており、安定感を主体とした構成としています。
Jリートの中で高い分配金を出している個別銘柄は5~6%となりますが、東証リート指数自体は上表に示す通り分散性の理由から4%近くとなっています。
しかし分配金利回りの少ない超大型のリートは、その物件取得額の大きさから比較的に安定することもありますので、分配金は犠牲にするが安定性を取るイメージになると言う訳です。
最近のリートは好調であったためリターンは申し分ない様に見える
配当込みのトータルリターンを見て行きましょう。データについてはmyINDEXより取得しており、2018年9月末時点でのデータとなります。
投資信託/指数 | リターン(年率) | ||||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | |
東証REIT指数 (配当込み) |
11.9 | 5.8 | 7.1 | 9.6 | 7.8 |
ニッセイJリート インデックスファンド |
11.5 | 5.5 | 6.7 | ー | ー |
この2017~2018年はJリート全般が異常に好調であったため良いリターンが出ている事になります。また元々Jリートは分配金が高いこともあり、それを含めてそれなりの値には推移していたという所でしょう。
ちなみに実際の指数となる東証REIT指数(配当込み)と比較して、ニッセイJリートの方が僅かにリターンが低いですが、これは信託報酬で削られていることが理由となっています。
そしてリートは好調と言える昨今ですから、逆に今は天頂にいるぐらいの考えが良いかもしれません。なぜなら株式市場が好調・不調となっても、様々な理由からリートはどちらに推移するか予測が難しいからです。
Jリート投資は一括で投資せず慎重に
2017年~2018年にかけてJリートは非常に好調な状態であり、全世界の債券・株式の市場が荒れる中で大きな変動もせず、とても良い推移をしているように見受けられますが、今後は慎重を期すべきと私は考えています。
そもそものJリート価格が上昇している理由としては、好景気という要因も大きく影響がありますが、もう一つの理由としては東京オリンピックの存在が挙げられます。これにより関東圏の不動産価格に変動が生じている可能性が非常に高いです。
特にJリートの中でオフィス系などは東京に固めているものが多く、それらの銘柄を確認すると顕著な値上がりの影響が出ているように見受けられることから、少々過熱気味の傾向であると捉えることも出来ます。
そのため特に東京オリンピックの開催前~終了後のいずれかの期間を起点として、投資口価格がどの様に推移するかを注意する必要があると私は見ています。つまりJリート投資は慎重に行うべきとのスタンスを取る方が良いかもしれないとの要旨です。
個別銘柄の高い分配金は犠牲にするが、全リートを保有でき、分配金再投資が容易
インフラファンドを除く、全リートに分散して保有できることは非常に強みであるとも言えますし、また個別リートに投資して大きな価格変動を受けることなく、分散投資によって価格変動性を低く抑えるということも可能です。
ただ東証REIT指数の欠点を挙げると、TOPIXと同様に特定の市場全銘柄に投資するという特徴を持つため、あまり活発でないREITも含むということもありますが、ただJリートは市場自体が小さいこともありますので、これを許容しつつの投資となるでしょう。
分配金利回りを確保するのであれば個別銘柄を目指すことになりますが、安定性を重視するならばこの投資信託を選択することになるでしょう。また分配金も出ておらず、課税繰り延べと、分配金再投資の観点からは良い状態が続いています。
以上により、リート投資においては選択の視野に入る投資信託と言えます
- 実質コストが低い(でも今後はSmart-i Jリートインデックスに負けてしまうかも)
- 東証リート指数で、分散投資によって価格変動性を低く抑えるとが可能
- 分配金が出ていないため、課税の繰り延べと分配金再投資が効く
ですがリートに投資することとなりますので、購入する量を制御することを考えて選択すれば良いと、個人的には考えています。
終わりに
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。