今回のブログ記事は、S&P500のエネルギーセクターに投資可能なエネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLE)の私的評価を記載していきます。
早速内容を記載して行きますが、本記事の情報は2019年1月11日時点での情報となります。
概要
ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ社(以下SSGA)より販売されているエネルギーセクター特化型ETFです。
そしてこのXLEを含む、各セレクト・セクター指数を9種類全て合わせると、S&P500指数の全銘柄が揃うという面白い構成をしています。そのためXLEはS&P500に含まれる企業群で構成されているという特徴があります。
またエネルギーセクターは原油、ガスの採掘および精製企業が主体となっています。そのため原油価格の指標とされるWTI原油先物価格による影響を非常に強く受けます。
このセクターに関しては利益を得る事が難しいです。何故ならこの10年間近くは原油価格が上手く上昇していないため、販売による利益が限られてしまっているためです。
これはリーマンショック、採掘技術や情勢など様々な要因がありますが、その中で1点だけ挙げると、シェール革命の影響を受けているという見方があります。これによって今後は採掘量が劇的に増加する見込みもあるため、価格が上昇するかどうかは、かなり難しい状態です。
基本情報
対象インデックス | エネルギー・セレクト・セクター指数 |
構成銘柄数 | 30 |
分配金利回り | 3.49% |
経費率(信託報酬) | 0.13% |
分配頻度(基準月) | 3月、6月、9月、12月 |
投資対象 | 米国 |
信託報酬は0.13%ではありますが、セクター特化系のETFとしては申し分ない低さと言えるでしょう。
分配金利回りは非常に高い状態です。このセクターに含まれる企業は、コスト削減などの身を削る企業努力を行い減配を回避していますが、変わって原油価格は上昇しないため、利益が上がらず株価も上がらないというジレンマを抱えています。
そのため株価は下がるか横ばいかを続け、配当金を少しづつ上げるという事をしているため、結果として配当金利回りが高くなる傾向となっています。
そして構成銘柄は30となっており、米国の企業が原油採掘などに強い事が伺えます。
ちなみに日本では資源の少なさから原油採掘の企業は少なく、一つだけ挙げるとすれば国際石油開発帝石(INPEX)などが存在します。
上位10銘柄
順位 | 保有銘柄 | 構成比 |
1 | エクソン・モービル | 22.20% |
2 | シェブロン | 18.96% |
3 | コノコフィリップス | 6.57% |
4 | シュルンベルジェ | 4.61% |
5 | オクシデンタル・ペトロリウム | 4.35% |
6 | EOGリソース | 4.33% |
7 | マラソン石油 | 3.89% |
8 | フィリップス66 | 3.52% |
9 | バレロ・エナジー | 2.98% |
10 | キンダー・モルガン | 2.81% |
日本人には馴染みのない企業ばかりですね。唯一知られている企業と言えばエクソンモービルくらいでしょうか。
米国を主体として活動する企業で構成されているため、日本ではその名前を聞く可能性が低いです。
産業比率
産業別構成 | 比率 |
石油・ガス・消耗燃料 | 89.84% |
エネルギー設備・サービス | 10.16% |
石油、ガスがほぼ主体であり、その比率は極端に高く設定されています。そのため業績は原油価格に握られているといっても過言ではありません。
それ以外は石油やガスを提供する設備とサービスなどで構成されています。
トータルリターンは低い
今までの実績を確認することを目的として、XLEと、S&P500とのトータルリターンを確認していきましょう。なおデータはmyINDEXより取得しており、2018年11月末時点でのデータとなります。
ETF | 年率平均 | |||
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
XLE | -10.5% | -1.3% | -4.5% | 4.1% |
S&P500 | 6.3% | 12.2% | 11.1% | 14.3% |
上記のデータは下落も上昇も含まれる期間となりますので、実際はマイナスとなる年もあります。
また注意事項として、これは2018年12月25日付近の急落データ含まないため、実のところは特に1年リターンは約7%近く低い状態です。そのため3年以上のデータをご確認いただく方が良いでしょう。
XLEの数値を見ると、そのリターンの低さに目が釘付けになる事と思います。いかにエネルギー(原油)関連の企業は業績が難しい状態であるということが読み取れます。
つまりS&P500指数の足を引っ張っている状態とも言えるため、その評価は厳しくなってしまうセクターです。
今後はシェール革命によって米国の原油は増産が予想され、それによって利益も期待できるところはあるのですが、反面として原油の価格が低ければ採算が取れなくなることから泥沼となる危険性もあり、中東との情勢によって価格が変動することも含めて、今後はどの様なリターンへと推移するのか注意すべきでしょう。
総括
今までのリターンは非常に悪く、今後も注意すべきセクターです。そしてこれはかなり難しいところですが、新エネルギー(再生エネルギーやその他)の動向にも注意が必要であると考えます。
そして保有するスタンスとして、現状はその高い分配金利回りからインカムを受けるという目的で、超長期で保有するくらいの覚悟が必要だと考える所があります。
そのため、原油・ガス関連の企業に特化したXLEはリターンに難を持つセクターで構成されており、かつ情勢や原油価格にダイレクトな影響を受ける難しい特徴をもっているため、保有する際はその比率をかなり制御して保有すべきでしょう。
終わりに
投稿した全ての米国株・ETFの評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。