ジェレミー・シーゲル教授の「株式投資の未来」を以前に一読しましたが、前評判の通りの名著でした。株式投資を行う方々には一読すると、少し開けた投資の世界が見える程の良い本であると思っています。
そしてこの本を読んだのであれば、本来は成長の罠について述べるのが一般的であると思います。
この成長の罠については読み取り方が色々あると思いますが、私としてはPERの高い銘柄に下手に投資を試みると、その将来の利益を期待しすぎた価格となっていることがあり、思うようなリターンは得られない可能性がある、という内容でもあると認識しています。
ただしこの成長の罠については、投資スタンスとか、時代背景など様々な要因があって起こり得る事であるため、この短文だけで纏めることはあまり適切では無いと思っています。
そしてこの株式投資の未来に記載されていることは、成長の罠だけではなく低成長セクターによる配当再投資などについても記述されているのですが、この本を読んで私が一番うなった部分がIT技術に関する部分でした。
IT化は消費者にとって利益をもたらしている
気になったところをかなり纏めて要約すると、IT化による利益は消費者に還元されている、という部分です。
これについては読み解き方が幾らでもある部分ではありますが、私の認識としては、IT化によって様々なサービスが提供されるようになったが、それが企業の利益に結び付くというよりは、消費者に帰属しやすくなっている。という理解をしました。
これを彷彿とさせるのが、Googleなどが出す様々なサービスです。特にGoogleマップは無料で現在位置を知る事も出来ますし、また目的地へのルート検索、ストリートビューなど、凄まじく便利なものばかりです。そしてYoutubeでは知恵や知識が詰まった動画だってボタン一つで見る事が可能です。
ここでは一例としてGoogleを挙げていますが、Amazonなどがリリースしているサービスも同様です。また他には数えきれないほどの企業によって得られるサービスだってその対象です。
これらは私たち消費者の利益が凄まじい。昔では考えられなかった事です。無料または少ないお金を支払って、20年前と比較すると理解が追い付かない程のサービスを受ける事が可能となりました。
実際には手数料や広告等によって企業側に利益をもたらしてはいるのですが、それでも私達が得る恩恵と言うのはとんでもない位です。このような事もあって、IT化によってその利益は消費者に還元されている方向にあると、思っているフシがあります。
この件については10年前に同様のことを私も考えていた時代があり、それは非常に歓迎すべきところではあるが、それが現在の経済に反映されている部分があるとすれば、逆に恐怖すべきことでもあると考えた事がありました。
でもこれらのサービスは、素晴らしい技術者の方が日々頭を悩ませ、またリスクを背負って作り出したものでありますので、その方々には頭が上がらない限りです。