タカラレーベン・インフラ投資法人【9281】の評価を記載していきますが、前置きとしまして、情報については2018年8月15日時点でのデータとなります。
※2018年12月17日追記:固定売電価格の見直しが入ったため、最後に注記をしています。
■概要
太陽光型のインフラ型リートであり、多くのメガソーラ発電所を保有しています。新たな発電所の開発を継続的にかつ迅速に続けており資産価値を右肩上がりで増大させています。分配金利回りについては6%台と高い水準で推移するためインフラらしい銘柄と言えます。
多くの太陽光発電に関する案件は山や森を削ることが多いことから自然を破壊することに繋がり、また熱を持つことから出来れば使われなくなった空港を活用するなど場所を選んで欲しいと個人的には考えていますが、投資において感情と勘定は区別しなければならない。固定売電制度が上手く回っている内は活用するのもまた手段の一つです。
■各データから見るタカラレーベン・インフラの状態
インフラファンドはその収益構造と物件評価が特殊であるため、通常のリートで行われる評価が効かない部分があります。そのためNOIに関しては少々乱暴ではありますが配当を見て頂く方がよいかもしれません。
項目 | 情報 |
投資口価格 | 117,900円 |
決算月 | 5月 / 11月 |
分配金利回り | 6.06% |
資産価値 | 301.6億円 |
保有数 | 25発電所 |
出力パネル合計 | 69.5MW |
有利子負債比率(LTV) | 52.1 |
構成 | インフラ |
格付 | JCR A- |
過去にはその利回りが7%という非常に高い時代がありましたが、一時期に価格の上昇が続いたため分配金は6.06%と落ち着きました。十分に高いと言える水準ではありますが、インフラ型としては平均の利回りです。
また公募増資(PO)により4物件の取得が2018年5月に行われたため、発電能力としては約10MWになるため69.5MWにとなりました。
物件取得により有利子負債比率は年々上昇してはいるのですが、収益の増大にはなっているためこのバランスがどうなるのかが今後の注目点です。
■各決算データと地域別の分散状態
第2期 (2016年11月期) |
第3期 (2017年5月期) |
第4期 (2017年11月期) |
第5期 (2018年5月期) |
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営業収益(百万円) | 382 | 409 | 1062 | 1205 |
営業利益(百万円) | 183 | 168 | 422 | 473 |
経常利益(百万円) | 161 | 149 | 369 | 415 |
当期純利益(百万円) | 158 | 149 | 368 | 414 |
一口あたりの分配金(円) | 3121 | 3021 | 3586 | 3976 |
総資産(百万円) | 9041 | 8915 | 23071 | 24538 |
純資産(百万円) | 4589 | 4854 | 11331 | 11322 |
自己資本比率(%) | 53.7 | 54.5 | 49.1 | 46.1 |
1口あたり純資産総額(円) | 98323 | 98223 | 96050 | 95976 |
総資産が2017年に極端に上がっていますが、これは7物件の取得とパネル増設に伴うものです。この通り恐ろしい勢いでの資産拡大を図っています。
自己資本比率の低下が少々気になりますが、第6期の決算には4物件取得の効果が出てくるため更なる営業利益の増大が見込まれますが、発行による希薄化との分配金調整がどの様になるか、次の決算に期待が掛かります。
次は地域別にどの様に発電所が分布されているか見て行きましょう。
出典:タカラレーベン・インフラ投資法人 決算説明会資料
関東圏に非常に集中しており、分散の観点からはもう少し他の地域に割り振って欲しい印象があります。
他のインフラ型リートは、いちご、日本再生、カナディアンの3つありますが、それらは全て地域を分散させている事からこの点は少々マイナスと言えます。
■分配金利回りは高く、今後の収益に期待
今のところは物件の取得速度が速く、その資産価値と発電量を増大させていることから収益は期待できます。しかし固定売電制度の見直しが入ったため、今後の展開に注意しなければならないことと、有利子負債との関係から今後の収支バランスがどうなるかが注意すべき点です。
また災害に弱いことも欠点として挙げられます。特に夏の時期には台風などで太陽光パネルが大規模破損する危険性もあるため、そのリスクを保有することも念頭に置いておかなければなりません。
価格についても現在は良く言えば安定しているため安心して見ていることの出来る銘柄ではありますが、悪く言えば飽和気味の動きをしているため、決算前後の値動きと今後のPOによる希薄化にも注意が必要です。
リートは価格の高さがネックとなるところがあるのですが、この銘柄を含むインフラ型は全般的に1口の値が低く調整されているため、購入しやすいということも利点ではあります。
■終わりと注意
投稿した全てのJ-REIT評価記事を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時にご確認を頂ければ幸いです。
月並みはありますが、投資は政治・経済という不確定要素が伴うため、自己責任という表現になることをご容赦ください。