今回のブログ記事は、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの私的評価を記載していきます。
この記事を記載する直近にて楽天証券で年齢別に投資信託積み立てランキングを見ていたのですが、60代以上を選択した際のみに10位以内に出てきたファンドであり、しかも1位として君臨していた投資信託で、内容を確認するとその成績の恐ろしさに驚愕しました。
そして何が一番驚いたかと言うと、購入に至った考えられる背景はともかくとして、60代以上の方のみがこれだけ凄い投資信託を掘り出して投資しているという、その事実です。
そのためこの記事では30代の若輩者が好き勝手に投資信託の批評を書く記事となってしまいますが、その点はどうかお許しいただきますよう、お願いいたします。
では内容を記載していきますが、本記事の情報は2018年9月27日での情報となります。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの商品概要
ファンド形態 | アクティブファンド |
ファンド方式 | ファミリーファンド |
信託報酬 | 1.5552% |
実質コスト | 0.917% |
販売手数料 | 約2.16% |
投資信託の分配金 | あり |
投資対象 | 日本 |
純資産 | 160.09億円 |
純資産は160.09億であり、資金が結構に流入しているアクティブファンドであると言えるでしょう。
アクティブファンドであるため信託報酬は中々の高さに設定はされていますが、実質コストが0.917%と抑えられており、非常に上手い運用を行っていることが伺えます。そして運用成績が素晴らしいためこのコストでも安いと言えるくらいです。
またノーロードではなく販売手数料が存在しており、購入する際は注意が必要です。証券会社によって積み立て購入時のみなどに存在する、投資信託の買付手数料還元サービスなどを活用することも視野に入れた方が良いかもしれません。
そしてこの投資信託では分配金が発生します。もちろん分配金の出ない方が再投資の観点から圧倒的に良いのですが、基準価格自体は上手く上昇しているためその点は問題ないと言える状態です。またその分配金と成績の推移は以下の通りとなります。
決算日 | 分配金 | 落基準 |
2018年07月18日 | 250円 | 25,808円 |
2018年01月18日 | 200円 | 21,689円 |
2017年07月18日 | 200円 | 17,589円 |
2017年01月18日 | 200円 | 14,073円 |
2016年07月19日 | 200円 | 12,209円 |
2016年01月18日 | 200円 | 11,618円 |
2015年07月21日 | 400円 | 13,398円 |
2015年01月19日 | 400円 | 11,903円 |
2014年07月18日 | 400円 | 11,516円 |
2014年01月20日 | 200円 | 11,627円 |
注目すべきは基準価格の上昇です。分配金を出しながらもこれだけの額を上げているという稀有な成績です。基準価格の伸び率が異常であり、このファンドの投資対象となる小型株を上手く売買しているということから、かなりの運用手腕を持っていることが伺えます。特に2017年以降の成績に注目すると、異常な上昇相場の中で相当な良い株を運用したと推測します。
しかし2018年2月の米国債3%の利回り到達による下落を耐え、その後のボックス相場が続く期間でも基準価格を上昇させているのは異常です。
そして分配金は割り切った数値で出していますが、基準価格の下落が続いていない事からタコ配は制御されているように見受けられます。また2015年のチャイナショックが発生した一時期には基準価格が下落しており、分配金も半額に落として以降は無理に上げることはしていません。
再投資の観点から出来れば出さない方針とするか、このまま継続して制御を行って欲しい限りですが、ただひふみの様に極端な純資産増加による市場介入への影響を考えると、適切に分配金として出すことも一つの手段として歓迎されるのかもしれません。
次にセクター比率は以下の通りとなっています。
出典:東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン 月次報告書
投資対象を極端に小型株寄りとしており、また組み入れ銘柄数は33とかなり絞って投資をしていることから、非常にシャープな投資を行いリスクをとってリターンを目指す印象です。
続いて組み入れ銘柄数を確認しましょう。
銘柄 | 比率 |
ライドオンエクスプレスホールディングス | 8.5% |
ソースネクスト | 7.3% |
ウェルビー | 7.2% |
ファイバーゲート | 7.1% |
楽天 | 7.1% |
LIFULL | 6.9% |
HEROZ | 6.9% |
アダストリア | 6.8% |
シノケングループ | 6.8% |
エフピコ | 6.8% |
上表を見るとほとんどが小型株となり、その中で楽天という大型株が混在しているという、まず拝見することのない上位10銘柄です。2018年に新規上場したHEROZが含まれている事も驚きです。
またアクティブファンドとなりますので、市場の状態によってもちろん構成は極端に変わります。
成績が良いアクティブファンドであるひふみとの比較
アクティブファンドで有名なところはひふみが挙げられますので、比較していきましょう。もちろん分配金込みのリターンであり、また情報は楽天証券から取得しております。
投資信託 | 年率平均 | ||
1年 | 3年 | 5年 | |
東京海上・ジャパン・オーナーズ | 51.26 | 31.58 | 25.07 |
ひふみ | 16.62 | 18.96 | 19.29 |
全期間においてひふみよりリターンが良く、特に1年に至っては致命的に差が出ている状態です。ただ長期にするとある程度は緩和されています。
しかし、そもそも東京海上はリスクを取ってリターンを得ている部分も見受けられますので、その運用が見事にハマっているということです。
ただひふみは3年ほど早く発売している先輩であり、元々は小・中型株の投資を主体としていましたが今は大型株や海外株式や結構に導入していることから、今後はそもそもの投資の方向性が異なると推測しています。
総括
かなり壊れている成績のファンドですから、ここはあえて抑制して記述します。
運用成績は非常に優秀ですが、小型株を主体としてリスクを取っており、かつ株式100%の投資信託であるためリセッション時には50%以上の下落を覚悟しなければなりません。また分配金が出る投資信託です。
これだけ成績がよいのも、2017年の異常な上昇相場でかなり上手く運用できたことが挙げられるため、今後も継続するかは不明です。今後は市場環境の変化や、不適切な株を運用してしまった場合はかなりの下落も考えられ、また優秀なファンドマネージャと運用チーム交代というリスクも存在します。
そしてこの投資信託はつみたてNISAでは購入できず、非課税口座ではNISAでしか購入できないこと、そして購入時には買付手数料が発生することも注意点です。
そのため資金を投入する際はリスクを認識した上で、ポートフォリオに組み入れるのであれば10~30%のレンジで比率を制御した方が良いかなとは個人的に考えています。
■終わりに
投資信託の評価記事一覧を以下に貼り付けておきますので、お時間がある時に見て頂ければ幸いです。
そして月並みではありますが、投資は政治・経済に大きく左右される先の見通しが極めて困難で混沌とした世界であるため、確証が得られません。そのため投資は自己責任でお願いしてしまうことをご容赦ください。