日本株で高配当と言えば様々な銘柄がありますが、その中で70銘柄を詰め合わせたETFがMAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信【1499】となります。
以下より内容を記載していきます。なお、本記事の情報は2018年12月9日時点での情報となります。
基本情報
対象インデックス | 野村日本株高配当70 マーケットニュートラル指数 |
コード | 1499 |
構成銘柄数 | 70 |
分配金利回り | 約2.7% ※注 |
純資産 | 58億円 |
信託報酬 | 0.432% |
分配頻度(決算日) | 年4回(1、4、7、10の各10日) |
信託報酬は0.432%と高めに設定されており、日本株高配当ETFの中では高い部類の値となっています。また純資産については58億円とそれなりに資金は流入しているようですが、他の高配当ETFと比べると少ない印象もあります。
そして分配金利回りについては注意点があります。これはこの記事を記載している2018年12月9日時点でのETF価格から算出しているため、約2.7%と高めに見えます。
しかし高配当ETFで名高い日経平均高配当株50(1489)は、同時点での分配金利回りが約3.5%であるため、このMAXIS側は比較して低い値です。
なお分配頻度は年4回であり、米国企業のように短いスパンで貰えることが個人的には嬉しい点です。そして権利確定月は年に4回となっていますが、企業の決算が多く重なる4月・10月付近で分配金が高くなる形式です。
上位20銘柄
順位 | 銘柄 | 比率 |
1 | NTTドコモ | 5.59% |
2 | KDDI | 5.46% |
3 | 日本電信電話 | 5.14% |
4 | トヨタ自動車 | 5.04% |
5 | 日産自動車 | 4.88% |
6 | みずほフィナンシャルグループ | 4.71% |
7 | 三井住友フィナンシャルグループ | 4.48% |
8 | 日本たばこ産業 | 4.46% |
9 | 本田技研工業 | 3.85% |
10 | キヤノン | 3.78% |
11 | 東京海上ホールディングス | 3.05% |
12 | 三井物産 | 2.78% |
13 | ブリヂストン | 2.68% |
14 | アステラス製薬 | 2.50% |
15 | 伊藤忠商事 | 2.43% |
16 | SUBARU | 2.18% |
17 | デンソー | 2.10% |
18 | エーザイ | 2.00% |
19 | 第一三共 | 1.80% |
20 | MS&ADインシュアランス | 1.78% |
NTT、ドコモ、KDDIなどの通信業が3位までを独占しており、その次にトヨタ、日産などの輸送機器と固めていますが、次に示すセクター構成では見え方が異なってきます。
セクター構成
業種 | 比率 |
輸送用機器 | 19.1% |
情報・通信業 | 16.7% |
銀行業 | 10.8% |
医薬品 | 7.0% |
電気機器 | 6.5% |
卸売業 | 6.3% |
保険業 | 5.6% |
食料品 | 4.5% |
建設業 | 3.5% |
ゴム製品 | 3.2% |
輸送機器と情報・通信業が高く、一部セクターに少しだけ偏りが見られます。輸送機器は景気に敏感な特性がありますし、そして通信業は政府より月額料金の減額を要請されており、今後の先行きに難色があると見られているセクターであることから、注意する必要があります。
特に通信業は5G以降の展開で、どうにか業績を盛り返してくれることを祈るばかりです。
この指数の銘柄選択方針
このETFで使用する指数には、銘柄選択方針が以下の通りに示されています。
銘柄スクリーニング基準:(以下の銘柄を選択する)
・過去3年間の経常利益が全てマイナスでない
・浮動株調整時価総額の上位85%
・過去6 0日平均売買代金の上位500位
・上記3条件を満たす銘柄のうち、平均DOEが上位2/3に含まれる引用:野村日本株高配当 70 マーケット ニュートラル指数 ルールブック
DOEは株主から収集した資金から配当に何%を割り振っているかを示すものです。
この内容の要点を纏めると、経常利益が良く、流動性が高く、株主資本から配当に力を入れている企業が算出される仕組みです。
分配金の推移
決算日 | 1口あたり 基準価額 |
金額 |
2018年10月10日 | 9,654円 | 112円 |
2018年07月10日 | 9,756円 | 21円 |
2018年04月10日 | 9,865円 | 112円 |
2018年01月10日 | 9,966円 | 18円 |
2018年は株式だけでも厳しい年でありましたので、基準価格は右肩下がりとなっています。
ただ冒頭で配当金利回りに注意が必要と言ったのは、そもそもこのETFは分配金利回りが低めであることが難点です。これは銘柄構成の理由もありますが、一番は信託報酬の高さが要因です。
1点気になるのはセクターの偏りがチャートに出たこと
これはあくまで政策的に運が悪かったという話もあるのですが、2018年11月1日にETF価格が急落するという出来事がありました。
この原因は通信業が急落しているためです。これは政府の圧力によりKDDI、ドコモなどの移動体通信の月額料金が下げられる事となったため、先行きが不透明となり株価が急落したことが理由となっています。
そのチャートを以下に示します。
2018年11月1日にETFの価格が200近く急落していることが分かります。これはNTT、KDDI、ドコモがこの政策に直撃して急落したためです。
先ほどの上位20銘柄でご覧いただいた通り、MAXIS日本株高配当70はこれらの銘柄を1~3位に据えていたことからETFでも大きく影響が出ました。
ここは運が悪いと言えてしまう部分ではありますが、ピンポイントで影響が出過ぎているという印象もあります。
日本株特化型の高配当系ETFとはデータ無しのため比較不可
配当込みのトータルリターンを見て行きたいのですが、設定日が2017年12月13日と若く、1年リターンのデータがmyINDEXには無かったため、今回は無しとします。
総括
このETFは信託報酬が高いことが弱点です。これが分配金利回りを下げる要因となっており、他の日本株高配当ETFと見劣りしてしまうことが少々難点だと言えます。
そこまで気にすることでは無いかもしれませんが、個人的にはセクターに少々偏りがあることが難しいところかなとは思っています。通信系の今後は政策的に不安は抱えていますが基本的にはインフラ関連銘柄という事もあり、好きなセクターの一つであるのは事実です。ですが車などの輸送機系は政策的にやり玉に挙げられることが多く、少々心臓に悪い所があります。
ですがこのMAXIS日本株高配当70は、もし信託報酬が下げられる事があれば他の日本株高配当ETFと戦える部分もあると思っており、その動向に注視したい所です。
終わりに
他の高配当系ETFの記事もありますので、以下に一覧ページを貼り付けておきます。お時間のある時に閲覧して頂ければ幸いです。
また月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。