円というお金は日本銀行から市中に供給されていますが、その額についてはあまり馴染みがないものとなるでしょう。
結論から言うと、2019年6月時点で約112兆円が市中に流通しています。この数値は日本銀行から公表されているものですが、数値についてはこれ以上の正確な値はないでしょう。
この日本銀行からの市中へのお金の流通量については、「通貨流通高」と呼ばれています。これは銀行券の発行に繋がるため、消費などの観点から景気の動向を見る指標として利用される場合もあります。そして短期金融市場の需要と供給について影響を及ぼす側面もあり、この通貨流通高については中々影響力が強い。
しかしキャッシュレス化などによりその流れは変化しつつあるため、全てを捉える事は難しいのが現状となっています。環境が変わりつつあり、通貨流通高については変化が生じつつあるという事ですね。
そして、この通貨流通高については年々増加しています。これを簡単にグラフにして表すと、以下の通りとなります。
※単位:1億円
上記は2014年~2019年6月までのものになりますが、右肩上がりで増加している事が分かります。要はお金を刷って市中に増加させているという事ですね。
もちろんお金を刷って増加させるのは悪い事ではありません。逆に減少させるのも政策や世界的な経済動向に噛み合えば良い結果をもたらす可能性もありますが、日本が抱える多額の借金などの影響もあり、基本的にはお金を適切に増加させてインフレを起こすというのは、まだ良い方の可能性が高いです。
なお、お金の量が増えるという事は単純に考えてお金の価値が下がるということに繋がりますので、インフレ傾向になるのが一般的な話です。しかし体感としてはデフレの傾向が強いなど、チグハグな状態にあるのが日本における昨今の状況です。しかし実際は見えないところで商品の値段が実質的に上がっていたり、その価格上昇に気付かないものもあって、部分的にインフレしている領域があります。
しかしこれだけは言えることが一点あります。お金の流通量は増えても、昨今の労働者は可処分所得が減少傾向にあるため、厳しい傾向にあるという事です。
この理由は何故か、というと複雑すぎるので断定することは叶いませんが、お金の流れ方が色々な意味で上手く行っていないことは明白で、それはどこで滞留しているのか、又はどこに流出しているのか、個人的にはこの分野に非常に興味があります。